人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

日本演奏連盟「第25回クラシックフェスティバル・ファイナルコンサート」を聴く

2013年04月23日 07時00分05秒 | 日記

23日(火)。21日(日)午後3時から東京文化会館大ホールで日本演奏連盟の第25回クラシックフェスティバル「ファイナルコンサート」を聴きました プログラムは①バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488」、③ベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」です 演奏は尾高忠明指揮フェスティバル・オーケストラで、①のヴァイオリン独奏は志茂美都世、鈴木愛理、②のピアノ独奏は小山実稚恵、③の独唱はソプラノ=澤畑恵美、アルト=伊原直子、テノール=佐野成宏、バリトン=大山大輔、合唱は東京混声合唱団、二期会合唱団、藤原歌劇団合唱部です 伊原直子と言えば、かつてビゼーの歌劇「カルメン」のタイトルロールで一世を風靡し、その後マーラーの第2交響曲”復活”のスペシャリストと言われたアルトですが、今も現役で歌っているのが信じられないくらいです 歌手って丈夫で長持ちするのですね

 

          

 

自席は1階14列12番と、文化会館ではベストに近い良い席です 会場は7~8割方埋まっている感じです。オケは東京フィル、東響、日本フィル、新日本フィルのピックアップ・メンバーにより臨時に編成されたもので、コンマスは日本フィルのコンマス・扇谷泰朋が務めます

1曲目のバッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043」を演奏するため弦楽のみ26人のメンバーが登場します 次いで尾高とともにソリストの志茂美都世が朱色の、鈴木愛理がブルーのドレスで登場します 尾高は指揮棒を持ちません。オケを見渡しましたが、見たことのあるのはコンマスの扇谷氏しかいません 4つの在京オケのピックアップ・メンバーということですが、私には馴染みの薄い日本フィルが中心なのではないかと推測します

尾高の合図でバッハのコンチェルトが軽快なテンポで始まります が、ソリストの二人はそれぞれ「私は私、あなたはあなた」という感じで自分の分担を弾いているように見えました。多分気のせいだとは思いますが・・・・・・演奏が終わっても、二人はバラバラに拍手に応えているような印象を受けました。普通、タイミングを図っていっしょにお辞儀するものですが、まったくばらばらでした この二人は主催者側の要請で初めてコラボを組んで、全くなじまないまま本番を迎えたのではないか、と察しましたが、どうでしょうか

2曲目のモーツアルト「ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488」のためにピアノがセンターに運ばれます。オケのメンバーが追加され2倍の50人ほどに拡大されます ソリストの小山実稚恵がグリーンを基調としたドレスで尾高とともに登場します 冒頭、オケだけで前奏が奏でられますが、その間、小山は身体を軽く前後に揺らして音楽の流れに身を任せます モーツアルトのピアノ協奏曲を聴くといつも、ピアノは女王だと思います。「まだか、まだか」と待たされて、やっと主役のピアノが女王のごとく登場するのです

何と言ってもこの曲の聴きどころは第2楽章のアダージョでしょう。静謐なピアノの音だけが会場に静かに響き渡ります。何と哀しい音楽なのでしょうか 大原麗子が出演した映画「男はつらいよ」の喫茶店のシーンでこの音楽が印象的に流れているのを思い出しました。また、ドイツ映画「マリア・ブラウンの結婚」では食事のシーンでこのアダージョが流れていました

一転、第3楽章はアレグロ・アッサイの指示どおり、快活にピアノが踊ります 小山は、見るからに幸せそうに演奏、モーツアルトを弾くのが嬉しくてたまらないという心情が顔に現われています。それが演奏そのものに反映します。素晴らしいモーツアルトでした

休憩中にピアノが片付けられ、この日のオケのフルメンバーと合唱団が登場します。合唱は3団体の混成で約90人がオケの後ろにスタンバイします。いよいよこの日のハイライト、ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付”が始まります

ピアノが撤去されて視野が広がったことから、あらためてオケの配置を確認すると、おかしなことに気が付きました。それは第2ヴァイオリンとヴィオラの配置です 通常、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後ろにコントラバスという編成か、第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンという対向配置を取ります。ところが、楽器の大きさから見ると、第1ヴァイオリン、ヴィオラ、また第1ヴァイオリン、チェロ、またヴィオラ、第2ヴァイオリンという配置のように見えたのです つまりヴァイオリンもヴィオラも2つに分かれて配置されているのではないか、と思ったのです。それが気になって、とうとう第3楽章終わりまでずーっと考えていました

結論から言えば、私の勘違いで、正しい配置は第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラという編成だったのです ヴァイオリンとヴィオラは当然大きさが違いますが、見る角度によって大きく見えたり、小さく見えたりするようなのです 結果として演奏に集中できず無駄な時間を費やしてしまい、反省しきりです

尾高忠明の指揮は引き締まった音楽づくりで、ビシビシと決めていきます 広い会場ですが、ソリスト陣もよく声が通り、素晴らしい歌声を聴かせてくれました。3団体混成の合唱団も十分実力を発揮してくれました

東京文化会館大ホールでコンサートを聴くのは久しぶりですが、音響も良く、あらためて素晴らしい会場だと思いました 在京オーケストラの定期公演と言えばかつては東京文化会館でしたが、サントリーホール、東京オペラシティコンサートホール、東京芸術劇場と次々と音響の良い大ホールが出来てから、そちらに移ってしまい、今や存在感が薄れてしまいました しかし、実際に聴いてみると素晴らしい音響で、捨てがたい魅力があります また、オペラの本公演と言えば初台の新国立劇場を除けば、今でもNHKホールと並んで使用頻度の高いホールです。もっと頻繁にクラシックのコンサートが開かれることを希望します

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