人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

上岡敏之+新日本フィルでマーラーとシューベルトの「交響曲第1番」を聴く~第556回定期演奏会

2016年03月17日 07時58分13秒 | 日記

17日(木)。息子の通う大学から大学院入学関係書類が送られてきました。入学金と初年度学費については前もって通知が来て、すでに振り込み済みなので、あと親に関係があるのは保証人の印を押せとかそうした事務手続きだろう、と気軽に「入学のしおり」を見ていたら、「入学初年度の学費等納入について」の項目に「後期分学費の振込依頼書は8月上旬に保証人に送付します」と書かれていました。思わず「えっ!この前 振り込んだのは1年分の学費じゃなかったの」と驚いて、控えを見たら、確かに小さな字で「後期学費は別途納入となります」と書かれていました 「理科系の大学院の学費が大学の学費の半額であるはずはないよな」と、自分の早トチリに舌打ちしました

というわけで、わが家に来てから536日目を迎え、久々にアップで登場のモコタロです

 

          

            カメラさん それ以上近づかないで! 風邪がうつるから

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜とワカメとシラスのサラダ」「インゲンのお浸し」を作りました サラダには、ブロッコリ、アスパラガス、サニーレタス、トマト、ミニトマト、キュウリ、ワカメ、シラスが入っています

 

          

          

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで新日本フィル第556回定期演奏会を聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第1番ニ長調」、②マーラー「交響曲第1番ニ長調」。指揮は次期音楽監督の上岡敏之です

上岡敏之は1960年東京生まれ。東京藝大からハンブルク音楽大学に進みました その後、ヘッセン州立歌劇場の音楽総監督、北西ドイツフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、ヴッパータール市立歌劇場の音楽総監督、ザールランド州立歌劇場の音楽総監督などを歴任しました 私は上岡敏之+ヴッパータール市立歌劇場管弦楽団が来日したときサントリーホールで凱旋公演を聴いています。その時もマーラーを振りました

 

          

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その奧にコントラバスという態勢をとります。コンマスはチェ・ムンスです

1曲目のシューベルト「交響曲第1番ニ長調」は作曲者が16歳の時に作曲されましたが、演奏時間にして30分はかかる大作です この曲を生演奏で聴くのは 数年前にユベール・スダーンが東響を振ったシューベルト『交響曲全曲演奏シリーズ』以来です

オケがチューニングを終えスタンバイする中、上岡敏之が登場します にこやかに会場に一礼しオケに向かいます。この時、多くの指揮者は緊張感に満ちた表情を見せるのですが、上岡の場合は”リラックス”しているように見えます。落語家の柳家喜田八師匠が高座に上がるときの雰囲気に似ています。やる気があるようなないような独特の雰囲気です。上岡の場合は やる気がないのではなく オケも聴衆も呑んでリラックスしているという感じです

この曲は、16歳の少年が作ったとは思えないほど充実した響きがあります 4つの楽章から成りますが、全体を通してひと言で言えば「爽快感」かも知れません 上岡はタクトで細かい指示を出し、若きシューベルトの青春の交響曲を紡いでいきます 指揮の途中、指揮台に設置された転倒防止用の柵の横バーにもたれかかったり、右手で指揮をしながら左手でバーをつかんだりして激しい指揮ぶりを見せていました 日本で一番横バーに接触する回数が多い指揮者は、ひょっとして上岡敏之かも知れません かつて指揮中に時折 横バーにつかまって指揮しているマエストロを思い出しました。天才カルロス・クライバーです 上岡の指揮を見ていると、実に楽しそうです 考えようによっては、この会場で演奏を一番演奏を楽しんでいるのは指揮者自身かも知れません。新日本フィルは躍動感に満ちた清々しい演奏を展開しました

会場一杯の拍手に、上岡はまずコントラバスを立たせ、次いで第2ヴァイオリン、チェロ、第1ヴァイオリン、管楽器の順に立たせました これは他の指揮者が立たせる順番の逆です こういうところにも上岡敏之という人の特徴があります。”縁の下の力持ち”を優先させて脚光を浴びせさせる独特のやり方です

 

          

 

休憩後はマーラーの「交響曲第1番ニ長調」です。1888年に完成しました 初めは5楽章から成る交響詩として構想されましたが、「花の章」が除かれ4楽章になりました。また当初この曲には「巨人」というタイトルが付けられていましたが、これはマーラーが愛読していたドイツの作家ジャン・パウルの長編小説に由来しています しかし、マーラーは、標題を付けることは聴衆の音楽解釈を歪めるとして後に削除しています

第1楽章が、神秘的な雰囲気で開始されます。そしてクラリネットがカッコウの鳴き声を模倣します 第2楽章のトリオ部分では、上岡はヴァイオリンとチェロに下から上へずり上がるような弾き方を求め、この曲のエキセントリックな性格を音で表しました

第3楽章は、冒頭ティンパ二が刻む葬送のリズムにのせ、コントラバスがソロで「フレール・ジャック」の陰鬱なメロディーを奏でますが、上岡は極力 音を抑え気味に指示します この楽章が 息が絶えるように終わると、普通の指揮者は間髪入れずに第4楽章の「嵐」に突入するのですが、上岡はタクトを上げた姿勢をしばらく保ち、「いつ爆発するのか?」という期待感を高めたうえで、いきなりタクトを降ろし「嵐」の第4楽章に突入します 上岡はタクトで、右に 左に 奧に 突き刺すような指示を出します。この楽章における「動」と「静」の対比は実に見事でした フィナーレでは、マーラーの指示通り、ホルン8人、トロンボーン1人、トランペット1人を立たせ ベルアップで演奏させました。これは壮観です

最後の音が鳴り終わると間髪入れずに「ブラボー」がかかり、大きな拍手が会場を見たしました 「ブラボー」はフライング気味でしたが、あの圧倒的なフィナーレを聴いたら無理もないかな、と思ってしまうほど興奮状態にありました

上岡は、今度はホルンから順に管楽器を立たせてから弦楽器に移りましたが、やはりコントラバス、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンの順に立たせました

上岡はこの日、2曲とも暗譜で振りましたが、指示は細かく、的確でした 新日本フィルのメンバーは上岡の指揮に化学反応を起こし、熱い演奏を繰り広げました

上岡は9月から新日本フィルの音楽監督に就任しますが、トリフォニー・シリーズもサントリーホール・シリーズも、マーラーが1曲も入っていない中で、いかに聴衆を引き付けていくか、手腕が問われます

 

          

コメント (4)
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