9日(月・祝).今日は体育の日ですね 皆さん何か運動してますか? 私はせいぜい毎日8000歩をめどに歩くのが精一杯です 本当はストレッチとかやった方が良いのは分かっているのですが,なかなか踏ん切りがつきません
ということで,わが家に来てから今日で1104日目を迎え,トランプ米大統領がホワイトハウスで米軍幹部と協議した後に「嵐の前の静けさだ」と発言した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲みたいだな 静かなままでは終わらない?
昨日,上野の東京藝大奏楽堂で「第63回藝大オペラ定期公演:モーツアルト『フィガロの結婚』」を聴きました 7日,8日のダブルキャストで,8日の出演はアルマヴィーヴァ伯爵=黒田祐貴,伯爵夫人=田井友香,スザンナ=中嶋彩香,フィガロ=森翔梧,ケルビーノ=山下裕賀,マルチェリーナ=小野綾香,バルトロ=伊藤純ほか.管弦楽=藝大フィルハーモニア管弦楽団,指揮・チェンバロ=園田隆一郎,演出=久垣秀典です
自席は1階13列6番,左ブロックの真ん中です オーケストラ・ピットがあるため実質的には前から7列目くらいの席です.会場は8割以上入っているでしょうか
指揮の園田隆一郎氏がピットに入り 序曲が開始されます この序曲を聴くと,いよいよ楽しいオペラが始まるぞ,とワクワクします 4幕から成るこのオペラは長い物語のように思いがちですが,たった1日の間に起こった出来事を現したオペラです 正式なタイトルは「フィガロの結婚または狂おしき1日(ラ・フォル・ジュルネ)」です
このオペラは「フィガロの結婚」ですが,すべてのシーンで重要な役割を果たすという意味では「スザンナの結婚」と言うべきだと思います 今回もスザンナを歌った中嶋彩香は ほぼ出ずっぱりで動きの多い役柄にも関わらず,ストーリーの流れに乗って自然な演技をし,美しいソプラノを聴かせてくれました
しかし,今回の公演を観て感じたのはスザンナ以上にアルマヴィーヴァ伯爵が前面に出ていたということです これは伯爵を歌い演じた黒田祐貴の存在と切り離すことができません 役者で言えば「性格俳優」といった個性の強いキャラクターです.言うまでもなくこのオペラは「オペラ・ブッファ(喜歌劇)」です 喜歌劇は 演じる本人が真面目にやればやるほど喜劇的な側面が生きてきます その意味では,黒田祐貴は真面目にアルマヴィーヴァ伯爵を演じ,聴衆の笑いを誘いました 歌唱力があるので将来が楽しみです
伯爵夫人を歌った田井友香は,容姿,声ともに美しいソプラノで,伯爵夫人という役柄がピッタリです 第2幕冒頭のカヴァティーナ「愛の神様,私の苦しみとため息に」と第3幕のアリア「甘さと喜びの美しい時は」を完璧に歌い上げましたが,若干 線が細いかなと思われるところが課題だと思います
ケルビーノを歌った山下裕賀は,声量もあり声も美しいメゾソプラノで,2つの有名なアリアを魅力的に歌い上げました コンクールだったら「聴衆賞」を取れるかもしれません
フィガロを歌った森翔吾は演技力があり,「もう飛ぶまいぞこの蝶々」をはじめ安定感のあるバリトンを聴かせてくれました
マルチェリーナを歌った小野綾香は,第4幕で歌うコロラトゥーラによるアリアが素晴らしかったです
このオペラはアリアに次ぐアリア,重唱に次ぐ重唱が魅力ですが,とくに第2幕のフィナーレは圧巻です 最初は夫人とスザンナとケルビーノだけだったのが,伯爵が,フィガロが,庭師アントニオが相次いで登場して,遂には女中頭のマルチェリーナとドン・バジリオが判事のドン・クルツィオとともに登場し・・・と登場人物がどんどん増えてきて,二重唱が三重唱に,三重唱が四重唱に,四重唱が八重唱にと拡大して大団円を迎えます この興奮はたまりません
そして,第4幕のフィナーレも同様です 登場人物がどんどん増えていき,最後に伯爵夫人がアルマヴィーヴァ伯爵を許し,全員による喜びに満ちた合唱で幕を閉じます モーツアルトは 最後には みんな許してしまう このシーンを聴いて感動しない人はいないでしょう
「フィガロの結婚」は最高に楽しいオペラです オペラの3枚ものCDを買うよりも オペラ公演を1度 観に行くことをお勧めします.そこには必ず感動があります