すみません。裏でヤフオクを相手にしていましたので・・では次ですが、好物のアップルパイが来ちゃいましたのでお茶してから始めます。
フジカドライブですね。フジカハーフやコンパクト35などと兄弟カメラでしょう。オートハーフに対抗? してスプリングモーター付として連写を可能にしたカメラということで、1964年(昭和39年)6月ということは東京オリンピックの開催直前に発売されたんですね。外観のデザインはキヤノンデミに似ていて、前面カバーも最中(もなか)構造も同じです。レンズはフジノン2.8cm f2.8 セレン光電池によるプログラムオートはSEIKOSHIA-L。手動可能。
で、点検するとオートが利いていないですね。カバーを取り外して点検していくと・・。あ~ら、露出メーターの針が脱落しています。ギロチン式のEE機構ですと針を銜えるため、半田が外れて脱落するケースはありますね。じゃあ、楽勝じゃん、と思ったところが甘かったのでした。
セレン光電池付きの露出計ユニット。針はS字を描くような形状をしていますけど、これはギロチンのショックを吸収するためでしょうね。で、針はローター基部と先端が2ピース構造になっていて、半田付けになっています。
それではと半田付けしました。これね、ローターはピポットで支持されているだけなのでフラフラして、酸化気味の針を半田付けすることは容易ではないのですね。これで問題解決と思ってテストをしてみると、やはり針が動きません。グスン。
これ時計用のルーペで見ないと発見できませんでした。コイルから断線した銅線です。長さ2mmぐらいかなぁ。推理としては、半田付けの外れた針がコイル部分に嵌って、メーター自体は動くので針が銅線を切ってしまった。ということでしょうね。失敗した。先に導通を測っておくべきだった。無用な工数を掛けてしまいました。このメーターは終了~・・
ファインダーの清掃をして行きます。PENと同じ逆ガリレオ式ですが、プリズムが奢られています。こんなことするから高コストで重くなるんですね。セレン光電池ホルダーが一体になっているのがおもしろい。
フジカドライブでは、フィルムカウンター機構は縦型に配置されています。スプール軸の回転運動を往復運動に変換する機構が見えます。
これもオルゴールじゃないの? というぐらい地板がぶ厚い作りのセルフタイマーユニット。これも重い要因の1つ。
幸い、このレンズはあまりカビでひどいのは見ませんね。清掃とシャッターの洗浄注油をしておきます。セイコーのシャッターは、やたら長いコイルスプリングで引っ張るのが好きです。
キヤノンデミも初期は真鍮に梨地メッキですけど後に軽量化でアルミのパールアルマイトになって女性が持つのに柔らかなイメージとなっていますが、落下で凹みやすくなったのも事実。フジカミニでも重いのに、それに巨大なスプリングモーターをつけちゃったんだから、そりゃ重くて落とせば凹むよね。出来るだけ修正をしておきます。
あら、こっちもだ。
他の個体からメーターを調達しましたが、コイルの断線はありませんでしたがピポット部腐食とケースの緩みがあり不動でした。すべて分解をしてピポット調整をしておきます。
で、このように搭載しました。
オルゴールのようなセルフタイマーはかなり強いトルクがあります。機械の作動が重いので、これだけのユニットが必要なのでしょう。
結局、ファインダーの清掃にも前板を分離する必要があるので、最中構造が良いのか悪いのか・・露出メーターは元気に動いています。
最後にレンズプレートを接着します。外周に1か所切り欠きがあって、この部分が6時の位置が正規のようですから、そのように貼っておきます。
メーカーが変われば設計思想が変わるということです。かなり真面目にしっかりとした強度で作ったら重くなっちゃった。というところで、大衆に沢山売れる商品企画という観点からはどうなんでしょうね。さて、残った2台のドライブで1台出来ないかとのオーナーさんからのご注文です。やってみますかね・・