人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アヴデーエワ+フランス・ブリュッヘン+18世紀オーケストラでショパンのピアノ協奏曲を聴く

2013年04月06日 07時00分11秒 | 日記

6日(土)。昨夕、すみだトりフォニーホールでフランス・ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラのコンサートを聴きました プログラムは①ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」、②同「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」、③モーツアルト「交響曲第40番ト短調K.550」で、①②のピアノ独奏は2010年ショパン国際ピアノ・コンクールで優勝したユリアンナ・アヴデーエワです

 

          

 

 自席は1階7列15番、舞台に近い中央寄りの席です。ブリュッヘン最後の来日公演のためか、アルゲリッチ以来45年ぶりのショパンコンクール女性優勝者アヴデーエワの人気のためか、会場はほぼ満席です

プログラムの順番を見て、おやっと思いました。①モーツアルト「第40交響曲」、②ショパン「第1ピアノ協奏曲」、③同「第2協奏曲」という順番になっています。普通のコンサートだったら①ショパン「第2協奏曲」、②同「第1協奏曲」、③モーツアルト「第40交響曲」とするでしょう このコンサートがアヴデーエワのショパンをメインに置いている意図がはっきり感じられるプログラミングです

普通のオケは会場の照明が落ちて開演時間を過ぎてから楽員が一斉に舞台に登場しますが、このオケは開演7~8分前から三々五々登場して、各自が曲のおさらいをしています おまけにコンマスまで気が付かないうちに席に着いています。第1ヴァイオリンにはバッハ・コレギウム・ジャパンのコンマス・若松夏美が、後方には同じくB.C.Jのバスーン奏者・村上由紀子がスタンバイしています

 

          

 

オケの態勢は左から奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンという対向配置です 舞台中央に1837年製エラール(ピアノ)が蓋を開けた状態で置かれています。木目調の高級家具のような偉容を誇っています 照明が落ちて、指揮のブリュッヘンが介助者に車椅子を押されて登場、指揮台の上に置かれた椅子に、サポートされながら腰を下ろします。介助者は舞台の袖でスタンバイします。ブリュッヘンは前に見た時よりもいっそう痩せたように思います

ブリュッヘンは指揮棒を使用しません。彼の合図で1曲目のモーツアルト「交響曲第40番K.550」が開始されます。古楽器特有の柔らかい音が会場いっぱいに広がります 最小限の動作でメリハリのついた音楽づくりをします。彼は細く長い指で的確な指示を出していきます

終演後、やっと立ち上がって振り返り、聴衆の声援に応えます。彼は舞台袖には戻らず、座ったまま2曲目のショパン「ピアノ協奏曲第1番」に備えます。拍手に迎えられてアヴデーエワがトレードマークの黒のタキシード調の衣装で颯爽と登場します エラールは横向きでなく縦に設置されているため、彼女は指揮者と向かい合って弾くことになります

第1楽章の冒頭、オーケストラの序奏を聴いて「疾風怒涛」という言葉を思い浮かべました。オケは全員で35名程度ですが、フルオーケストラに勝るとも劣らない迫力で音の波が迫ってきます ブリュッヘンはこの曲でもアクセントをつけて最小の力で最大の効果をあげます。アヴデーエワは音楽の流れに身を任せて身体を右に左に大きく揺らしてテンポを掴みます そして、力強いピアノで演奏に加わります。蓋が開いているため、音が上に上がって行き、直接的に会場側に向かってこないのですが、それでも力強さの中にナイーブさが感じられます

第2楽章の「ロマンス」をアヴデーエワは詩情豊かに演奏します。ショパンの協奏曲は管楽器が休む箇所が多いためか、バックの演奏者たちがピアノの音に聞き惚れているように見えました

そして第3楽章「ロンド」に入るといよいよアヴデーエワのピアノは絶好調に達します。柔らかさの中に芯のある演奏で聴衆を魅了します18世紀オーケストラの面々もノリにノッています。すごい拍手とブラボーが舞台上に押し寄せます

 

          

 

休憩後はショパン「ピアノ協奏曲第2番」です。再び車椅子のブリュッヘンとアヴデーエワが登場します。この曲の白眉は第2楽章「ラルゲット」でしょう。アヴデーエワはゆったりとロマンティックに演奏します第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」でアヴデーエワもオケもますますノッテきて圧倒的なフィナーレを迎えます

会場割れんばかりの握手とブラボーの嵐です ブリュッヘンは車椅子で一旦舞台袖に引っ込みましたが、再び登場、アヴデーエワとともに歓声に応えました。アヴデーエワは、いつまでも拍手が鳴り止まないので、アンコールにショパンの曲を2曲(マズルカ?)演奏しました これもまた素晴らしい演奏で、拍手がいよいよ鳴り止まない状態でした。会場のそこかしこでスタンディング・オベーションが見られました

実はこの日、7時から当ビル10階ホールで開かれるパーティーに出なければならなかったのですが、主義としてコンサートだけは譲れないので、こちらを優先しました。この日、このコンサートを聴かなかったら、一生後悔することになったでしょう

 

          

     

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