8日(火)。わが家に来てから527日目を迎え、ゲージのある子供部屋を出てリビングに向かおうとするモコタロです
ぼくがリビングに行くのは 散歩の時とオヤツの時だよ
閑話休題
昨日は、夕食に「豚肉のアスパラ巻き焼き」「生野菜とワカメのサラダ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました 「豚肉~」のお皿に乗っている黄色の物体は、戴いたゆずです。そう、あの「栄光の架橋」の・・・・ちゃうってば
も一度、閑話休題
昨日の朝日朝刊に「アーノンクールさん死去 86歳 指揮者 古楽演奏の先駆者」という見出しの記事が載りました。超訳すると
「モーツアルトやバッハの作品への斬新な解釈で知られるニコラウス・アーノンクールが5日、死去した 86歳だった。昨年12月、今後の演奏活動から退く意向を明らかにしていた。ベルリン生まれ。ウィーン国立音楽大学でチェロを学び、チェリストとしてウィーン交響楽団に入団 53年、アリス夫人とともに古楽演奏集団『ウィーン・コンツェルトゥス・ムジクス』を創設。ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでは2度指揮した」
アーノンクール指揮ウィーン・コンツェルト・ムジクスによる演奏は、今から10年くらい前に NHK音楽祭でモーツアルトの「ヴェスペレK.339」他を演奏したのを聴いたことがあります。曲の合間に祈祷文を読み上げるという独特の解釈による演奏でした
最近のCDで印象に残るのは、2014年にリリースされたモーツアルトの後期交響曲集(第39番、40番、41番)の演奏です 2枚組のアルバムですが、1枚目に「第39番K543」と「第40番K550」が、2枚目に「第41番K551”ジュピター”」が収録されています とくに1枚目の演奏が印象に残ります
第39番、第40番はアーノンクール特有のテンポの速い演奏です。私は3曲の中では第39番が一番好きなのですが、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏がスタンダートになっている私から見ればアーノンクールのこの演奏は、モーツアルトに対する冒涜以外の何ものでもありません ”速い”に”超”が付く、取りつく島のない忙しない演奏です このCDでは第39番K543の最終楽章が終わるや否や第40番の第1楽章が開始されます 初めて聴いたときは「えっ なに?」と驚きました まさか1枚のCDに2曲を収めるために間を置かずに続けて演奏したのではあるまいな、と しかし、CDジャケット裏の解説を読むと次のように書かれていました
「Nikolaus Harnoncourt has spent over sixty years exploring Mozart's last three symphonies. He considers this album a recording not of three independent works but rather of a single work in three sections - an"Instrumentarl Oratorium".
つまり、アーノンクールはモーツアルトの最後の3つの交響曲を60年以上にわたり研究してきたが、その結果、3つの交響曲をそれぞれ別個の作品としてではなく、3つのセクションから成る一つの「管弦楽のためのオラトリオ」と考えるようになった、ということです オラトリオは通常 声楽が伴いますが、彼は声楽を伴わない”管弦楽のための”オラトリオと捉えています 各交響曲は 一つの大きな作品の中の一部分という解釈なので、第39番と第40番が続けて演奏されることになります
アーノンクールは、いつもそうでした。他の演奏家が考えもしない解釈で演奏し、クラシック界に新風を吹き込んで 納得させてきました 私は彼の演奏スタイルを100%支持するものではありませんが、常にクラシック界の異端児であるとともに パイオニア的存在であり続けたアーノンクールさんの冥福をお祈りします
最後の、閑話休題
昨日、早稲田松竹で「ナイトクローラー」と「アメリカンドリーマー」の2本立てを観ました
「ナイトクローラー」は2014年、ダン・ギルロイ監督・脚本によるアメリカ映画です
学歴もなければコネもなく、したがって仕事もないルー(ジェイク・ギレンホール)は、ある日、事故現場を通りかかり、テレビ局に事故の悲惨な映像を売るカメラマン達に遭遇し、その仕事で身をたてようと決心する さっそくスポーツ自転車を売る代りにビデオカメラと警察無線の盗聴装置を手に入れる そして、事件・事故を追う「ナイトクローラー」となって夜のロサンゼルスの街を車で駆け巡る。テレビで放映するには悲惨過ぎるような場面も平気で撮るルーの過激な映像はテレビ局に高く売れ、高視聴率を狙うテレビ局からの要求はエスカレートしていく ある日、警察よりも早く事件現場に到着したルーは、逃走する犯人の顔や車のナンバーを映したにも関わらず警察には通報せず、自ら犯人を突き止め、犯人一味がレストランに入ったところで警察に通報し、逮捕の瞬間をスクープすることを狙う。果たして彼の目論見は成功するのか
事件や事故など”人の不幸”を撮影してテレビ局に映像を売る、いわゆる”パパラッチ”の暗躍を描いた作品ですが、監督は「そこまでやるか」という冷酷なナイトクローラー像を描いています 映像のためなら”絵になるように”死体を動かして構図を決めるシーンなど、言ってみれば撮影者による「やらせ」ですが、アメリカだったらあり得ないことではない、と思ってしまう怖いところがあります
これ程冷酷な主人公は最後には天罰が下るのではないか、と思って見ていると、まったく違う結末を迎えます。これもまたアメリカらしいと思います
2本目の「アメリカンドリーマー」は2014年、J.C.チャンダー監督・脚本によるアメリカ映画です
舞台は1981年のニューヨーク。犯罪と暴力が氾濫するオイル業界にあって、クリーンなビジネスを信条として一大オイル会社を築き上げた移民のアベルとその妻アナ アベルは事業拡大のための土地購入代金として全財産を投入したが、その直後に彼の成功を阻止しようとする何者かによる陰謀によって、オイルを積んだトラックの強奪、脱税嫌疑、家族に対する脅迫が次々と襲い掛かる こうしたことから悪いうわさが一気に広まり、銀行からの融資がストップされる 思い当たる筋に借金の申し込みをするアベルだが、おいそれと何十万ドルもの金は貸してくれない そうした中、妻のアナが自分たちの銀行預金通帳に多額の預金があることを知らせる どういう種類の金か、と問い詰めるアベルに対し、アナは 自分たちが事業で稼いだ金の一部を隠してきたのだと答える つまり、彼女は二重帳簿を付けて税金逃れをしてきたのだった。クリーンを信条とするアベルはそれを使うことを拒否するが、最後に追い詰められて使うことを決断する
つまり、アベルはクリーンを信条に会社経営に携わり、そのために同業者からも一目を置かれる存在になっていた訳ですが、彼の預かり知らないところで、妻のアナが言わば”不正に”会社の金を蓄財してきたということです アベルはこの金を使って新しい土地を購入し、事業の拡大に向けて前進することが出来た反面、何か大きなものを失ったはず しかし、厳しいビジネス界で生きるか死ぬかの選択において、アメリカンドリーマーとしては生きる道を選択するしかなかったでしょう