人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

吹奏楽版によるマーラー「交響曲第5番」他のチケットを取る~藝大ウィンドオーケストラ定期演奏会 / イリーナ・メジューエワ著「ピアノの名曲~聴きどころ 弾きどころ」を読む

2017年11月07日 07時49分49秒 | 日記

7日(火).ラーメン丼ぶりを洗っていて,洗剤で手が滑って割ってしまいました   新しいのを買いに池袋の2つのデパートとロフトを覗いてみたのですが,同じような昔ながらの丼ぶりがありません(デパートは高級品志向だし)   地元の巣鴨に戻り地蔵通り商店街をぶらぶらしていたら雑貨屋さんの店頭で食器の安売りをやっていました   そこに 同じ形ではないものの 750円が✕で消してあり,「お買い得品525円」と書かれた手ごろな丼ぶりが売っていたので買うことにしました   レジに持っていくと,「消費税込みで567円になります」と言われました   525円は定価500円の消費税込みの値段かと思っていたので「あれ?」と思いましたが,冷静に考えると今 消費税は8%で5%ではありません   「消費税5%の記憶」を巧みに利用したとしか思えない したたかな商魂に,ラーメン丼ぶりだけに「一杯食わされた」と思いましたが,「それでも安いから まあいいか」と自分を納得させました  説得力のない どんぶり勘定ですね

ということで,わが家に来てから今日で1133日目を迎え,来日中のトランプ米大統領が6日,日米の経済人との会合に出席し,「日本との間に年700億ドルもの貿易赤字を抱えている.対日貿易は公正ではなく,開かれてもいない」と不満を表明した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       「何言ってんだい  こちとら1,000兆円の負債を抱えてるんだぞ」って言ってやれ!

 

                                           

 

昨日の夕食はカレーライスにしました  あとは「生野菜とワカメと生ハムのサラダ」です. いつものようにジャガイモは皮付きのまま煮込んだのですが,かなり溶けてしまい,全体的にこくのあるカレーに仕上がりました

 

     

 

                                            

 

11月23日(木)午後2時から東京藝大奏楽堂で開かれる「東京藝大ウィンドオーケストラ定期演奏会」のチケットを取りました プログラムは①ホルスト「吹奏楽のための第1組曲」,②マーラー/中村克己編「交響曲第5番」です   演奏は東京藝大ウィンドオーケストラ,指揮は今回が最後のお勤めとなる山本正治です

 

     

 

                                           

 

イリーナ・メジューエワ著「ピアノの名曲~聴きどころ  弾きどころ」(講談社現代新書)を読み終わりました   メジューエワはロシアのゴーリキー生まれ.モスクワのグネーシン音楽大学で学ぶ.1992年ロッテルダムで開催された第4回E.フリプセ国際コンクールで優勝   その後オランダ,ドイツ,フランスなどで活動し,1997年からは日本を本拠地として活動している

 

     

 

この本は,いくつかのピアノの名曲の「聴きどころ」と「弾きどころ」を,本人とご主人と編集者が鼎談で語り合ったものをメジューエワが書いたようにまとめたものです   サブタイトルに「弾きどころ」とあるように,演奏する立場からの見解も相当部分を占めています

この本で扱っている作品は以下の通りです

1.バッハ

 ①平均律クラヴィーア曲集

 ②ゴルトベルク変奏曲

2.モーツアルト

 ①ピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」

3.ベートーヴェン

 ①ピアノ・ソナタ第14番「月光」

 ②ピアノ・ソナタ第32番

4.シューベルト

 ①「4つの間奏曲」作品90より第3番

 ②ピアノ・ソナタ第21番

5.シューマン

 ①「子どもの情景」よりトロイメライ

 ②クライスレリアーナ

6.ショパン

 ①「練習曲集」より第3曲「別れの曲」

 ②ピアノ・ソナタ第2番

7.リスト

 ①ラ・カンパネラ

 ②ピアノ・ソナタ  ロ短調

8.ムソルグスキー

 ①展覧会の絵

9.ドビュッシー,ラヴェル

 ①ドビュッシー「ベルガマスク組曲」より第3曲「月の光」

 ②ラヴェル「夜のガスパール」

以上に見るとおり,ピアノ曲の代表的な名曲ばかりです   それぞれの曲は,①その曲の特徴,聴きどころ,弾きどころ,②お薦めの演奏から成っています

このピアニストは作品をかなり研究しているな,と思わせる記述がそこかしこにあります   例えば,モーツアルト「ピアノ・ソナタ第11番」の解説では概要次のように解説しています

「この曲はウィーンで活動するようになった最初のころの作品である.モーツアルトは,このソナタと,ひとつ前のソナタ(K.330),そして次のソナタ(K.332)の3曲を一つのセットとして考えていたが,各ソナタが3楽章構成なので全部で9楽章ある   K.331では3つの楽章の素材が『変奏曲』『メヌエット』『トルコ行進曲』と目立つものばかりである   9つの楽章の中には同じものは二つとない.そのくらいバラエティを見せてアピールしたかったと言われている.ソナタ3曲をいっぺんに発表して,これもできる,あれもできるとウィーンの人たちをびっくりさせたかったのだろう

また,初めて知るような知識も教えてくれます

「面白いのは『トルコ行進曲』のテンポ表示.多くの版は『アレグレット』となっているが,初期の頃の版では『アレグリーノ』だった   ウィーン原典版は今でも『アレグリーノ』という指示である.『アレグリーノ』は『アレグロちゃん』みたいな,ちょっとかわいらしいというか,作曲家のウィンクみたいな感じがある   テンポとしてはアレグレットだが,アレグロの中で遊んでください,みたいなニュアンスだと思う

