21日(月)。わが家に来てから540日目を迎え、マガジンラックでくつろぐモコタロです
マガジンつっても TIMEじゃなくて ひかりTV じゃん
閑話休題
今年も「東京・春・音楽祭」の季節が到来しました。この音楽祭が始まると「ああ、春が来たなぁ」と思います 昨日、上野の東京文化会館小ホールで「東京春祭チェンバー・オーケストラ 室内楽特別コンサート」を聴きました
プログラムは①テレマン「4つのヴァイオリンのための協奏曲ハ長調」、②同「同・ニ長調」、③ドヴォルザーク「三重奏曲ハ長調」、④同「弦楽五重奏曲第2番ト長調」、⑤メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」。出演はヴァイオリン=漆原啓子、川田知子、小林美恵、島田真千子、玉井菜採、ヴィオラ=佐々木亮(N響)、篠崎友美(新日本フィル)、チェロ=銅銀久弥(N響)、藤村俊介(同)、コントラバス=池松宏(都響)です
自席はF列20番、センターブロック左通路側です。会場は8割方埋まっている感じでしょうか 1曲目と2曲目のテレマン「4つのヴァイオリンのための協奏曲」は、逆説的ながら珍しい編成です 4人のヴァイオリニストが登場し、左から島田、玉井、川田、小林という態勢をとります。赤、青、白、ベージュと色とりどりの衣装が春らしさを醸し出しています 一番 後輩格の島田のリードで演奏されますが、同属の楽器による掛け合いが楽しい音楽です 次いで2曲目のハ長調の協奏曲に入りますが、一部メンバーが入れ替わり左から玉井、小林、漆原、島田の態勢をとります この曲もテレマンらしい楽しい曲です。演奏者も楽しんでいるように見受けられます
ところで、会場入口で「東京・春・音楽祭」の総合プログラム(216ページ。500円)を買ったのですが、このコンサートについて解説している中で、「テレマンは社会的な成功とは裏腹に、家庭的には恵まれなかった 大恋愛の末に結ばれた最初の妻とわずか15か月で死別、5年後に再婚したが、後妻は陰気な性格の博打好きで、その散財は留まるところを知らず、遂に借金の額は、相当の報酬を得ていたはずの、夫の年収の数倍に達した テレマンは破産の危機に瀕したが、地元の商人たちの尽力で辛くも回避したという出来事もあった」と書かれていました
テレマンと言えばバッハ、ヘンデルと並ぶ音楽界の当時のスーパースターでしたが、その当時は天下のJ.S.バッハを凌ぐ大人気者だったようです
「テレマンさん、恵まれない家庭にも関わらず、音楽家としては凄い人気でしたね」と褒め称えたら、
「いや~、そんなに褒められたら照レマンがな」と答えた、かな。
それを聞いていたヘンデルが、
「テレマンさん、大阪弁はちょっと変デル」と突っ込んだ、かな
さて、3曲目のドヴォルザーク「三重奏曲ハ長調」はヴァイオリン2本とヴィオラ1本という極めて珍しい編成の曲です ヴァイオリンの川田、玉井にN響の首席ヴィオラ・佐々木が加わります。この曲は作曲者が45歳の充実していた時期の曲だけに、ドヴォルザークらしい曲想が現れます
前半最後の曲はドヴォルザーク「弦楽五重奏曲第2番」です。弦楽五重奏曲はヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ1という編成が多いのですが、この曲はヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1という編成をとります 左から小林、島田、池松、銅銀、篠崎という態勢をとります。この曲では、随所にドヴォルザークの民族主義的な曲想が現れます
この曲は ここ数日、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団+ヨーゼフ・ヘルマンの演奏によるCDで予習してきたので、メロディーは頭に入っています 何回か繰り返し聴いているうちにこの曲の良さが分かってきて、そのうえで生演奏を聴くことができて良かったと思います
休憩後は待ちに待った 大好きなメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」です 弦楽だけの八重奏曲は滅多にない編成ですが、若干16歳の青年がこの曲を作ったとはどうしても信じられないくらい充実した曲です 生命力に溢れた名曲です 8人が左右対称に並びます。左から漆原、小林、佐々木、藤村、銅銀、篠崎、玉井、川田という編成です
第1楽章の冒頭から、聴いていてワクワクします この曲は前へ前へという推進力に満ちています。16歳の青年の目前に 明るい未来が開けているかのようです 第3楽章のスケルツォでは「真夏の夜の夢」の妖精が飛び回ります。そして、第4楽章プレストは、チェロからヴィオラ、ヴィオラからヴァイオリンへと8人の奏者がフーガのように力強い演奏を繰り広げ、後半のフィナーレに突入します この爽快感は聴かなければ分からないでしょう 8人の奏者は全力投球の熱演でした
8人は「弦楽八重奏曲」の第3楽章「スケルツォ」をアンコールに演奏し、コンサートを締めくくりました。「東京・春・音楽祭」の幕開けに相応しい明るく楽しいコンサートでした