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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「KSTアンサンブル2013 meets 吉野直子」公演を聴く~紀尾井ホール

2013年04月13日 07時00分17秒 | 日記

13日(土)。昨夕、紀尾井ホールで「KSTアンサンブル2013 meets 吉野直子」公演を聴きました KSTは「紀尾井シンフォニエッタ東京」の略です プログラムは①モーツアルト「弦楽五重奏曲第3番ハ長調K.515」、②同「アダージョとロンド ハ短調K.617」、③ドビュッシー「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」、④ラヴェル「序奏とアレグロ」です

自席は1階11列18番、ほぼ中央右ブロック通路側です。会場は9割方埋まっている感じです

1曲目のモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番ハ長調K.515」はヴァイオリン、ヴィオラ各2本とチェロによる五重奏曲です。チェロを2本とした五重奏もありますが、モーツアルトのそれはヴィオラ2本による五重奏の代名詞のような曲です。1787年4月19日に完成しましたが、翌5月に作曲された「第4番ト短調K.516」と対のようになっています 長調と短調、明と暗、光と影の関係です この曲はモーツアルトの全器楽曲の中で最大の規模を誇る曲です プログラムの解説を読んであらためて気づいたのですが、第1楽章「アレグロ」と第4楽章「アレグロ」に挟まれた第2楽章と第3楽章は2つのパターンがあるのです 初版では第2楽章が「メヌエット」で第3楽章が「アンダンテ」ですが、自筆譜によると第2楽章が「アンダンテ」で第3楽章が「メヌエット」となっており、新全集は後者を採用しているのです この日の演奏は「リハーサルを経て決定される」と書かれていたので、楽しみにして聴くことにしました

5人の演奏者の登場です。左から山貴子、鎌田泉(以上ヴァイオリン)、河野文昭(チェロ)、安藤裕子、鈴木学(以上ヴィオラ)という配置、つまりチェロを真ん中にしてヴァイオリンとヴィオラが左右対称に分かれる形です。山は葡萄色、鎌田は淡いパープル、安藤は淡いグリーンのドレスです

 

          

 

第1楽章の冒頭はチェロの特徴あるキザミで入ります ここがすごく良いのです。このグループは第2楽章に「メヌエット」を持ってきました。初版に従ったようです。このメヌエットがまたモーツアルトらしくて好きです 第3楽章「アンダンテ」は第1ヴァイオリンと第1ヴィオラの対話を聴いているような印象を受けます。モーツアルトはきっと特定の演奏者を念頭に置いて作曲したに違いありません そして、第4楽章の「アレグロ」では、明るいメロディーが駆け巡ります。モーツアルトの真骨頂です。5人の演奏は心地よく響きました

2曲目はモーツアルト「アダージョとロンドハ短調K.617」です。グラス・ハーモニカ(今回はハープ)、フルート、オーボエ(今回はヴァイオリン)、ヴィオラ、チェロによる五重奏曲です グラス・ハーモニカはあの政治家で科学者のベンジャミン・フランクリンが1761年に発明した楽器です。ちなみにモーツアルトは1756年1月に生まれています。この曲は1791年、つまりモーツアルトの死の年の5月にこの楽器の名手と言われた盲目の女性マリアンヌ・キルヒゲスナーのために作曲しました。滅多に生で聴くチャンスがありません

左からフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ハープという配置ですが、イエローのドレスで登場のフルート奏者・難波薫はまるでファッション・モデルのように長身でスマートです 鎌田、安藤が引き登板し、チェロの林俊昭とハープの吉野直子(ピンクのドレス)が新たに加わります。見た感じ「お父さんと4人の娘たち」といった風情です オリジナルがグラス・ハーモニカのこの曲は翳りのある内面的な曲想です。この曲を作曲した半年後にモーツアルトは息を引き取っています

3曲目のドビュッシー「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」は1905年に作曲されました。左からフルートの難波、ヴィオラの鈴木、ハープの吉野という態勢です 冒頭のフルートとハープのやり取りを聴いていると、何気に尺八と琴で弾いているような錯覚に陥りました 第2楽章は幻想的です。フィナーレは明るく賑やかです

最後のラヴェル「序奏とアレグロ」は、正式には「弦楽四重奏、フルート、そしてクラリネットを伴奏に伴うハープのための七重奏曲」です。左から鎌田、山崎、難波、鈴木(クラリネット)、吉野、林、安藤という布陣です こちらは2人のおじ様と5人のレディ達といった風情です。フランスの香りが漂う幻想的でエスプリに満ちた曲です 途中、ハープのカデンツァがありますが、吉野のハープは見事です 表面的には優雅ですが、ドレスの下は水面下の白鳥の足のごとく大忙しなのでしょう。ハープって大変だと思います

この日は大好きなモーツアルトの弦楽五重奏曲も聴けたし、珍しいアダージョとロンドも堪能したし、エスプリに満ちたドビュッシーとラヴェルの曲も聴けたし、大満足です

 

          

 

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