人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ヤルヴィ+N響でベルリオーズ「幻想交響曲」を聴く~弱音の美しさを堪能

2015年10月09日 07時02分56秒 | 日記

9日(金)。わが家に来てから377日目を迎え,なぜか体重計を避けてくつろぐモコタロです

 

          

           ぼくが体重計を避けてるんじゃなくて 体重計がぼくを・・・・・

 

  閑話休題  

 

昨夕、NHKホールで「NHK音楽祭2015~NHK交響楽団演奏会」を聴きました。N響の首席指揮者に就任したばかりのパーヴォ・ヤルヴィの指揮で、①ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、②ラヴェル「ピアノ協奏曲」(ピアノ独奏:ティボーデ)、③ベルリオーズ「幻想交響曲」という”フランスもの”が演奏されました

 

          

 

自席は2階C9列13番です.が,ちょっとした事件が起こりました その席で1,000円で買ったプログラムを読んでいると,アラサ―の男性とその母親くらいの年の女性の二人連れが来て,チケットと私の席を見比べています.「何番ですか?」と訊かれたのでチケットを見せると,その青年が2枚のチケットを見比べて「あれーっ 凄いですねー 同じだ」と言いました.私も立ち上がって2枚とも見せてもらいましたが,相手のチケットはNHKで直接手配した多色刷りカラーのもので,私のはチケットぴあで手配したインクジェットで打ち出したような例の淡いピンク色のチケットです

しかし,席番号は確かに2枚とも2階C9列13番となっています.「これは係りの人に訊いてみないと分かりませんね」というと,その青年が係員を呼びに行ってくれました.しばらくして,係員が来て「チケットをお預かりしてもよろしいですか?」と訊くので,預けました.しばらくして,係員と青年が戻ってきて,係員が「当方の発券ミスです.ご迷惑をおかけしました お客様には前の列に移っていただきます」と言って,2階C8列12番のチケットを渡されました 私はン十年もコンサート通いをしていますが,こんなことは初めてです.アラサ―の青年が最初に発した「凄いですねー」というのがピッタリの経験でした

 

        

 

ついでに言うと,私の2つ前の6列13番には,何かと世間に話題を提供してきたNHKのM会長が座っていました コンサートを聴いている時,身体を右に傾けていました.どうもこの人は国会での発言も音楽を聴く時の姿勢も右寄りだな,と感心した次第です

会場はほぼ満席です.NHKホールは約3,600席ありますが,それを満席にできるのですから,ヤルヴィの人気がいかに凄いかということです オケのメンバーが入場します.この日のコンマスは第1コンサートマスターの,マロこと篠崎史紀です.オケの態勢は左奥にコントラバス,その前に第1ヴァイオリン,右にチェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります

大きな拍手の中,エストニア生まれのパーヴォ・ヤルヴィが登場します.私は彼の姿を見ると,どうもロシアのプーチン大統領の顔を思い出して困ります しかし,颯爽としていてカッコいいのです

1曲目のドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」は,『20世紀の音楽はこの曲から始まった』と言われる画期的な曲です フルートによる有名な旋律から始まりますが,このフルートが素晴らしい そして,弦楽器,とくに第1ヴァイオリンの弱音が素晴らしい 弱音の場合,音が痩せてしまう恐れがありますが,ヤルヴィのタクトはそうはさせません しなやかに,しかもしっかりと聴衆の耳に届けます.これが本当にN響の音だろうか,と耳を疑ってしまいました

オケが縮小し,ピアノがセンターに運ばれます.2曲目はラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」です 1961年フランスのリヨン生まれのジャン・イヴ・ティボーデがヤルヴィとともに登場します.ピアノ協奏曲は数あれど,鞭の音から始まるのはラヴェルのト長調コンチェルトしかありません ティボーデは軽やかにラヴェルを奏でます.第2楽章は夢見るようなロマンティックな曲想です.第3楽章はまるでジャズです.ヤルヴィもティボーデもノリノリで駆け抜けます

 

          

 

休憩後はベルリオーズ「幻想交響曲」です 再びオケが拡大しフル・オーケストラで臨みます.演奏を聴いていて感じたのは,オケに歌わせるところはじっくりと歌わせ,決して先を急ぐことをしない,ということです そして,この曲でも弱音を大切にしている様子が窺えます

第2楽章の「舞踏会」の演奏の素晴らしさ 隣席の若い女性は曲に合わせて身体を揺らしています.気持ちは分かります そして,第3楽章の「野の風景」では,コーラングレと舞台裏(左袖)のオーボエとの対話が郷愁を誘います ヤルヴィはここでもじっくりと対話させます

第4楽章「断頭台への行進」は一転,勇ましく力強い音楽が奏でられます.ここは金管楽器と打楽器が大活躍します ここではファゴットの”キザミ”がたまりません そして最後の第5楽章「ワルプルギスの夜の夢」では不気味な音楽を管楽器が奏で,大団円を迎えます

演奏が終わるや否や,会場一杯の拍手とブラボーがステージに押し寄せました 何度もカーテンコールが繰り返され,ヤルヴィは楽員を立たせます.他の指揮者ではこれほど熱狂的な歓迎ぶりは見られないでしょう.すごい人気です

帰りがけ,後ろの席のアラサ―の青年にひと言声をかけて会場を後にしました.この日のコンサートの模様は11月8日(日)午後9時からEテレ「クラシック音楽館」で放送されるそうです その場で聴くのとテレビを通して聴くのとでは印象が異なるはず.是非聴かなければ

 

          

コメント
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