17日(木).昨日は今度の日曜日(20日)の過ごし方をどうするかで悩みました ひとつは午前10時から新宿ピカデリーでMETオペラライブビューイングのモーツアルト「ドン・ジョバンニ」を観ること,もう一つは午後4時から紀尾井ホールで「バロックダンスと音楽のスペクタクル=ヴェルサイユ~現代」を観ることです.後者は古楽器の演奏をバックにモーツアルト作曲パントマイム「パンタローネとコロンビーネ」K.446などに振付をしてダンスを踊るという企画です.バッハ・コレギウム・ジャパンの弦楽器の主要メンバーも参加します
時間的には両方をハシゴして観るという選択肢もありますが,2つ合わせると6時間くらい座って観ることになります.腰への負担が大きすぎるので,一つに絞ることにしました 結論としては大好きな「ドン・ジョバンニ」を観ることにしました.さっそく仕事帰りに新宿ピカデリーに行って指定席を取りました.(本当は”何も観ないで家で身体を休める”という選択肢があって,それを優先しなければならないのですが,できないのですね.これが)
「ドン・ジョバンニ」といえば,いま石戸谷結子さんの「マエストロに乾杯」(2004年発行)という本を読んでいるのですが,フランシスコ・アライサという往年のリリック・テナーへのインタビューの中で面白いやり取りがあります
ムーティー指揮のスカラ座でのライブ盤「ドン・ジョバンニ」でアライサがドン・オッターヴィオを歌っていたこと関して,石戸谷さんがインタビューした時に,アライサは「ドン・オッターヴィオは,ある意味でドン・ジョバンニに対抗できる人物なんです 政治家になりたいと努力している人です.だからドンナ・アンナに対する関心もその手段なんです.彼女を愛してはいるけれどもね.アンナがドン・ジョバンニと関係がある,というようなことを言っても,驚きはするけれど,そのままアンナの恋人である方が政治的に有利であると,そう思っている だから,アンナが,1年待ってくれといっても,いいですよ,1年待ちましょう,と」と答えています.
それに対し石戸谷さんは「なーるほど.どうも,あの1年というのが,理解できなかったんですが,なるほどそう言われてみれば」と,しきりに関心しています.
私はモーツアルトの「ドン・ジョバンニ」についてはLPやらCDやらの解説などをいろいろ読んできましたが,アライサのような考えに接したのは初めてです.正直言って,果たして彼の言うことに根拠があるのかどうか疑問です ただ,あまりにも説得力がある説なので石戸谷さんのように「なるほどそうか・・・・」と感心してしまいますが
日曜日のMETオペラライブビューイングの「ドン・ジョバンニ」ではドン・オッターヴィオはどういう役作りがされるのか,演出を観る楽しみが増えました