28日(火).昨日の朝日夕刊 文化欄に,23~25日に東京と川崎でベルリン・フィルを指揮したサイモン・ラトルのインタビュー記事が載っていました 同氏は2018年8月で同楽団の芸術監督を退きますが,「楽団の可能性をあらゆる方面に拡大することが仕事だった」と語っています 2009年から始めたコンサート映像の配信「デジタル・コンサートホール」は,オーケストラ界の先駆け的存在と言われています 二度と聞きたくない言葉は「クラシック音楽はエリート層のためのもの」というもので,「クラシック音楽はすべての人のためにある.皆さんが『クラシック音楽病』にかかっていただき,治ることがないことを祈ります」と語っています.ラトルは17年から故国イギリスでロンドン交響楽団の音楽監督に就任しますが,「サントリーホールやミューザ川崎シンフォニーホールのような素晴らしい音楽ホールをロンドンでも作るべきだ」と思いを語っています
言われてみれば,ロンドンにはすぐに思い浮かぶ音響の良いホールがないような気がします
ということで,わが家に来てから今日で1154日目を迎え,大相撲九州場所で通算40度目の優勝を果たした横綱白鵬が表彰式のインタビューで,横綱日馬富士による暴行問題について触れ「力士の代表としておわびしたい」「日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げてあげたいと思う」と発言した上で 観客に万歳三唱を呼びかけた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「力士の代表としておわびしたい」は分かるけど 万歳三唱は何がめでたいのか?
昨日,夕食に「麻婆茄子」「生野菜と海老のサラダ」「海老ダンゴ,シメジ,チンゲン菜のスープ」を作りました 「麻婆茄子」は豚バラ肉で作りましたが,若干豆板醤を入れ過ぎたかも知れません
昨日,池袋の新文芸坐で沢田研二デビュー50周年記念映画「大阪物語」と「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」の2本立てを観ました いつもより女性客が多いように思います.かつて「ジュリー」と騒いでいた人たちでしょうか (批判しているわけではありません)
「大阪物語」は市川準監督による1999年制作映画(119分)です
中学2年の若菜(池脇千鶴)の両親は,はる美&りゅう介という売れない夫婦漫才師をやっている 二人の漫才は「皆さん,ようこそお出でくださいました」「頼みもせんと」で始まるマンネリそのもので,若菜と弟の一郎は両親のマネをして近所の人たちを喜ばせていた 貧しいながらも一家4人で幸福な生活を送っていたが,隆介(沢田研二)が妙子という20歳も年下の女性を妊娠させてしまう これまで夫の浮気を大目にみてきた春美(田中裕子)だったが,ついに堪忍袋の緒が切れて離婚する決意をする しかし生活のためコンビの解消はせず漫才を続ける.ある日,隆介は春美たちのもとから失踪してしまう 春美がまったく動かない中,若菜は隆介あてに届いたハガキなどを頼りに隆介を探す旅に出る
この映画は,池脇千鶴の映画初出演作品です しっかり者の中学生の等身大の姿を演じています その後,彼女が出演した映画を何本か観たことがありますが,その都度,「いくつになっても変わらないなぁ」と感心します
「ジュリー」こと沢田研二が,女にだらしない中年男をいい味を出して演じています しっかり者の妻・春美を演じた田中裕子の演技力には舌を巻きます どーしようもない男と一緒になってしまったという後悔と,それでもこの男なしでは生きてはいけないという弱さを併せ持った子持ちの女性を見事に演じています
この作品は関西テレビ開局40周年を記念して制作されただけに,吉本興業の漫才師をはじめ大阪の芸能人を総動員して「大阪賛歌」をぶち上げているかのようです 会話がすべて大阪弁というところも良かったと思います
「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」は山田洋二監督による1982年制作映画(106分)です 先日のブログでもご紹介しましたが,主題歌をはじめ音楽を山本直純が担当しています
大分県の湯平温泉で物売りをする寅は,馴染みの湯平荘に宿泊する 夜,寅が宿の親父・勝三と酒を飲んでいると,三郎(沢田研二)という青年が現れ,かつてこの宿で母親が女中をしていたが,その母親が1か月前に病死し,遺骨を埋葬するためにこの地にやって来たという 勝三は美しかったその女中を覚えており,親孝行な青年に感心した寅は,昔の知り合いを集め湯平荘で供養をしてやることになる そこで,投宿していた蛍子(田中裕子)らと知り合いになるが,三郎は蛍子に一目ぼれする しかし,口下手な彼はプロポーズに失敗してしまう.三郎の車で柴又に帰った寅は若い二人のために一肌脱ぐことになる
この頃の田中裕子は本当に初々しく,どことなくほわっとした柔らかい雰囲気に包まれていて,それでいてしっかりしている,そんな感じがします この頃から演技力は抜群です 動物飼育員の三郎を演じた沢田研二は,いかにも口下手な好青年を演じています この二人はこの作品がキッカケとなり結婚することになります(沢田は2度目)「いよっ 色男 結構毛だらけ 猫灰だらけ・・・よくやるねぇ」と,寅さんなら言ったかも知れません
旅先で美人と出会って一目ぼれし,後日その女性が柴又を訪れ,寅さんといい線をいくかと思いきや,その女性には別に好きな男がいて,寅さんは再び旅に出て行くという「男はつらいよ」シリーズほどワン・パターンのマンネリ映画もないでしょう でも,お客は寅さんの恋の行方が分かっているのに また観に行って「あ~,また振られちゃったぁ~」と同情したりするのです.自分のことは棚に上げて
この映画ではウィンナ・ワルツが何曲か流れていましたが,一番印象的に使われていたのは,車の運転をしている三郎が 蛍子が一人だと思って「駅まで送りますよ」と声をかけると,友達も出てきて,そうかと思っていると寅さんまで出てきて,結局4人乗りで出発する時に威勢よく流れる ヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ「春の声」です
「男はつらいよ」シリーズでは毎回のようにクラシック音楽が使われていますが,これは監督の山田洋二氏の好みでしょうか,あるいは音楽担当の山本直純氏の選曲によるものでしょうか いずれにしても,いつも選曲のセンスの良さに感心させられます