人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでリヒャルト・シュトラウスの歌劇「サロメ」を観る~圧巻!カミッラ・ニールントのサロメ

2016年03月07日 07時31分41秒 | 日記

7日(月)。マンションの駐輪場の植え込みにある沈丁花の香りが漂っています この匂いを嗅ぐと「ああ、春が来たんだなぁ」と思います。今朝は、今年初めて窓ガラスに結露が付いていませんでした。外気と室内との温度差がなくなっている証拠です。これにも春を感じます ということで、わが家に来てから今日で526日目を迎え、リビングで 月曜日の再来を嘆いている サラリーマン的感覚のモコタロです

 

          

           あっという間に1週間が過ぎて また月曜日になっちゃたよ

 

  閑話休題  

 

昨日、初台の新国立劇場でリヒャルト・シュトラウスの歌劇「サロメ」を観ました キャストは、サロメにカミッラ・ニールント、ヘロデにクリスティアン・フランツ、ヘロディアスにハンナ・シュヴァルツ、ヨハナーンにグリア・グリムスレイ、ナラボートに望月哲也、ヘロディアスの小姓に加納悦子ほかです。バックを務めるのはダン・エッティンガー指揮東京交響楽団、演出はアウグスト・エファーディングです

 

          

 

物語は紀元30年頃、領主ヘロデの宮殿。ヘロデの寵愛を一身に受ける義理の娘サロメは、庭の古井戸に幽閉されている預言者ヨハナーンに関心を抱き、衛兵隊長ナラポートに外に連れ出すよう命令する ヨハナーンは、サロメにキスを求められるが、これを拒否し古井戸に戻る。ヘロデから、踊ってくれるなら何でも望むものを与える と言われたサロメは、7つのヴェールを裸身にまとい、妖艶な踊りを披露する 舞い終わったサロメはヘロデに、褒美として国土でも宝石でもなく ヨハナーンの首を要求する ヘロデはやむを得ず首切り役人にヨハナーンの首を切るように命ずる。サロメは銀の皿にのせられたヨハナーンの生首にキスをする。それを見たヘロデは「その女を殺せ」と命令する

 

          

 

人気の演目である「サロメ」の初日公演ということもあってか、会場はほぼ満席です 会場の照明がすべて消され、闇の中 幕が開きます。そして指揮者のダン・エッティンガーがタクトを振ります つまり、指揮者は前もってオーケストラ・ピットに入ってスタンバイしていた訳です このオペラは1幕もの(4場)なので、それから休憩なしで100分のオペラが開幕です

ステージ中央には大きな円形の古井戸が設置されています。この中にヨハナーンが幽閉されています ドイツ出身のアウグスト・エファーディングによるこの演出は、新国立オペラでは これまで2000年、2002年、2004年、2008年、2011年と5回上演されており、今回が6回目となります。私は多分5回目かも知れません

最初にサロメ役のフィンランド出身のニールントが登場した時は、何か物足りないというか、あまりサロメらしくないというか、上品過ぎるような感じがしました その反面、ヨハナーン役のアメリカ出身のグリムスレイが登場して ヘロディアスの姦淫の罪を責め立てるシーンでは、彼は本当に長い間 古井戸に幽閉されていたのだろうか、と思うほど元気はつらつでビックリするほどでした それはそれで良いのですが。それにしてもイエス・キリストみたいな顔付きをしていました。適役だったのかも

ヘロデを歌ったクリスティアン・フランツはミュンヘン出身のテノールですが、新国立オペラではワーグナー「ジークフリート」「神々の黄昏」「パルジファル」に出演しているワーグナー歌いです。リヒャルト・シュトラウスのこのオペラでも ほぼ出ずっぱりで見事なテノールを聴かせてくれました

歌の出番が少ないのにも関わらず存在感があったのは、先日の「イェヌーファ」でブリヤ家の女主人を歌ったメゾソプラノのハンナ・シュヴァルツです

さて、最初に物足りなさを感じていたサロメ役のニールントは、「7つのヴェールの踊り」を踊って以降 俄然 存在感を増しました ヨハナーンの生首を抱きながら「あなたは全然振り向いてくれなかった。私をきちんと見たならば、あなたも私を愛したはず」と長いものローグを歌うニールントは、まさに正気を失ったサロメその人に成りきっていました

終演後は2階、3階席の”大向こう”から多くのブラボーがかかりましたが、それは歌手陣へのブラボーであると同時に、彼らを支えたダン・エッティンガー+東京交響楽団へのブラボーでもあったと思います 単なる歌の伴奏ではなく、オーケストラ自らがリヒャルト・シュトラウスの妖艶な音楽を色彩感豊かに奏でていました

ところで「ダン・エッティンガーと言えば東響ではなく東京フィルではないか?」と思い、一瞬プログラムのミスプリかと思いましたが、あらためて彼のプロフィールを見ると、2010年から東京フィルの第8代常任指揮者、15年から同団桂冠指揮者となっていました。つまり”常任”が外れたので”フリー”に近い存在になったのでしょう

話はまったく別になりますが、開演直後から自席の前列右側の小学生(高学年の女子)がずーっと咳をして30分くらい止まらなかったのです 親子3人で来ていたようですが、親は成すすべを知らないようでした。普通、小学生を ヴェールの踊りや生首が出てくるオペラに連れてきますかねえ?? 第一 ストーリーが理解できないでしょうし、楽しめないでしょう 彼女が今回の経験でオペラ嫌いにならないように祈るばかりです 「高校生のためのオペラ教室」があるくらいですから、オペラ(とくに今回の「サロメ」等)はせめて高校生くらいになってから観せても決して遅くはないと思うのですが、皆さんはどう思われますか

 

          

コメント
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