22日(木).わが家に来てから390日目を迎え、人生の黄昏を背中で示すモコタロです
どうせおいらは ヤクザな兄貴 わかっちゃいるんだ 妹よ,てか
閑話休題
昨夕,当社の社員一同が新橋駅前の第一ホテル2階,フレンチ・レストラン「アンシャンテ」に集い,会食しました まるでヴェラスケスの絵に出てくるような宮廷の”鏡の間”(そういうのがあれば)のような豪華な部屋で,部屋に入っただけで貴族の仲間入りをしたような気持ちになりました 会合の趣旨はこの日の”主役”の要望により,ブログ上では秘匿扱いになっています.ご了承ください
最初にN専務の挨拶があり,次いでT監査役の音頭で乾杯しました 料理はフランス料理のフル・コースです.最初は「ドライフルーツを合わせたパテ 木苺のソース添え」.絶妙の味です
次は「カリフラワーのポタージュ」です.初めていただきましたが,美味しいです.飲み物は白ワインに代わっています
次は「真鯛のアラヴァプール モロヘイヤのソース」です.肉が軟らかいのでスプーンとフォークでいただきました
次はメイン・ディッシュの「牛ヒレのポワレ赤ワイン風味の巨峰をあわせたソース」です.軟らかい肉で,ソースが抜群に美味しかったです
次はデザート.「フルーツと木苺のゼリーで飾ったパッションフルーツ風味のチョコレートムース」です 周りのゼリーを数えてみたら12ありました.これって,日時計を表しているのかな???隣席のN専務の解釈は「オレンジ色のパッションフルーツは朝を,左隣のオレンジは昼を,その隣のキウイは夜を表しているではないか」とのこと.言い得て妙です
もちろん最後の仕上げはホット・コーヒーですが,ありふれていて絵にならないので省略します 美味しかった3種類のパンを含めて,どれもが「アンシャンテ」(フランス語で”ようこそ”の意味)自慢の料理で,上品かつ美味な逸品揃いでした 食後に全員で写真を撮りました.幹事のK君お疲れ様でした
この後,有志6名で都内某所(ここだけの話,上野です)のクラブJで,飲みつつカラオケを歌いました 人数が多かったので歌は3曲程度しか歌えませんでしたが,超楽しかったです 帰りがけにお店のママからお土産をいただきました.音符に”フィガロ”,これはほとんどモーツアルトです まるで私がこの日の主役のようです 世話役のE部長,ありがとうございました
も一度,閑話休題
このブログでもご紹介した「コバケンとその仲間たちオーケストラ コンサート」のチケットを買いました たまたま11月1日(日)にコンサートの予定が入っていなかったので,またチケット代が3,000円と格安だったこともあり,躊躇なくチケットを買い求めました
さて,今日もコンサート会場で配られるチラシの中からチケット代が比較的安価なコンサートをご紹介します 1枚目は,11月18日(水)午後7時から虎の門のJTアートホール アフィニスで開かれる「愛と追憶の六重奏」公演です.プログラムは①ブラームス「弦楽六重奏曲第2番」,②シェーンベルク「浄められた夜」で,出演者はヴィオラの鈴木康治ほかすべて読響の楽員です.チケット代は全席自由で4,000円です.これお薦めです
2枚目は,12月6日(日)午後2時から文京シビック大ホールで開かれる「東京大学フィロムジカ交響楽団第43回定期演奏会」です プログラムは①シベリウス「交響曲第1番」,②ニールセン「交響曲第2番」,③フンパーディンク「歌劇”ヘンゼルとグレーテル”前奏曲」で,全席自由で入場無料(カンパ制)です ただ同前で北欧の音楽が聴きたい人にはもってこいのコンサートです
3枚目は同じく12月6日(日)午後2時からウェスタ川越大ホールで開かれる「小江戸川越第9の会~第9」公演です プログラムは①ブラームス「大学祝典序曲」,②ベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」です.チケット代は指定席:2,500円,自由席:2,000円で,前売りはそれぞれ200円安くなります.これは埼玉県の川越に近い人にお薦めしておきます
4枚目は12月16日(水)午後7時から文京シビック大ホールで開かれる「文の京の第9」公演です プログラムは①ワーグナー「さまよえるオランダ人」序曲,②ベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」です.チケット代は全席指定でA席:2,000円,B席:1,000円です.これお薦めです
最後の,閑話休題
西加奈子著「ふくわらい」(朝日文庫)を読み終わりました 西加奈子は1977年テヘラン生まれ.関西大学法学部卒業.2004年「あおい」でデビュー,2013年「ふくわらい」で第1回河合隼雄物語賞を受賞,さらに15年には「サラバ!」で第152回芥川賞を受賞しています 先日,このブログで「漁港の肉子ちゃん」をご紹介しましたね
主人公の鳴木戸定は出版社の編集者として働いているが,幼い頃,父に連れられて世界の辺境地を旅して人肉を食べるなど特殊な環境で育てられたこともあり,「愛すること」とか「気持ちが悪いこと」など,普通の人たちが当たり前に感じることの出来ることが出来ない したがって友だちもいない.そんな中,イタリア人と日本人のハーフである盲目の男性・武智次郎に一目ぼれされ求愛されたり,定が編集を担当する引退間際のレスラー・守口廃尊の”書くことへの純粋な気持ち”などに接しながら,「愛すること」を認識し,友情を育み,普通の女性の感覚を獲得していく
主人公の鳴木戸定は父親の鳴木戸栄蔵が,作家「マルキ・ド・サド」から採って付けた名前であることが説明されています 標題の「ふくわらい」は,定が4歳の時に母親が買ってきた雑誌の付録に付いていた「福笑い」に触れて,その面白さのとりこになり,その後,人の顔を見ると,目や鼻や口や耳を,頭の中で,位置を変えてみたり,誰かのパーツと代えてみたりして一人遊びするようになったことから付けられたタイトルです
この小説の中で一番印象に残るのは,居酒屋で,いろいろあった後で”親友”になった同僚の小暮しずくが定に語るシーンです.しずくは語ります
「あのイタリア人が言ってた,定ちゃんも言ってた,あのすべてとか,先っちょの話.なんとなく分かるような気がしたよ 定ちゃんは私のこと,職場にいる私だけがすべてだって,いつか言ったよね.あれ,イタリア人も言ってたよね.僕が知っている定さんがすべてでなんとかかんとかって.あとさ,先っちょだけでも入れたいとかさ,ふざけたこと言ってたけど,私も定ちゃんも,今,先っちょで,すべてじゃない?分かる?今までの歴史みたいなもんあるじゃん,お互い 今日,定ちゃんが話してくれた,定ちゃんの過去・・・そういうのが,すべて積み重なって,その先端に,今の定ちゃんがいるわけじゃない?私にとって,今の定ちゃんがすべてだよ.そんで,それは先っちょだよ!」
ここが,西加奈子さんが言いたいことだったのではないか,と思います
今,目の前にいる人は,すごく親しい人であっても,自分はその人のすべてを知っている訳ではない 別のところに行けば別の顔を持っているかも知れない.それは本人にしか分からない.しかし,目の前にいる人は,その人だけの人生を背負ってそこに立っている
先日の「漁港の肉子ちゃん」にしても今回の「ふくわらい」にしても,西加奈子の作品を読むとそこはかとなく温かい気持ちになります 一気読み必至です.お薦めします