人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ルノー・カプソン+ダヴィッド・カドゥシュによるヴァイオリン・リサイタルを聴く

2013年04月24日 07時00分12秒 | 日記

24日(水)。昨夕、トッパンホールでルノー・カプソンのヴァイオリン・リサイタルを聴きました プログラムは①ドビュッシー「ヴァイオリン・ソナタ」、②グリーグ「ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ短調」、③リヒャルト・シュトラウス「ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調」。ピアノ伴奏はダヴィッド・カドゥシュです

カプソンは1976年フランス生まれ、パリ国立音楽院で学び、97年からクラウディオ・アバド率いるグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラのコンサートマスターを務めました 使用楽器はアイザック・スターンが所有していた1737年製グァルネリ・デル・ジェスとのこと。一方、ピアノのダヴィッド・カドゥシュは1985年フランス生まれ、ニース音楽院とパリ国立音楽院で学びました

 

          

 

会場入り口のポスターには「SOLD OUT」の文字が躍っています。自席はF列24番で、前から6列目の右端の席。会場は文字通り満席です

1曲目のドビュッシー「ヴァイオリン・ソナタ」は作曲者の死の前年に書かれた唯一のヴァイオリン・ソナタです。完成は1917年で、初演はその年の5月15日でした。この時、ドビュッシーのピアノで初演したヴァイオリニストはガストン・プーレという人で、カプソンが師事したジェラール・プーレの父親だったとのことです

曲はドビュッシーらしい移ろうような、幻想的な感じの曲想で、ヴァイオリンとともにピアノが雄弁に語っていました ロングヘアで黒のタイトスカートのよく似合う譜めくりの女性がすごい美人です。演奏には何の関係もありませんが

2曲目のグリーグ「ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ短調」は1885年から87年にかけて作曲されました。第1楽章は慟哭のような非常に激しい曲です。一転、第2楽章はメロディーが美しい曲で思わず聞き惚れてしまいます。第3楽章のフィナーレは民族色豊かな音楽で、圧倒的な迫力で締めくくられます

最後のリヒャルト・シュトラウス「ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調」は、作曲者が24歳の時の作品です。彼らしい歌うような旋律に満ちています この曲は今まで生演奏で2回聴いています。2回とも女性のヴァイオリニストと男性のピアニストの組み合わせだったと記憶していますが、過去2回の演奏と今回のカプソン+カドゥシュの演奏とは全く印象が違います 過去2回の演奏は、まるで恋人同士の会話のように聴こえたのですが、今回のはヒロイックで男性的な演奏でした カプソンの演奏を聴く前は、「ひたむきな詩情と艶やかな官能」というチラシの謳い文句に影響され、甘くメロディーを奏でるカンポーリのようなイメージを描いていたのですが、全く違いました 艶やかではあるけれど、芯のしっかり通った極太の演奏でした カプソンのヴァイオリンを聴いていて、ふと、ロマン派最後の作曲家とも言われたコルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」を彼が弾いたらピッタリだろうな、と思いました。彼のヴァイオリンの音色と演奏スタイルがコルンゴルトのコンチェルトに最も相応しいと思ったのです 私はこの協奏曲が大好きです

圧倒的な拍手に応えてアンコールを演奏しました。いつかどこかで聴いたような美しいメロディーですが分かりません プログラムに「昨年11月に公開された映画『チキンとプラム~あるヴァイオリン弾き、最後の夢』の中で美しいメロディーを弾いていたのがカプソンだった」と書かれていたので、その映画を観た体験から、ひょっとしたら『チキンとプラム』の中で流れていた音楽かも知れないな、と一瞬思いました

 

          

 

鳴り止まない拍手に、2曲目のアンコールとして静かでロマンティックな短い曲を演奏しましたが、この曲も誰のどういう曲か分かりません

演奏終了後、出口の掲示でアンコール曲を確認して、びっくりしました と言うのは、1曲目の曲がコルンゴルトの歌劇「死の都」の”マリエッタのアリア”だったのです。やっぱり、彼はコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を弾くべきだと確信しました

ちなみに2曲目のアンコール曲は、レーガーの「ロマンス ト長調」でした

今回のコンサートを振り返って印象に残っているのは、カプソンの熱演とともにピアノのカドゥシュの存在です ヴァイオリンと対等に演奏する姿が目に焼き付いています。この二人のコンビは息がピッタリです。「おれたちゃ、ヤワな男じゃないぜ」と言いそうなナイス・ガイです プログラムのタイトルはすべて「ヴァイオリン・ソナタ」ですが、今回の演奏会に限って言えば「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」と呼んだ方が適切だと思いました

 

          

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