人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「がんばろう!日本 スーパーオーケストラ」毎日希望奨学金チャリティーコンサートを聴く 

2016年03月16日 08時01分42秒 | 日記

16日(水)。風邪薬を飲んでいるせいで眠いです。わが家に来てから535日目を迎え、ヒーターの前で暖を取るモコタロです

 

          

               毎日温度が変わって 三寒四温どころじゃないよね

 

  閑話休題  

 

新日本フィルの2016/2017シーズンへの会員継続をすることにしました ただし現在のサントリーホール・シリーズからトリフォニー・シリーズに移ります。どちらのシリーズもマーラーの曲が入っていないので不満があるのですが、在京オケの中で一番 演奏者の顔と名前が一致する新日本フィルはやはり継続しておこうと思いました 両シリーズの内容を比較してみてトリフォニーの方が魅力があったので、こちらを選びました。最大の決め手は4月定期公演で お気に入りのピアニスト、アンヌ・ケフェレックがモーツアルトの「ピアノ協奏曲第27番K595」を弾くことです また 曲としては10月公演のドヴォルザーク「スターバト・マーテル」、来年6月公演のハイドン「オラトリオ”天地創造”」、同7月公演のサン=サーンス「ピアノ協奏曲第5番”エジプト風”」が面白いと思います

トリフォニー・シリーズは、金曜と土曜の2回 同一プログラムによる公演がありますが、どちらにするか迷っています 取り合えず、シリーズ変更だけ通知しておき、4月17日以降、座席指定の連絡の際に伝えようと思っています

 

          

          

          

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで「がんばろう!日本 スーパーオーケストラ 毎日希望奨学金チャリティーコンサート」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、②サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、③オーレ・ブル「セーテルの娘の日曜日」、④プッチーニ「私のお父さん」、⑤ラヴェル「ボレロ」です ①のピアノ独奏は小山実稚恵、②~④のヴァイオリン独奏は松田理奈、指揮は本名徹次です オケは全国のオケからの寄せ集め集団で、コンマスは読響コンマスの小森谷巧です

 

          

 

自席は2階RC6列6番、センター寄り右ブロック右通路側席です。会場はほぼ満席 司会進行役の小森谷徹がマイクを持って登場し、このコンサートの趣旨を説明します。3.11東日本大震災の年に始めて今回が6回目を迎えるとのことで、オケのメンバーは全員ノーギャラでの出演ということです

弦楽器は左奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります 出演者をプログラムのメンバー表で確かめると、一番多いのがNHK交響楽団(元N響を含め23人)、次いで読売日響(元読響を含め14人)で、あとは都響をはじめとする在京オケ、そして地方のオケからも参加しています。本名徹次氏が音楽監督・首席指揮者を務めるベトナム国立交響楽団のコンミス、ダオ・マイ・アインさんも第1ヴァイオリンに加わっています

1曲目のラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」を演奏するためソリストの小山実稚恵がダークブルーの衣装で登場、ピアノに対峙します 本名氏のタクトで第1楽章が開始されますが、冒頭 ピアノがロシア正教の鐘を模した厳かな音を奏でます それからは、まさにラフマニノフのロマンティシズムまっしぐらという感じで、うねるような音楽が続きます

仙台で生まれ3歳から盛岡で育った小山実稚恵ほどこのコンサートに相応しいソリストはいないでしょう 震災の年から毎年被災地で演奏活動を行っているとのことです チャイコフスキー国際コンクールとショパン国際ピアノコンクールの両方に入賞しているピアニストは日本では彼女だけです。現在は世界のピアノ・コンクールの審査員を引き受ける一方で、被災地の小学校にピアノを送る活動なども行っているそうです この日の演奏にはそんな彼女の自信と希望が現れていたように思います。人間的に素晴らしい人なのだと思います

インタビューで、ラフマニノフが好きな理由を尋ねられ「寒いところで育ったから親近感があるのかも知れませんね」と答えていました 彼女は学生時代にラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」を聴かないと眠れなかったほど、ラフマニノフが好きだったそうです

会場一杯の拍手に、スクリャービンの「左手のための2つの小品」から「ノクターン」を静かにロマンティックに演奏しました

 

          

 

休憩後は、ヴァイオリ二スト松田理奈を迎えて、最初にノルウェーの作曲家オーレ・ブル作曲・スヴェンセン編曲による「セーテルの娘の日曜日」を あくまでも優しく演奏しましたが、衣裳がまるでチョコレートにカラフルな花模様を描いたケーキのような鮮やかなロング・ドレスだったので、一瞬「きゃりーぱみゅぱみゅかよ」と思いました。次いでプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」を いかにもおねだりするかのように甘えるように演奏しました

3曲目はサラサーテの名曲「ツィゴイネルワイゼン」です。前半はヴァイオリンを良く歌わせて、まるで「泣き節」のようなねっとりした演奏を展開しましたが、途中から一転し、超絶技巧の演奏に徹しました。2007年にサラサーテ国際コンクールでディプロマ賞に入賞しているだけのことはあります

演奏後のインタビューで「セーテルの娘の日曜日」は珍しいが、なぜこの曲を選んだのか、と聞かれ、松田は「この曲はヴァイオリンが一番喜ぶニ長調(シャープ2つ)で書かれているので、スーパーオーケストラと演奏するならヴァイオリンが響きやすい調性の曲を選ぼうと思ったからです」と答えていました。そう言われてみれば、ヴァイオリンの三大協奏曲であるベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーのコンチェルトはすべてニ長調で書かれています

司会がチョコレート・ケーキのような派手な衣装を見ながら「こう見えても3歳のお子さんのママなんですよね」と言ったので、のけぞりました きゃりーぱみゅぱみゅを撤回し、「松田聖子かよ!」に訂正します。どっちにしても古ッ

最後の曲に移る前に、ベトナムから参加しているヴァイオリンのダオ・マイ・アインさんへのインタビューがありました 5年前の震災の時のベトナムの様子から 現在こうして日本のオケの仲間と一緒に演奏できる幸せまでが、本名氏の”超訳”により紹介されました

フルオーケストラがスタンバイし、本名氏の合図でボレロが開始されます 小太鼓が小さくリズムを刻む中、ヴィオラとチェロの弱音のピツィカートに乗って最初はフルートがテーマを演奏し、クラリネットに受け継がれ、さらにファゴットに・・・と楽器を変えて同じテーマが奏でられていきます 曲自体が大きなクレッシェンドになっていて、演奏する楽器の数が増え 次第に音量が増していきます ピツィカートを奏でていたヴァイオリンがメロディーを弾くようになってから、それまでほとんど身体を動かさなかった本名が明確に分かるようにタクトを振り始めました

私はこの曲を聴きながら、前日観た映画「愛と哀しみのボレロ」におけるジョルジュ・ドンの「ボレロ」を思い起こしていました 最初は楽器も少なく小さな音だったのが、次第に楽器が増え、音が大きくなっていくという意味では、東日本大震災からの復興を目指す東北地方の現在を表していると言えるかも知れません

1年に一度限りのために組織されるオーケストラによる総力を挙げての集中力に満ちた渾身の演奏でした 満席の会場からは大きな拍手とブラボーが寄せられました

最後に、毎年恒例になっている「ふるさと」をオケの演奏にのせてピアニストの小山、ヴァイオリニストの松田も交えて聴衆全員で歌い、コンサートに幕を降ろしました

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