釦のように
ノンフィクションの時間を手繰って
僕らは結局
フィクションの空間を移ろう
与えられるものに
手応えはなく
奪われるものに
容赦もない
早送りを望んでは
早戻しを懇願する
一時停止の懺悔をしては
巻き戻しの後悔に涙する
リモコンの釦のように
僕らはいつでも
切り替え可能の
TOKIの流れに翻弄され
その大きな掌の
結局は指先の戯れで
inochiの成否を
inochiの軽重や長短や
inchiの尊卑を
淡々と織り込む
一本の編み棒に過ぎない
それも
自分では完成を見ない
自分では着られないkoromoの・・
それにしても
inochiの有り様は
絶えずフィクションなのだと
知らず存在する
数多の僕らであることよ
刹那の享楽にうつつを抜かす
取り留めない輩たちであることよ