人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ヘンヒェン+新日本フィルでブラームス「交響曲第1番」「Vn協奏曲」を聴く

2015年10月26日 07時05分47秒 | 日記

26日(月).昨日は寒かったですね.東京にも木枯らし1号が吹き荒れたそうです どんなに寒かろうが一日中家の中にいて外の様子が分からない存在がここに わが家に来てから394日目を迎え,先住民の黒猫君とツーショットに納まるモコタロです

 

          

                 これは先住民の黒猫君です よろぴく!

 

  閑話休題  

 

昨日,サントリーホールで新日本フィルの第548回定期演奏会を聴きました プログラムは①ブラームス「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」,②同「交響曲第1番ハ短調」で,①のヴァイオリン独奏はクララ・ジュミ・カン,指揮はハルトムート・ヘンヒェンです

 

          

 

演奏に先立って,ロビーの一角でプレ・コンサートが開かれました 演奏曲目はドヴォルザークの「弦楽五重奏曲」の第1楽章です.演奏はヴァイオリン=チェ・ムンス,佐々木絵理子,ヴィオラ=脇屋冴子,チェロ=矢野晶子,コントラバス=渡邉玲雄というメンバーです なかなか聴く機会のない曲なので新鮮に感じました ロビーが多くの聴衆で埋まり盛況でした

今期から2階の右サイドの席で聴いています.会場を見渡すと,9月の定期公演よりは聴衆の数が多いような気がします やはりプログラミングの問題があるのでしょうか?前回は武満+シューベルト+ビゼーで,今回はブラームス2曲です

 

          

 

ハルトムート・ヘンヒェンは1943年ドレスデン生まれですが,ドイツで活躍の後,オランダに移って指揮活動を展開しました

コンマスはチェ・ムンス.オケは第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置をとります.ドイツ出身の韓国系ドイツ人クララ=ジュミ・カンが金色のゴージャスなドレスで指揮者とともに登場します ヘンヒェンのタクトでブラームス「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章が開始されます.この曲はソリスト対オーケストラの”競争曲”ではなく,ソリストもオケの一員となって”共奏曲”として演奏を展開します まるで交響曲と言っても良いかもしれません.そうは言うものの技巧的にはかなり難しい曲で,オケに埋もれない力強さが求められます

クララ=ジュミ・カンは何年か前に一度聴いたことがあるように思いますが,いつどこで何を聴いたのか思い出せません ただ,当時は”少女”という印象を抱いたのを覚えています.それに比べて,今回目の前に見る彼女はまさに成熟した”大人”の美しい女性でした

彼女は確かな実力を背景に,どっしりしたヘンヒェン+新日本フィルのサポートのもと,伸び伸びと,そして力強くブラームスの世界を描き出します

第2楽章冒頭はオーボエの長いソロで始まりますが,このソロがべら棒に上手いのです 首席奏者の古部賢一は降り番なので,あらためて出演者一覧(配置図)で確かめると小畑善昭という「本日の客員奏者」の名前がありました.この人どこかで見たことがありますが,思い出せません

第3楽章は”明るいブラームス”の典型のような音楽で,躍動感に溢れています ソリストもオケもノリにノッています.こういう演奏で聴くと,ブラームスっていいなと思います

鳴り止まない拍手に,クララ=ジュミ・カンはバッハの無伴奏ヴァイオリン組曲第3番から「ラルゴ」をニュアンス豊かに演奏しました ヴァイオリニストのアンコール曲としては,バッハの”無伴奏”が多いように思いますが,この日のメインがドイツのブラームスなので同じドイツのバッハを選んだという側面もあるでしょう.素晴らしい演奏でした

 

          

 

休憩後はブラームス「交響曲第1番ハ短調」です.ブラームスが最初にこの曲を構想したのは1855年で,完成したのは1876年でした.なんと21年もの年月をかけて交響曲第1番を書いたことになりますが,ベートーヴェンの9つの交響曲を前にして,それを超える交響曲を書く覚悟が必要だったのでしょう 指揮者ハンス・フォン・ビューローは,この曲を「ベートーヴェンの第10交響曲」と呼びましたが,ベートーヴェンの正統的な後継者として認めた発言だったのでしょう 19世紀後半のドイツ・ロマン派交響曲の大傑作と呼ばれるのも当然と言える魅力に満ちた曲です

第1楽章はティンパ二の連打により開始されますが,このティンパ二が素晴らしい これを聴いてこの演奏の成功を確信しました 第2楽章ではオーボエ,クラリネット,フルートといった管楽器が活躍しますが,さきに紹介したオーボエの小畑善昭,クラリネットの重松希巳江,フルートの白尾彰の演奏は特筆すべき素晴らしさでした

第2ヴァイオリン首席・佐々木絵理子の隣に見たような顔の人が座っています.出演者一覧で確かめると,数年前まで都響の第2ヴァイオリン首席・エンカナさんの隣りで弾いていた平尾真伸氏でした.色々な人が客演しているのですね

さて,私がこの曲を聴く時にポイントとしているのは第4楽章の中盤,明るいホルンの旋律(1868年にブラームスがクララ・シューマンの誕生日に贈った,スイスのアルペンホルンの旋律)が響き渡った後,弦楽器によりメインの主題が演奏されるところです ヘンヒェンはごく自然に主題を演奏させます.これを聴いた時,「上品だな」と思いました これを,これ見よがしに力を込めて演奏すると下品になります

オケは終盤にかけて熱を帯びフィナーレに突入します.極めてドイツ的な堂々たるフィナーレでした

振り返ってみると,私にとって先週は「ブラームス週間」でした 月曜はソウル・フィルで「ダブル・コンチェルト」と「第4交響曲」を,木曜はチョン・ミョンフン他で「ピアノ三重奏曲第1番」を,そして昨日は「ヴァイオリン協奏曲」と「第1交響曲」を聴きました

秋たけなわの今思うのは,「ブラームスは秋によく似合う」ということです

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