人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

筒井康隆著「最後の喫煙者~自選ドタバタ傑作集1」を読む

2015年10月07日 07時01分08秒 | 日記

7日(水)。昨日、当ブログの読者ゆえさんと銀座の比内地鶏の美味しいお店でランチしました ゆえさんは当店自慢の”究極の親子丼”、私は焼鳥丼です

 

          

 

パーヴォ・ヤルヴィのN響常任指揮者就任記念演奏会を聴いてきたゆえさんから、マーラーの「交響曲第2番”復活”」の素晴らしさを聴き、今週水曜日に聴く同じコンビによるベルリオーズの「幻想交響曲」に思いを馳せました ゆえさんはコンサートで気が付いたことや疑問に思ったことなどを、手帳に細かな字で書き綴っていて、後で調べたりしているようで感心しました 「自分もクラシックを聴き始めたころは、そういう努力もしていたな・・・・ただ、書いた字がヘタで、後で読めなくて苦労したな・・・」と今さらながら反省しています。今でも、コンサートの最中プログラムに書き込んだメモを終演後に読み直すと、象形文字が羅列されていて判読に苦労します

ランチの後、ゆえさんからプレゼントをいただきました 私は今月中旬に誕生日を迎えるので、バースデー・プレゼントと勝手に解釈して有難くいただきました 家に帰って包みを開けてみると,美味しそうなお菓子が現われました 娘たちとゆっくり味わっていただいています ゆえさん,ありがとうございました

 

          

 

ということで、わが家に来てから375日目を迎え,パソコンのコードをかじって,5分後にしばかれるモコタロです

 

          

          こら モコタロ! それを齧ると倫理コードに引っかかるぞ!!

     

  閑話休題  

 

今日もコンサート会場で配布されるチラシの中から格安のコンサートをご紹介します 最初は,「園田高弘メモリアル・シリーズ~ベートーヴェン撰修・第2集」①今日午後7時からと10日(土)②午後3時から③午後6時からの3公演で,虎の門のJTアートホールアフィニスで開かれ,ピアノ・ソナタが演奏されます 入場料は各3,000円で,2回連続券が5,000円,3回連続券が7,000円です

 

          

 

2枚目は10月31日(土)午後3時から東京藝大奏楽堂で開かれる「フランスの名手たち『フォーレとドビュッシー』」公演です プログラムは①ドビュッシー「フルート,ヴィオラ,ハープのためのソナタ」,②同「チェロとピアノのためのソナタ」,③「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」,④フォーレ「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調」です 出演は,フルート=高木綾子,ヴィオラ=ブルーノ・パスキエ,ハープ=早川りさこ,チェロ=中木健二ほか.入場料は全席自由で2,000円です

 

          

 

3枚目は11月10日(火)午後7時から神楽坂の音楽の友ホールで開かれる「ベートーヴェンと19世紀ー編曲の魅力を聴く!」公演です 一種のレクチャーコンサートで,ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番のピアノ三重奏版他が演奏されます 入場料は一般:3,000円,学生2,000円です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

筒井康隆著「最後の喫煙者~自選ドタバタ傑作集1」(新潮文庫)を読み終わりました 筒井康隆は1934年,大阪市生まれ.同志社大学卒.「時をかける少女」「七瀬ふたたび」「パプリカ」などで知られています

「急流」「問題外科」「最後の喫煙者」「老境のターザン」「こぶ天才」「ヤマザキ」「喪失の日」「平行社会」「万延元年のラグビー」の9作の短編から成ります

 

          

 

標題になった「最後の喫煙者」は,ヘビースモーカーの流行作家(筒井自身か?)が嫌煙権運動に追い込まれ,遂に世界最後の喫煙者になり,国会議事堂の頂に座り込んでタバコを吸いまくるのですが,「今や彼は貴重な,喫煙時代の遺物なのであります.天然記念物であり,人間国宝ともなり得ましょう.保護したやらねばなりません」という緊急に発足した喫煙者保護協会の代表者の声を聞きます ”おれ”は「保護され始めた鳥獣は必ず絶滅するものと相場は決まっている.死ねば剥製にされてさらしものだ.そんな死に方をさせられてたまるものか」と言って地上へ飛び降りようとした しかし,すでに遅し.網が張られていた という話です

この物語の中に,主人公が新幹線の喫煙車両に乗った時のことが書かれています

「シートはぼろぼろで窓ガラスは煤だらけ・・・天井には蜘蛛が巣を張り巡らせ,車内放送がグリーグのピアノ協奏曲イ短調を暗鬱に流し続けているという不気味さだ

ここで,「はて,グリーグのピアノ協奏曲はそんなに暗鬱な音楽だろうか?」と疑問に思いました 第一,どの楽章なのかが分かりません.おそらく第1楽章冒頭のピアノによる強打の後のメロディーを言っているのだろうと想像しますが,なぜグリーグなのか??

筒井康隆はSF作家であると同時に文壇では演劇人としても知られている存在です 彼はこのシーンを書くに当たって,自分が劇の登場人物としてその場にいるところを想像しながら,バックに流れるBGMとしてどんな音楽が相応しいか,と考えた.その結果がグリーグだったのだと思います 「ピアノ協奏曲」でなく「ピアノ協奏曲イ短調」とわざわざ”イ短調”の曲であることを示しているのは,世間では「短調=暗い」というイメージが広まっていることを承知のうえで書いたのでしょう.彼の頭の中は単調ではありません.存在そのものが異端です

その他の作品も常軌を逸したドタバタ揃いで,「老境のターザン」などは危なくて電車の中では読めません 気軽に読めるエンタメ小説としてお薦めします

 

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