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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト「弦楽五重奏曲K.563」、シェーンベルク「清められた夜」を聴く~東京・春・音楽祭

2013年04月14日 07時20分45秒 | 日記

14日(日)。17日(水)12:05から12:50まで、内幸町の飯野ビル、1階エントランスロビーでランチコンサートがあります。3月までは第3木曜日でしたが、4月から第3水曜日に変わりました

出演は武蔵野音大卒、東京藝大大学院在学中の鈴木遥さん(クラリネット)と武蔵野音楽大学大学院ヴィルトゥオ―ソコースを主席で卒業した竹中千絵さん(ピアノ)の二人です

プログラムは①リスト「愛の夢」、②チャイコフスキー作曲・プレトニョフ編曲の演奏会用組曲「くるみ割り人形」より4曲(以上ピアノ・ソロ)、③アーノルド「ソナチネ」、④松任谷由美「春よ来い」、⑤ロヴェッリョ「”椿姫”の旋律による演奏会用幻想曲」です 昼休みのひと時、ベーゼンドルファーの美しい音色に耳を傾けてはいかがでしょうか

 

          

 

  閑話休題  

 

昨夕、東京文化会館小ホールで「若き名手たちによる室内楽の極」公演を聴きました。これは「東京・春・音楽祭」公演の一つで、プログラムは①モーツアルト「ディヴェルティメント変ホ長調K.563」、②シェーンベルク「清められた夜」です

出演は元大阪フィル首席コンマス・長原幸太、新日本フィルのコンマス・西江辰郎(以上ヴァイオリン)、読売日響首席・鈴木康治、読売日響等の首席客員・大島亮(以上ヴィオラ)、日本音楽コンクール第1位・上森祥平、各オケの客員首席・富岡廉太郎(以上チェロ)です

 

          

 

自席はJ列12番、左ブロック通路側、隣席は和服姿の妙齢の女性。和服はやっぱり40代以上の女性が似合いますね 会場は9割方埋まっている感じです

1曲目のモーツアルト「ディヴェルティメント変ホ長調K.563」は、作曲者が32歳の1788年9月にウィーンで作曲されました。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏曲です

左から長原幸太(Vn)、上森祥平(Vc)、鈴木康治(Va)という態勢です。長原幸太は、「聴く力」で有名な阿川佐和子がかなり前に”一押し”として推薦していたヴァイオリニストです 鈴木康治は4月2日の「ボストン響オーボエ奏者・若尾圭介の世界」で大活躍したヴィオラ奏者です。いつもニコニコしていて音楽するのが楽しくて仕方がないといった表情で演奏します

ディヴェルティメントK.563は6つの楽章から成ります。とくに第5楽章「メヌエット」と第6楽章「アレグロ」が馴染みのあるメロディーで、モーツアルトらしい明るい曲です 3人はお互いに間合いを取りながら三重奏の魅力を表出します。やっぱりモーツアルトの室内楽はいいです

ところで、ディヴェルティメントと言えば、思い出すことがあります。元の職場にいたとき、ウィーンで新聞関係の国際会議があって、そのプログラムの中に歓迎音楽会があり「ディヴェルティメント」という言葉が出てきました。プロの翻訳者が訳せなくて困っていました。「あいつなら知っているかも」ということで、私に頼ってきたのです 「ああ、それは喜遊曲ですね。一般的にはディヴェルティメント(喜遊曲)は室内で、セレナードは屋外で演奏される曲です」と解説すると、その翻訳者は目を丸くして驚いていました今から30年以上も前のことです

2曲目のシェーンベルク「清められた夜」は、若き日のシェーンベルクがリヒャルト・デーメルの同名詩をもとに1899年12月に作曲した単一楽章の弦楽六重奏曲ですデーメルの詩は次のような内容です

「月夜の林を散歩する男女。女が他の男の子供を宿したことを告白する しばし緊張の時間が訪れる。やがて男はその子を自分たちの子として受け容れることを誓う。そして二人は抱擁する

東京・春・音楽祭の総合プログラムの中で、著書「クラシックを聴け!」でクラシック界に激震を走らせた許光俊氏が次のように書いています

「本当なら、最悪の修羅場になりそうな内容の詩である。イタリア・オペラなら殺人や自殺が起きても不思議はないだろうし、男は復讐を誓うだろう だが、そうはならない。神秘的な月の光に支配された夜、事態はこれ以上望めないほど平和的に収拾されるのである 不安よりも後悔よりも、罪よりも軽率よりも、愛は強い

さて、音楽は詩の場面に即して情景描写や人物の感情を描いていきます そのため、起伏の激しい音楽が展開します。コンマスの長原、ヴィオラの鈴木、チェロの富岡の3人がリード役になって、かなり濃厚な音楽を奏でていきます

鳴り止まない拍手 にアンコールを演奏しました。それぞれのパートの左右が入れ替わり、西江辰郎がコンマスを務めます。最初は誰の何という曲かまったく判らなかったのですが、そのうちブラームスのハンガリー舞曲第5番のメロディーがはっきり聴こえてきたので、正体が判明しました しかし、ブラームスのオリジナル版ではないと思われます。シェーンベルクはブラームスのピアノ五重奏曲第1番を管弦楽用に編曲しているので、ひょっとするとブラームス作曲・シェーンベルク編曲による「ハンガリー舞曲第5番」かも知れません 違うかも知れませんが。6人の奏者はノリにノッて”舞曲”を弾き切りました。さすがは各オーケストラのトップクラスのメンバーによる臨時ユニットです

 

          

                 (「東京・春・音楽祭」の総合プログラム)

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