外出して帰宅途中
うちの近くの道路で
ペット斎場の車が止まっていた。
動物の死骸を回収しているところだった。
私は自転車を降りて
話しかけた。
ネコだという。
見せてもらったら
いつもうちの塀の上に夜のんびりと座っていた
毛のフサフサした黒猫だった。
姿を時折見ていた。
人を見てもすぐに逃げない様子が
飼い猫だと思っていた。
しかし、近所の誰かから餌をもらって食べている姿も
見ていたので
捨てられたか置き去りにされたか、といろいろ思いを
巡らしていた。
姿を見るようになって数年経つので
結構な年齢か。
そのネコの最期に立ち会った気分だ。
もし自分の帰宅時間が数分遅れたり早かったりしたら
この場面は知らないものになる。
そして
いつか、最近あのフサフサネコ見ないねえ、と義母と
話していたのかもしれない。
外傷がなかったようだし、死んでいた場所がアパートの庭先。
何か悪いものを食べたのか、それもわからない。
そういえば、あの付近に
「ネコに餌をやるな」と書いた紙が貼ってあったことがある。
哀れな最期である。
心の中で
「さよなら」を言った。
ちょっと悲しい。
タマやマーちゃんなどの最期と違う。
行き倒れの悲しい結末。
数年前に
私たちが勝手に名づけていた
スズオというネコの死にも立ち会ったことがある。
オスで、いつも鈴をつけて
うちの庭にも来たり、遠い駐車場でも見たことがある。
どうも去勢をしていないようだ。
鈴をつけていたし、毛並みも良かったし、
首輪の色もたまに換わっていたから
飼い猫だというのがわかる。
でも、外に自由に出していると
そのうち事故に遭う可能性大。
そんなとき
夫が朝自転車でどこかに出かけた際、
うちに戻ってきて
「スズオが死んでいるぞ」と知らせてくれた。
交通事故だった。
頭をやられていた。
私と近所の人とで
ダンボールに入れてペット斎場に来てもらった。
一応写真を撮った。
血などがわからないように。
飼い主が探しているかもしれない。
新聞に記事を出した。(写真はなし)
もしも
逆に自分の飼い猫だったら、血眼になって
近所を探したり
記事を読んだりするから、目に留まってほしいと
思っていた。
しかし、ずっとその連絡はなかった。
スズオ(本当の名はわからない)の悲しい最期だった。
せめて飼い主に連絡がつけばいいと思ったが
手がかりはなかった。
このように
気になる存在のネコの最期に偶然立ち会う私たち。
最近
またシマ模様の鈴のついたネコがうちの近辺に来ている。
どこのネコかわからない。
もしかしたらスズオを飼っていたところのネコかもしれない。
鈴の音がスズオを思い出す。
都会のネコは、家の中で飼うのがいい。
どんな事故が待っているかわからない。
ネコ嫌いの人もいる。
うちの隣の人もネコが嫌いだ。
うちのネコたちも外から来たのが多いから
はじめのうちは外に自由に出ていた。
ロッシなんかは自由に出ていた。
最期はうちの中で死んだが。
今は
うちのネコたちは外に出していない。
いろいろと気苦労が多い。
せめて去勢、不妊手術をしてやれば、行動範囲も狭まるのに。
うちに帰って
トモを抱きしめた。
トモも
子猫のとき
あの道路(今日の道路、そしてスズオが死んでいた道路)の
真ん中で3匹固まって親を待っていたネコだ。
車が立ち往生していた。
私はちょうど買いものに出かけるときで
自転車を降りて
その子猫たちをはずれの駐車場のほうに追いやった。
そして買いものの帰りにまた
真ん中に固まっていた。
車が止まっている。
他の自転車のおじさんとともに足で追いやった。
もうそのときの私の気もちは
このネコたちをどうにかせねばならない、と
思って
いったん帰宅し、タオルや袋を持って現場に戻った。
そこから捕り物が始まった。
子猫であっても逃げるときは敏捷。
モタモタしている1匹はすぐ捕まった。
あとの2匹はなかなか捕まらない。
そしてようやく2匹目を捕まえた。
3匹目はとうとうどこかに逃げてしまった。
こうして
うちに2匹やってきた。
ダンボールに入れてミルクや餌をやったが
1匹は食いつきが悪い。
それでも助かると思っていた。
あのモタモタしたネコである。
エサを口からポロポロ落とす。
動作が鈍い。
結局そのネコは助からなかった。
残ったのが、警戒心の強いトモだった。
人間の私たちには警戒心が強いが
他のネコたちとはすぐに仲良くなった。
そして今では
一番平和なネコである。
誰とも喧嘩をしない(1階のダイジローには鼻息荒くしているが)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_7.gif)
、
誰にも威嚇されない、誰とも寝る、逃げるが勝ちの精神でいる。
あの道路には
いろいろなネコの思い出がある。
悲しいものばかりだ。
カエルが轢かれているのもあの道路である。
画像は
トモの可愛い頭。
ワンポイントの黒豆のような模様が好きだ。