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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新日本フィル室内楽シリーズでブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」を聴く

2013年04月19日 07時00分13秒 | 日記

19日(金)。昨夕、すみだトりフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズを聴きました 2012-2013年度シリーズ後半の第1回目です。プログラムは①シューマン「弦楽四重奏曲第1番イ短調」、②ジョリヴェ「オーボエとファゴットのためのソナチネ」、③ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」の3曲です

いつもの通り、7時から新日本フィルの第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんによる「プレトーク」がありました まず「ボロディン弦楽四重奏団」についての解説がありましたが、設立時から現在に至るまでのメンバー総入れ替えの歴史を、原稿なしで一人の名前も間違えることなく流暢に解説しました あまりの博識に聴く側はただただ唖然として、その解説に頷くばかりです 篠原さんは本当に弦楽四重奏曲がお好きで、その好きが高じてその方面の知識が雪だるま式に身についたのでしょう その原点には、彼がアマデウス弦楽四重奏団のメンバーに師事し薫陶を受けたという事実があると思います 

 

          

 

さて、1曲目のシューマン「弦楽四重奏曲第1番」は、岸田晶子、宗田勇司(以上ヴァイオリン)、間瀬容子(ヴィオラ)、竹澤修平(チェロ)というメンバーで演奏されます プログラムに「演奏者による聴きどころ」というコーナーがあり、4人がこの曲についてコメントしてます

岸田「技術的にとても難しく、苦労しています」

宗田「大変難易度の高い作品」

間瀬「弾くのがとても難しい曲」

竹澤「超難曲」

4人に共通している漢字は”難”です。ロマン的で良い曲だと思いますが、演奏者たちのコメント通り、非常に演奏するのが困難そうな曲想で、各自がシューマンに格闘している様子が垣間見えました

2曲目のジョリヴェ「オーボエとファゴットのためのソナチネ」の演奏者は、古部賢一(オーボエ)と河村幹子(ファゴット)です この二人は東京藝大から、ミュンヘン音楽大学大学院、新日本フィル入団まで25年間の長い付き合いとのことで、息もぴったりです 曲は先日のクラリネット奏者のセバスチャン・マンツ風に表現すれば「殿様ガエルとアヒルの対話」のような曲です。現代音楽も、こういう楽しい(?)音楽だと親しめるのですが・・・・・・

さて、この日のメーン・イベントは3曲目のブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」です 演奏はトークの天才・篠原英和(ヴァイオリン)、木村恵子(ヴィオラ)、多田麗王(チェロ)、出久根美由樹(ピアノ)というメンバーです

第1楽章「アレグロ」はピアノの独奏から入り、チェロが美しいメロディーで加わり、第1ヴァイオリンとヴィオラが参加しますが、この冒頭を聴いて、「これはイケるぞ」と確信しました。実にいい感じなのです。篠原さんのヴァイオリンはトークのごとく”弁舌さわやか”で、ヴィオラの木村恵子とチェロの多田麗王が応えます。それを出久根美由樹のピアノがしっかり受け止め、陰になり日向になります このスタイルは最後まで変わらず、4人は見事なアンサンブルを展開します。一言でいえば「大人の音楽、大人の演奏」。別の言葉で言えば「芳醇なワイン のような味わい深い演奏」です。40分を超える大曲ですが、4つの楽章を通じて弛緩したところがなく、集中力に満ちた演奏でした。とりわけ篠原さんは、この演奏力があってあの名トークがあるのだと、あらためて感銘を受けました

 

          

 

終演後、いつものように500円を払って「ワン・コイン・パーティー」に参加しました 篠原さんの着替えが終わるまでのツナギとして、次期「プレトーク」夢先案内人の村松裕子さん(コントラバス奏者)が進行役を務めました 打ち合わせなしとのことで、若干戸惑いが見られましたが、彼女自身のスタイルを早く身に着けて、聴衆を楽しませてほしいと思います

篠原さんの着替えが終わり会場に現われて村松さんから”選手交代”しました。ヴァイオリンの岸田晶子さん(新日本フィルでは、その風貌から”アウンサンキッシ-”と呼ばれているらしい)や、この日誕生日を迎えたという木村恵子さん(おめでとうござます)にインタビューした上で、最後に篠原さん自身が演奏を振り返って「この曲を演奏すると、無性に肉を食べて赤ワインを飲みたくなります 演奏者に妻を加えてくださり有り難く思います。よくやってくれた と思います」と感想を述べておられました ピアニストの出久根美由樹さんは篠原夫人でいらっしゃいます。出身大学が同じなのでそこで出会われたのでしょうか

私は、赤白それぞれ1杯のワインを飲んで早々に引き上げましたが、演奏者を囲んでの宴はまだまだ続いていたようです。演奏者と聴衆とのこうした交流の場はいいものですね

 

コメント (8)
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