15日(月)。わが家に来てから今日で1473日目を迎え、米国の人気歌手テイラー・スウィフトが11月の米中間選挙で野党、民主党への支持を明言し 投票を呼びかけた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
テイラーは民主党を中間選挙で勝てるように”仕立てる”ことが出来るか? 見もの!
昨日、晴海の第一生命ホールでオイストラフ弦楽四重奏団のコンサートを聴きました プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第38番変ホ長調作品33-2”冗談”」、②ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第4番ニ長調作品83」、③加藤昌則「There is ..... There was... Drawing notes of the merory for String Quartet」、④メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第6番ヘ短調作品80」です
20世紀を代表するソ連のヴァイオリニスト、ダヴィド・オイストラフの名前を冠した「オイストラフ弦楽四重奏団」は、エリザベート王妃コンクール優勝者のアンドレイ・バラノフを中心に組織されたクァルテットです メンバーは、第1ヴァイオリン=アンドレイ・バラノフ、第2ヴァイオリン=ロディオン・ペトロフ、ヴィオラ=フェドル・ベル―ギン、チェロ=アレクセイ・ジーリンです
自席は1階6列11番、左ブロック右から2つ目です。会場は5~6割くらいの入りでしょうか。ちょっと寂しいです
4人が登場して配置に着きます。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴォイラ、チェロという並びです
1曲目はハイドン「弦楽四重奏曲第38番変ホ長調作品33-2”冗談”」です この曲はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732‐1809)が1781年に作曲した6つの弦楽四重奏曲(第37番~第42番)の2番目の曲です この曲が「冗談」の愛称で呼ばれているのは、第2楽章がスケルツォ(冗談、諧謔)と表示されているからです 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ」、第3楽章「ラルゴ・エ・ソステヌート」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります
4人の演奏で第1楽章に入りますが、冒頭の演奏を聴いただけで、このクァルテットは表情が豊かだな、と思いました つい4日前に聴いたウィーン・ニコライ弦楽四重奏団のハイドン(第77番)の演奏と比べると、同じハイドンでもまったくアプローチが異なるように感じます この印象は最後の第4楽章に至るまで変わらず、オイストラフSQの方がある意味 明るくユーモアを感じさせるハイドンらしい演奏だと思います
第4楽章のフィナーレは、主題旋律が途中のまま終わってしまい、肩透かしを食うところが いかにもハイドンらしい「ジョーク」に思え、こちらの方が愛称の根拠として相応しいような気がしました
2曲目はショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第4番ニ長調作品83」です この曲はドミトリ・ショスタコーヴィチ(1906‐1975)が1949年に作曲し、53年に公開初演されました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「アレグレット」の4楽章から成ります
全楽章を通して力強くも穏やかなメロディーが続きます あらためて各楽章の表示を見ると「アレグロ」が一つもありません 丸山瑶子さんの「プログラム・ノート」によると、ショスタコーヴィチは1949年にソ連を代表して「世界平和文化科学会議」に出席するためアメリカに派遣されますが、この時、バルトークの弦楽四重奏曲に刺激を受けたようです なるほど聴いているとバルトークの影響があるように感じます その部分を含めて素晴らしい演奏です
なお 上記の会議は、10月12日のブログでご紹介した東京藝大「バーンスタインのアメリカ」公演で、福中冬子藝大教授のレクチャーに出てきた会議で、アメリカからはコープランドとバーンスタインが出席しています
4人が揃ったところでプログラム後半に入ります ここで初めて、私は第1ヴァイオリンのアンドレイ・バラノフだけが電子楽譜を使用していることに気が付きました フット・スイッチを踏むだけで”ページめくり”が出来るので 特にめくる暇もないほど速くて音符の多い曲を弾く時は欠かせないのでしょう IT化の波はクラシック音楽界にも着実に押し寄せています
後半最初の曲は加藤昌則「There is ..... There was... Drawing notes of the merory for String Quartet」です 加藤昌則氏は かつて2度文京シビック小ホールで「クラシック音楽入門講座」のレクチャーを聴いたことがあるので、親近感を感じます
「プログラム・ノート」にある本人の解説によると、「タイトルは『今ある、かつてあった』という意味の英題で、目には見えないけれど、空間の中にフラッシュバックのように蘇る過去の様々な記憶を音楽に表現した作品」とのことです
4人はピッツィカート、グリッサンドなどの技巧を駆使し、弦楽器だけで様々な音色の音楽を奏でていきます 現代音楽にしては聴きやすい曲で、時にバルトーク風であったり、伊福部昭風であったりして、作品自体を楽しむことが出来ました こういう現代音楽なら歓迎します
プログラムの最後はメンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第6番ヘ短調作品80」です そもそも私がこのコンサートを聴こうと思ったのは、プログラムにこの曲があったからです この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1847年9月に完成、10月に私的に初演されました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」、第2楽章「アレグロ・アッサイ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります
4人の演奏で第1楽章に入ります。冒頭、激しいトレモロが「いま目の前に差し迫っている危機」的な緊迫した情景を描き出します メンデルスゾーンに何があったのか
実は、この曲が完成する約4か月前の1847年5月14日、姉ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼルが脳卒中で死去したのです 最愛の姉の死は弟フェリックスにとっては大きな打撃となり、しばらく作曲活動に空白期間が続きます そして、同年7月6日に「弦楽四重奏曲第6番」の作曲に着手、9月に完成します しかし、フェリックスは同年11月4日 発作を起こし、姉の後を追うように天国に召されたのです 38年の人生でした
4人の演奏で聴く第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」は慟哭の音楽です 姉を失ったやり場のない悲しみを音楽にぶつけています。第2楽章も同様の曲想で、悲しみが疾走しています 第3楽章「アダージョ」は自らを慰めているかのようです。第4楽章「アレグロ・モルト」は再び慟哭の音楽が展開し、やり場のない悲しみが爆発します ここで彼は持てる力をすべて出し切ってしまったのでしょう
素晴らしい演奏でした このクァルテットは第1ヴァイオリンが他の3人を引っ張っていくタイプの四重奏団だと思いますが、それぞれの演奏レヴェルが高く”聴かせる力”を持ったグループだと思います
会場いっぱいの拍手に、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」を鮮やかに演奏、それでも鳴り止まない拍手に、チャイコフスキー「甘い夢」を演奏し、再び大きな拍手を浴び コンサートを締めくくりました 今回のコンサートで彼らの実力は分かったので、次回コンサートを開く際には より多くの聴衆が集まることでしょう