23日(金).昨日、日本記者クラブのI氏とクラブ・レストランでランチしました 別れ際に「お世話になっているので」ということで、プレゼントをいただきました 最近よく、いろいろな人からプレゼントをいただきます
包みを開けてみると,記者クラブ特製のマグカップが出てきました.大切に使わせていただきます.Iさん,ありがとうございました
ということで、わが家に来てから391日目を迎え、床に寝そべるモコタロです
ちーす 今日もパソコン動いてよかったね~
閑話休題
昨夕,サントリーホールで「ピアニスト チョン・ミョンンフンの室内楽」公演を聴きました これは「サントリーホール・スペシャルステージ2015」の一環として開かれたもので,日韓国交正常化50周年を記念したコンサートの第3日目(最終公演)です
当初発表されていたプログラムは①ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番ハ短調」,②同「ピアノ五重奏曲ヘ短調」でした が,昨日朝,サントリーホールから届いたWEB会員宛てのメール(21日16時発信)を見ると,「出演者の希望により」2曲とも曲目が変更されていました 演奏会の前日午後4時に曲目変更が発表され,しかも全曲が変更されたことに驚きを禁じ得ません 練習時間の確保も必要だろうし,いったいいつ出演者全員の了解を取り付けて曲目変更を決定したのか,非常に疑問に思いました
変更後のプログラムは①ブラームス「4つの小品・作品119」,②モーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」,③ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番ロ長調」です 先週末から昨日まで変更前の2曲をCDで予習していたのに,まったくの徒労に帰してしまいました しかし,変更後の曲目については何の不満もなく,とくにブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」はブラームスの曲の中で一番好きな作品なので大歓迎です
出演は,ピアノ=チョン・ミョンフン,ヴァイオリン=スヴェトリン・ルセヴ,成田達輝,ヴィオラ=ファン・ホンウェイ,チェロ=堤剛で,当初発表のメンバーと変更はありません
自席は1階13列15番,左ブロック右通路側です.会場は7~8割埋まっている感じでしょうか ステージ中央にはグランドピアノがデンと構えています.チョン・ミョンフンが登場します が,マイクを持ち,通訳を伴っています 何事かと思っていると,急な曲目変更についての釈明でした.チョン氏は語ります
「左手に痛みがあり,最初は上部だったのが次第に下に降りてきた ブラームスの『ピアノ四重奏曲』と『ピアノ五重奏曲』は,左手で低音部の”重い音”を弾くのに相当な力を入れなければならないので,演奏に辛いものがある マネジメント側から『より軽いタッチの曲に変更してはどうか』というアドヴァイスを受け,それを受け入れることにした 曲目は変更になったが,変更前に負けない魅力ある選曲になったと思うが,いかがだろうか」
これには私を含めて納得する聴衆が多く,拍手が起きました チョン・ミョンフンは舞台袖に引き上げず,そのままピアノに向かい,最初の曲,ブラームスの「4つの小品・作品119」を弾き始めました 4つ目の「ラプソディ」はシューマンの「アラべスク」に変更されました.これも左手の重い音がネックになっているのでしょう チャイコフスキー国際コンクール第2位入賞のピアニスト,チョン・ミョンフンの面目躍如の演奏でした
次いでピアノのチョン・ミョンフン,ヴァイオリンの成田達輝,ヴィオラのファン・ホンウェイ,チェロの堤剛の4人が登場し,モーツアルトの「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」の演奏に入りました モーツアルトが29歳の時の作品ですが,当時のピアノ四重奏曲はピアノとヴァイオリン2本とチェロによる編成が一般的だったのに対し,弦楽をヴァイオリン,ヴィオラ,チェロとし中音域を充実させました
ヴィオラの主張がやや大人しい感じがした半面,チョン・ミョンフンのピアノは絶好調で,さすがは世界のチャイコフスキー・コンクール第2位の実力だと思いました
休憩後はブラームスの「ピアノ三重奏曲第1番」です この曲はブラームスが21歳の時に完成した作品ですが,その後30年以上経った1889年(ブラームス56歳の時)に大幅な改訂を行い,全体的にスリムにしたのでした
この曲はブラームスの数ある魅力的な室内楽曲の中でも一番好きな曲です 数年前にチョン姉弟トリオでこの曲の演奏を聴いたときは,チョン・ミョンフンのピアノの冒頭のテンポが速すぎて,がっかりした苦い思い出があります したがって,今回の”曲目変更”は吉と出るか凶と出るか,賭けのようなものだったのです
さて,その冒頭です.チョン・ミョンフンのピアノが入ってきます.良いテンポです 次いで堤剛のチェロが,そしてルセヴのヴァイオリンが参入します.とても良い感じです.ブラームスのピアノ・トリオはこうでなくっちゃ,というテンポ設定です ブラームスは急いではいけません
3人とも素晴らしいのですが,今回聴いて認識を改めたのは堤剛のチェロです 今までは,どこが良いのか分からないところがあったのですが,今回のブラームスは本当に素晴らしい演奏でした ブラームスにはある程度,演奏家の熟練が必要なのだろうか,と思わせる堂々たる演奏でした チョン・ミョンフンのピアノは,もうピアニストとしてプロです.リサイタルに客を呼べる実力です
この日の演奏曲目変更は,ブラームスの重厚な2曲を期待していた聴き手にとってはアンラッキーな出来事だったかも知れませんが,私にとっては”災い転じて福と為す”といったラッキーな出来事でした そういう風に思わせたのは指揮者チョン・ミョンフンのピアニストとしての実力でした