人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大江馨+清水和音で「ヴァイオリン&ピアノの夕べ」を聴く~都民芸術フェスティバル2015

2015年03月05日 07時01分10秒 | 日記

5日(木)。わが家に来てから158日目を迎え、船頭さんに成りきって乗船を促すモコタロです 

 

          

            お~い 船が出るぞ~ 最終便だよ~ 置いてくよ~

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊第1面のコラム「規制 岩盤を崩す」に「理容・美容 分断70年~縄張り放置 参入進まず」という見出しのもと、意外な事実が載っていました 美容師が男性の髪をカットするのは法律違反なのだそうです。1978年の厚生省(当時)の局長通知で美容師が髪を切るのは女性客という法解釈を示し、それが今でも生きているというのです 1947年に出来た法律により、美容師と理容師が同じ店で働くことは禁じられているとのことです。男と女の境が不明確になっている昨今、信じられない”現実”ですね。それ程、両業者の縄張り争いが激しいのでしょう 厚労省によると「議員立法は手をつけにくい」ということだそうです

話はちょっと違いますが、行きつけの理髪店で聞いた話では、最近理容師の成り手が減り、美容師ばかりが増えているそうです 「理容・美容専門学校」がありますが、美容師志望の生徒ばかりだそうです。たまには美容室をリヨウしようと思うのですが、現在の法律ではそうはいかないようです。何かリハツな考えはないものでしょうか・・・・・・今回のシャレはサンパツでした、ね

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「ヴァイオリン&ピアノの夕べ」公演を聴きました これは「都民芸術フェスティバル2015」の一環として開かれたもので、ヴァイオリン=大江馨とピアノ=清水和音が出演しました プログラムは①シューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番ニ長調」、②イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調”バラード”」、③ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調」、④プロコフィエフ「ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調」、⑤ラヴェル「ツィガーヌ」です

 

          

 

大江馨は1994年生まれ、仙台市出身です。第82回日本音楽コンクール第1位ほか、数々のコンクールで優勝しています 現在、桐朋学園大学ソリストディプロマコース特待生で、かつ、名前のイニシャルと同じKO、そう慶應義塾大学法学部3年在学中です 法学部ですよ、奥さん 一方、清水和音はロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門で20歳の時に優勝しています 2011年にデビュー30周年記念としてラフマニノフの「ピアノ協奏曲第1番~第4番」と「パガニーニの主題による狂詩曲」の全5曲を一度のコンサートで演奏した時に聴きに行きましたが、すべて暗譜で弾き切り、パワフルかつ繊細なピアノ演奏を披瀝したのを思い出します

自席はR38番、センター右ブロック後方、右通路側席です。会場は8割方埋まっている感じです ステージに2人が登場します。大江はすらっと背が高くスマートです 一方、清水は・・・・・・貫録十分です。さっそく1曲目のシューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番」の演奏に入ります。3曲のソナチネの最初の曲です。シューベルトらしい若く瑞々しい感性に裏付けられた曲です。大江は上がっている様子もなく落ち着いて、伸び伸びと演奏します

2曲目は難曲、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」です。この曲は6曲の無伴奏ソナタの中の3番目の曲です。ルーマニアの大ヴァイオリニスト、ジュルジュ・エネスコに献呈しています 冒頭から流れるのは、まるで幽霊でも出てきそうな曲想ですが、演奏は困難を極めます 相当の技巧が必要とされます。若き大江の演奏を聴いていて、「日本人がこれ程の演奏が出来る時代になったのだな」と感慨にふけりました

3曲目はブラームスの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」です。3曲のソナタのうち真ん中の曲です。ブラームスは1886年から88年まで、夏の間スイスのトゥーン湖畔で過ごしましたが、風光明媚なその地でこの曲を作曲しました 全体的に穏やかで伸びやかな曲想です。大江は曲想どおり、伸び伸びとブラームスの神髄を奏でていきます

 

          

 

休憩後の最初はプロコフィエフの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」です。実はこの曲、元々フルートとピアノのために作曲されたもので、後にヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフの薦めによりヴァイオリン用に編曲されたものです 普段、フルートの演奏で慣れ親しんでいますが、大江のヴァイオリンで聴く限り何の違和感も感じません。もともとヴァイオリンとピアノのために作曲されたのではないかと思うほどです もちろん作曲者自身の編曲が優れていることが一番の理由ですが、『名曲は楽器を選ばず』といったところでしょうか。全体的に歌心に満ちた優美で、時にメランコリックな曲想で、思わず聞き惚れます このソナタにおける大江の演奏は実に見事でした。色彩感豊かに生き生きとプロコフィエフの魅力を伝えてくれました 清水和音のしっかりしたサポートがあったればこそです

最後はラヴェルの「ツィガーヌ」です。「ツィガーヌ」とはジプシー(ロマ)のことです。この曲は一言で言えば「ハンガリー風狂詩曲」です 大江は冒頭のカデンツァから聴衆の耳を引き付けます。しばらく集中力に満ちた独奏が続きます 途中から清水のピアノが加わり、二人の対話が始まりますが、まるで一つの物語を語っているかのようです この曲も相当難度の高い技巧を要する曲ですが、大江は何でもないような涼しい顔をして最後まで弾き切ります。この演奏も見事でした 演奏が終わり会場一杯の拍手を受けますが、ピアノの清水は、あくまで若い大江を立てて賞賛の拍手を送っていました。人間が出来ていますね。流石です

実は、このコンサートはあまり期待していなかったのですが、実際に聴いてみたら大変な逸材に遭遇したという思いです まだ21歳という若さで、これからが勝負ですが、この人は近い将来伸びるのではないか、と思います ”久々の大型新人の登場”と言っておきましょう。大江馨という名前を頭の隅に留めておくことにします

 

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