ベートーヴェンのピアノ・ソナタについては次のように鋭い指摘をしています

「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全般については,弦楽四重奏的な発想で書かれているという特徴がある   その基本の発想は,メロディと伴奏ではなく,和音の動き,横の線と縦の線の組み合わせだ.合唱でもソプラノ,アルト,テノール,バスとあるように,4つの声部は音楽の基本だが,ベートーヴェンは4声部の扱いに関して誰にも負けないという自信があった   実際,ピアノ・ソナタと並んで弦楽四重奏曲のジャンルでもありとあらゆる実験的なことをしている

演奏家の立場で弾くのが難しい例としてシューベルト(「4つの即興曲」から第3番)を挙げています

「この曲は,人に語って聴かせると同時に独白というか自分にも語りかけているので,ちょうどいい位置を見つけるのが難しい   歌いすぎてもいけないし,かといってあんまり冷たく客観的にいってもうまくいかない.モノローグでは誰でも自分に正直だが,人に語って聴かせるときには,どうしても恰好つけてしまうから   多くの演奏家が言っているが,シューベルトほど正直な作曲家はいない.だから演奏者も正直でないと いい音色,いい音が出ない   聴く方も『あ,ちょっとこれは違う』と感じる.弾き手の下心が,聴いている人に見透かされる.その意味では弾き手を映す鏡のような危ない作曲家だと思う

これはピアノを弾いたことがある人でないと分からないことだと思います

ロシア人の演奏家として,ロシア音楽について,そしてドイツのシューマンについて次のように語っています

「ロシア音楽はどちらかというと,知性的なものよりも感情的なものを優先する   形や構造よりも,内容や情緒を大事にする.ラフマニノフもチャイコフスキーも,あまりにも内容が豊か過ぎて,なかなか形にまとまりにくい   でも,シューマンにも同じことが言えるのではないか.厳密なフーガよりはファンタジー.ソナタ形式でも出来るだけ自由な方を求めている.言いたいことがあり過ぎて形式になかなか収まりきれないというのはドイツ人の作曲家にしては珍しいと思う

「シューマンらしさというのは,やはりリズムとポリフォニーにあると思う   もちろんすてきなハーモニーもあるが,本質はやはりリズムとポリフォニーだ.しかもロマン派のポリフォニー,基本的に複雑に見せたい.シンプルにはやりたくないのだ

ショパンの音楽に対する見方は個人的に共感できるところが大きいです

「ショパンは一般的に甘いというか,女性的で繊細な音楽と捉えられることが多いようだが,自分にとっては古典的な作曲家だ   作曲家としても人としても厳格.ロマンティストだが,現実主義者でもある.男性的な感じ,あるいは英雄的な感じも非常に強い人.そういう意味ではベートーヴェンの精神性にも負けていないと思う

私はショパンの音楽こそ「男のロマンティシズムの極致」だと思っています

ショパンの「ピアノ・ソナタ第2番」の第3楽章「葬送行進曲」と第4楽章「フィナーレ」については次のように述べています

「第3楽章でショパンらしいと思うのは,そのシンプルさだ   ベートーヴェンのソナタ第12番の『葬送行進曲』をすごく意識している.第4楽章は『葬送行進曲』の後だから悲劇的なフィナーレを期待しがちだが,そうはならない   当時の評論家が『特にフィナーレがおかしい,わけの分からないまま終わってしまう』と批判した.でも,ショパンは『死』をアイロニカルに見ている.例えば葬式に行ってみんなすごくダークムード   だから遺体を埋葬したら早く家に逃げ帰りたいだろう   そういうフィナーレだ.手紙の中では『フィナルチク』フィナーレちゃんって,かわいらしく呼んでいる   アントン・ルビンシテインによると『墓場に吹き荒れる風』だ.個人的には何か逃げるようなイメージが強い.とてもユニークな音楽だ

これを読んで,なるほどな,と思いました

最後に,フランスの作曲家,ドビュッシーとラヴェルの音楽の違いについて次のように語っています

「ラヴェル自身,自分は非常に保守的な人間で,何も新しいことをするわけではないと言っている   新しいものを作るというより,すでにある伝統的な形の中に自分の新しい語法を入れるのだと思う.一方,ドビュッシーの作品に出てくるいろんなテーマやメロディ,そのラインや形は具体的でない   動きの感じが強い.ラヴェルの場合は,結構はっきり線が見える   ドビュッシーは音楽の中で常に物の裏側や奥で動いているもの,見えないものを探している.一方,ラヴェルは描写的に物を描く.音で描いて,すごく形や論理にこだわる   よく言われるとおり,ドビュッシーの作品には解釈する余地がたくさんあるが,ラヴェルの作品は書いてある通りに弾けば良い

以上はほんの一部ですが,知らないことがたくさん紹介されていて,すごく勉強になりました   それぞれの作品には楽譜が紹介されているので,ろくに楽譜が読めない私などは「聴きどころ」に視点を置いて読みましたが,ピアノを弾くことが出来る人は楽譜を参照しながら「弾きどころ」に視点を置いて読んでみてはどうかと思います   プロならではのサジェスチョンがそこかしこに書かれています

ピアノが弾ける弾けないに関わらず,クラシック音楽愛好家にお薦めします

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