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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

セバスチャン・マンツのクラリネット・リサイタルを聴く~日経ミューズサロン

2013年04月17日 07時00分12秒 | 日記

17日(水)。昨日の午前中、九段にある健康保険組合会館に健康診断に行ってきました 待合室で待機している間、テレビモニターに”がん検診”の大切さを説いたドラマ仕立てのビデオが流されていましたが、その主人公の名前が「上杉検診」。われらが〇〇健保も3級程度か

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日朝刊に指揮者コリン・デイビスの死亡記事が載っていました 記事によると、

「英国の指揮者コリン・デイビスが14日に病気で亡くなったとロンドン交響楽団が発表した。85歳。1959年にロンドン交響楽団で初めて指揮し、95~2006年、同交響楽団の首席指揮者。07年から総裁を務めた。ボストン交響楽団などでも指揮した

コリン・デイビスはモーツアルトの演奏が良いのですが、ボストン交響楽団を振ったシベリウス交響曲全集(1975~76年の録音)は独特の魅力に溢れています 何種類か全集を持っていますが、デイビス版が一番のお気に入りです。何度聴いても飽きません

 

          

 

  閑話休題  

 

昨夕、大手町の日経ホールで第411回日経ミューズサロン「セバスチャン・マンツ・クラリネット・リサイタル」を聴きました セバスチャン・マンツは2008年9月、弱冠22歳でめったに1位を出さないことで有名なミュンヘン国際音楽コンクール・クラリネット部門で40年ぶりとなる第1位を受賞、合わせて聴衆賞も受賞した逸材です ピアノ伴奏はウィーン国立音楽大学大学院で学び、ウィーン・フィル団員との演奏の機会も多い三輪郁です

プログラムは①ウェーバー「シルヴァーナの主題による7つの変奏曲」、②ペンデレツキ「クラリネットとピアノのための3つのミニアチュア」、③シューマン「クラリネットとピアノのための幻想小曲集」、④ストラヴィンスキー「クラリネット・ソロのための3つの小品」、⑤ガーデ「クラリネットとピアノのための幻想小曲集」、⑥ブラームス「クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調」です

 

          

 

自席はG列7番、センターブロック左通路側です。会場は7~8割位埋まっている感じでしょうか。ミューズサロンとしては入っている方です

黒を基調とするドレスに身をまとった三輪郁とともにセバスティアン・マンツが登場します。とても27歳とは思えないほど落ち着いた雰囲気です

1曲目のウェーバー「”シルヴァーナ”の主題による7つの変奏曲」は1811年に当時有名だったクラリネット奏者ベールマンのために書かれました。プラハでの演奏会のために一晩で作曲したとのことですが、きわめて古典的な曲でした

ここでマンツがマイクを持って拙い日本語で「きょうは、ようこそお出でいただき、ありがとうございます。あとは三輪さんに通訳をお願いします」と言って、次のペンデレツキの「クラリネットとピアノのためのミニアチュア」について解説しました

「この曲を、よりいっそう理解していただくために、少し解説させていただきます 5年前にこの曲を演奏した時、批評家が『まるで鳥小屋の中にいるような曲だ。第1楽章は鳥がバタバタ騒いでいる様子、第2楽章は夜が来てミステリアスな雰囲気を醸し出していて、第3楽章は、鳥を捕まえに人間がやってきて、追いかけっこを始める。そして最後は・・・・どうなるか』と批評しましたが、まさにそんな感じの曲です。全部で4分程度の短い曲です

そして二人で演奏されたその曲は、まさにその批評家の言う通り人間と鳥の追いかけっこそのものという曲でした

3曲目のシューマン「クラリネットとピアノのための幻想小曲集」は1849年2月に3日間で集中的に作曲されました。クラリネットではなくチェロでこの曲を聴いたことがあるように記憶しています。シューマン独特の幻想的なメロディーが奏でられます

休憩後の1曲目、ストラヴィンスキー「クラリネット・ソロのための3つの小品」のため、マンツは2本のクラリネットを携えて登場しました。この曲を聴いていて「春の祭典」のクラリネットのメロディーを思い浮かべました

2曲目のガーデ「クラリネットとピアノのための幻想小曲集」は、シューマンの幻想小曲集を聴いて「ああいう曲を書きたい」と思って書いた曲とのことです。何も言われなければシューマンの曲だと思うほど”シューマン的”な曲です

さて、最後のブラームスの「クラリネット・ソナタ第1番」ですが、ブラームスが1891年3月にマイニンゲンを訪れた時に、現地の宮廷楽団のクラリネット奏者、リヒャルト・ミュールフェルトに出会い、優れた演奏に創作意欲をかきたてられ、クラリネット三重奏曲、クラリネット五重奏曲、2つのクラリネット・ソナタを書いたのです ソナタ第1番は全体的には寂寥感に満ちた曲です。マンツは切々とブラームスを歌い上げます。三輪もぴったり付けています

アンコールに、まずミヨーの「スカルムーシュ」の第3楽章「ブラジレイラ」(ブラジルの女)を生き生きと楽しげに演奏しました そして、再度マイクを持って三輪の通訳を介して「2曲目の”最後の”アンコールを演奏しますが、だれか会場でお手伝いをしてくれる人はいませんか。挙手をお願いします」と言うと、会場の最前列に座っていたGパンの青年が手を挙げ、舞台に上がって”お盆”を持ってピアノの手前に立ちました。会場の聴衆は”いったい何が始まるのか?”と興味深々です

”最後”のアンコールはシュライヤーという人の書いた「だんだんちっちゃく」という曲です 楽しげな音楽をクラリネットが演奏するのですが、曲の途中でクラリネットを分解して、演奏しては部品をお盆に乗せ、また演奏しては部品をお盆に乗せていくのです。最後にはマウスピース部分だけが残り、ピーッと吹いてオシマイです

マンツという演奏家はドイツ生まれのカチカチ頭ではなく、ユーモアを解する好青年のようです。なかなかのエンターテイナーだと思いました

 

 

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