人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

チョン・ミョンフン+東京フィルでマーラー「交響曲第1番」他を聴く

2015年10月21日 07時15分57秒 | 日記

21日(水),わが家に来てから389日目を迎え,居間を散歩するモコタロです

 

          

           パソコン 今日も動いたね お陰で僕も登場できるし

 

  閑話休題  

 

昨夕,サントリーホールでチョン・ミョンフン指揮東京フィルのコンサートを聴きました これは「サントリーホール・スペシャルステージ2015」の一環として開かれたもので,日韓国交正常化を記念したコンサートです.昨日に続いて第2日目です プログラムは①ヴェルディのオペラ「ラ・トラヴィアータ」第2幕から抜粋,②マーラー「交響曲第1番ニ長調」で,①のソプラノは天羽明恵,バリトンは甲斐栄次郎です

 

          

 

自席は1階11列15番、左ブロック右通路側です。会場は前日のソウル・フィルの時よりも入りが少ないようですが,それでも7~8割方埋まっているでしょうか

オケの面々がスタンバイし,コンマス・三浦章宏の合図でチューニングが行われます チョン・ミョンフンが登場し,1曲目,ヴェルディの歌劇「ラ・トラヴィアータ}(椿姫)の序曲が開始されます.これ程繊細な音で始まる序曲も少ないでしょう.このオペラの結末を暗示しています

序曲が終わると,ステージ左袖から白と淡い赤をベースにしたドレス(椿姫をイメージしている?)に身を包まれた天羽明恵が登場し,第1幕で歌われるヴィオレッタのアリア「ああ,そはかの人か~花から花へ」が歌われます この人はヴィオレッタに成りきって歌います 美しいソプラノです.ここで気が付いたのですが,チョン・ミュンフンは楽譜を見て指揮をしています.これは極めて珍しいことです もちろん,オペラの伴奏ですから楽譜があるのが当たり前と言えばそれまでですが,私はかつて,彼が演奏会形式でオペラを上演したのを聴いた時は,オペラなのに楽譜がありませんでした.それはぶったまげました

さて,聴衆の拍手がつなぎ役となって,天羽が退場,代わりにバリトンの甲斐栄次郎が登場します ヴィオレッタの恋人アルフレードの父ジェルモンが第2幕で歌う「プロヴァンスの海と陸」を朗々と歌い上げます この曲はバリトンが映える曲です

また聴衆の拍手がつなぎ役となって,今度は2人一緒に登場しますが,天羽はグリーンを基調としたドレスに”お色直し”しての登場です 華やかなパリの社交場から郊外の田舎に移ったヴィオレッタの姿をドレスで表現したのだと思います 二人は第2幕の二重唱「天使のように清らかな娘」を表現力豊かに歌い上げます この曲は,息子と別れるように迫るジェルモンと,それに抵抗するものの最後には受け入れるヴィオレッタの心の動きを表していますが,とくに天羽のヴィオレッタは迫真の演技のもと切々と”道を踏み外した女”を歌い上げ,聴衆の心を鷲づかみしていました

 

          

 

休憩後はマーラーの「交響曲第1番ニ長調”巨人”」です オケが拡大しフル・オーケストラで臨みます.第1楽章では,舞台上で演奏する管弦楽とステージ左袖奥で演奏するトランペットとの会話が印象的です 楽章の終結部で,チョン・ミョンフンはオケを煽り立て息つく間も持たせません 第2楽章では力強い低弦の響きと管楽器の咆哮が印象に残ります

第3楽章冒頭は,コントラバスの独奏で民謡「フレール・ジャック」のメロディーが奏でられ,切れ目なく第4楽章「嵐のように」に突入します.チョン・ミュンフンは指示通り「嵐のように」オケを煽り立て管弦楽の魅力を最大限に引き出します 終盤ではマーラーの指示通り,ホルン8人を立たせて演奏させます.フィナーレの畳みかけは凄まじいものがありました 最後の音が鳴り終るや否や,会場一杯の拍手とブラボーの嵐です 会場のそこかしこでスタンディング・オベーションが見られました

ここで,チョン・ミョンフンの指揮を振り返ってみると,テニスをやったことがある人は分かると思いますが,彼はテニスにおけるスイングと同じことを指揮でやっているように見受けられます テニスでは,相手のボールを待ち構えている時はグリップを軽く握ってスタンバイします.しかし,ボールが飛んできて,それを打ち返そうとするときは,その瞬間にグリップを強く握りラケットを振り抜きます チョン・ミョンフンの指揮をみていると,通常は肩の力を抜いて指揮しているのが,いざフォルテに移るときは瞬間的に力を込めてタクトを振り切っているように見えるのです

久しぶりにチョン・ミョンフンの指揮でマーラーの交響曲を聴きましたが,相変わらず緊張感に満ちた瞬発力を感じさせる指揮ぶりでした

 

          

 

コメント
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