20日(火).わが家に来てから388日目を迎え,中国よりも日本経済の停滞を心配するモコタロです
7%割れか・・・・それじゃ 日本は何パーセントなわけ?
閑話休題
昨夕,サントリーホールで,チョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルのコンサートを聴きました これは「サントリホール・スペシャルステージ2015」の一環として開かれるもので,日韓国交正常化50周年を記念する公演です.プログラムは①ブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調」,②同「交響曲第4番ホ短調」で,①のヴァイオリン独奏はスヴェトリン・ルセヴ,チェロ独奏はソン・ヨンフンです
自席は1階13列15番,左ブロック右通路側です.会場は8~9割方埋まっている感じです オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスというオーソドックスな態勢をとります 全体的には韓国人が多いのですが,管打楽器は半数近くはヨーロッパ系に頼っています.コンマスはロング・ヘアをポニーテールにした女性です コンマスがソリストになるのでその代演です
1曲目はブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」です ちょっとした誤解からケンカ別れの状態にあった大ヴァイオリニスト,ヨアヒムとの和解を意図して作曲されたと言われています
ヴァイオリンのルセヴは1976年ブルガリア生まれで,2005年から,チョン・ミュンフンが長い間音楽監督を務めていたフランス放送フィルハーモニーのコンマスを務め,07年からはソウル・フィルの首席客員コンサートマスターも務めています チェロのソン・ヨンフンは別府アルゲリッチ音楽祭の常連の実力者です
二人のソリストがチョン・ミョンフンとともに登場します.チョン・ミョンフンはほとんど例外なく暗譜で指揮をします 彼のタクトで第1楽章冒頭,雄渾の管弦楽に乗ってチェロが登場します その後ヴァイオリンと対話を繰り返します.穏やかな第2楽章を経て,ハンガリー風の曲想の第3楽章に移行し,情熱的に対話を繰り返し,白熱のフィナーレに突入します ルセヴのストラディバリウスとヨンフンのカルロ・アントニオ・テストーレの力強くも美しい音色が会場一杯に響き渡ります
休憩後はブラームスの「交響曲第4番ホ短調」です 1曲目でソリストを務めたルセヴがコンマスを務めます.チョン・ミョンフンが登場,タクトで丸く円を描くと,その途中で”ため息”のメロディーが流れ出てきます.寄せては引き,引いては寄せる波のような音楽が続き,ブラームスの世界が描かれます 驚くべきは弦の厚みです.ヴァイオリンもチェロもヴィオラもコントラバスも圧倒的な力で迫ってきます 私が特に素晴らしいと思ったのはヴィオラ・セクションです.これほど存在感の大きなヴィオラ・セクションも珍しいでしょう とくに第2楽章「アンダンテ・モデラート」における演奏は特筆に値します 第3楽章ではフィナーレ部の畳み掛けが見事です.そして第4楽章では弦のウネリが身に迫ってきます
私が初めてソウル・フィルを聴いたのは,確か2011年の秋だったと思います 開演前のステージ上には意欲に溢れたピチピチの若者たちが処狭しとスタンバイし,直前練習に励んでいました 平均年齢は20代後半くらいだったのではないかと思います.女性は全員,上下黒のパンツ・ルックで,その機能的な統一感はとても美しく,日本のオケも女性は全員パンツ・ルックに統一した方がカッコいいのではないか,と思ったものです 演奏も若さに溢れた感動的なものでした
その時に比べて,今回目の前に見るソウル・フィルは,楽員の平均年齢が上がったのか,非常に落ち着いた印象を受けます あるいはメンバーの何人かは入れ替わったのかも知れません.いずれにしても,現代の数少ないカリスマ指揮者,チョン・ミョンフンのタクトの下,実力以上の力を発揮していたことは,4年前も昨日も同じでした
何度もカーテン・コールがあり,チョン・ミュンフンは再度タクトを持って登場し,振り返りざまタクトを振り下ろし,ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」を鮮やかに演奏しました 私は,アンコールをやるのなら,この曲か,あるいは同じ舞曲の第5番かどちらかだろうと予想していましたが,当たりましたね
この日の演奏は,私が今年聴いた百数十回のコンサートの中で間違いなくベスト・テンに入るでしょう 今日は一連のコンサートの2日目.チョン・ミョンフンが東京フィルを相手にマーラーの第1番を振ります いざ,サントリーホールへ