人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ソヒエフ+シーロヴァ+キマチ+N響でプロコフィエフ「オラトリオ版『イワン雷帝』」を聴く~語りの片岡愛之助にブラボー!

2017年11月18日 08時07分04秒 | 日記

18日(土).わが家に来てから今日で1144日目を迎え,経団連等の経済3団体が17日,安倍晋三首相から要請を受けていた約3千億円の拠出を受け入れる方針を表明した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

         自民党筆頭副幹事長の小泉進次郎クンは「おれ聞いてねーよ」と言ってるけど

 

                                           

 

昨日,夕食に「スタミナ丼」と「生野菜とワカメと生ハムのサラダ」を作りました   「スタ丼」は息子のリクエストです

 

     

 

                                           

 

昨夕,NHKホールでNHK交響楽団定期演奏会Cプログラムを聴きました   プログラムはプロコフィエフ/スタセヴィチ編「オラトリオ版 イワン雷帝」です   出演は,メゾ・ソプラノ=スヴェトラーナ・シーロヴァ,バリトン=アンドレイ・キマチ,合唱=東京混声合唱団,児童合唱=東京少年少女合唱隊,語り=歌舞伎役者・片岡愛之助,指揮=トゥガン・ソヒエフです

 

     

 

「イワン雷帝」はセルゲイ・エイゼンシテイン(1898-1948)が1944年から1946年にかけて制作したソ連映画で,音楽を担当したのがセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)です   これは「イワン雷帝」ことイヴァン4世(最初のロシア皇帝)の生涯を描いた作品で,全3部構成で制作される予定でしたが,第1部は第1回スターリン賞を受賞するなど評価されたものの,第2部はスターリンを暗に批判した内容だったため上映禁止となり,第3部は完成されませんでした

映画の内容は

第1部=16世紀半ば,帝位に就いたイワンはロシアの強力な統一国家にすべく邁進するが,それを快く思わない伯母のエフロシニアは,彼の愛する王妃アナスタシアを毒殺してしまう   悲嘆にくれたイワンは退位して田舎に引きこもるが,民衆の熱い要請を受けて,再び王位に就く

第2部=民衆の熱い要請を受けて再度王位に就いたイワンだったが,宮廷内は依然としてエフロシニアを中心とする反イワン派の抵抗を受けていた   イワンはこの状況を打開すべく大粛清を決行する

というものです  

1956年にフルシチョフが行ったスターリン批判が大きな転機となり,プロコフィエフ没後の1961年,指揮者で作曲家のアブラム・スタセヴィチが 合唱,語り手,独唱,オーケストラのためのオラトリオとして編曲したのがこの「イワン雷帝」です  基本的には映画の第1部と第2部の内容がほぼ時系列で展開しますが,フィナーレは第1部の結末で閉じられています

ところで,エイゼンシテインは1920年代からジャポニズムに傾倒していました   エイゼンシテインは,2代目市川左團次率いる一座による歌舞伎初の海外公演が1928(昭和3)年8月にモスクワとレニングラードで実施された際に「仮名手本忠臣蔵」等を観て,花道の「見得」に大いに感銘を受け,第1部ではクローズアップ・ショットで主人公に見得を切らせるという歌舞伎様式の演出をしているとのことです   その関係もあって,この日の公演は歌舞伎俳優の片岡愛之助氏が「語り」を担当しています

 

     

 

最初にステージ奥に東京混声合唱団100数名が,その手前に東京少年少女合唱隊の40名が配置に着き,コンマスの篠崎史紀氏以下オケのメンバーが入場し配置に着きます   オケはヴァイオリン・セクションを左サイドに固める いつものN響の配置です   そして,メゾ・ソプラノのスヴェトラーナ・シーロヴァとバリトンのアンドレイ・キマチがチェロの後方に,小型ワイヤレス・マイクを付けた片岡愛之助氏が第1ヴァイオリンの手前にスタンバイします

この曲は全20曲から成りますが,曲の合間 あるいは曲に被せながら片岡氏の語りが入り,演奏が展開します   ソロと合唱の部分では舞台左右に字幕スーパーが出ます.事前のアナウンスによると途中休憩がありません(約1時間25分)

ソヒエフの指揮で「序曲」の勇壮な音楽(イワンの主題)が開始されます   実は,この曲は初めて聴く長時間のオラトリオなので途中で退屈するのではないかと”警戒”していました   が,元が映画のために書かれた音楽だという親しみやすさと,片岡愛之助氏の 時にストーリーを語り,時にイワン雷帝に成り切った雄弁な語りによって,その心配はすっかり払拭されました

合唱団の力強いコーラスには圧倒され,オケの柔軟さにはさすがはN響と思いました   メゾ・ソプラノのスヴェトラーナ・シーロヴァは恵まれた身体から,ロシアにどっしり根を張った凄みのある歌声を聴かせてくれました   たった1曲(第18曲=フョードル・バスマーノフと親衛隊の歌)しか出番がなかったバリトンのアンドレイ・キマチは,イワンの腹心バスマーノフの歌を力強く歌い上げました

今回の公演は予想以上の好演で,作品自体の魅力と片岡愛之助氏の雄弁な語りとが相まって熱狂のうちにフィナーレを迎えました  今回の演奏を聴いて,エイゼンシテイン監督による「イワン雷帝」を是非観てみたいと思いました

 

     

コメント
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