11日(木)。日経朝刊最終面の名物コラム「私の履歴書」に、ヴァイオリニストの前橋汀子さんが連載しています 昨日の第9回では、1961年、恩師のアンナ先生の母校レニングラード音楽院の創立100周年の一環として、初めて共産圏以外の国から留学生を招くことになり、潮田益子さんと自分が選ばれたこと 高校を中退して留学することになったが、桐朋学園の恩師、斎藤秀雄先生から呼び出され「君ねえ、絶対に人と比べたらいけないよ」と言われ、少しムッとしたが、後にこの言葉を何度も反すうしながら涙を流したこと その年の夏 17歳の自分が横浜港大桟橋から出港する際、桐朋の級友から「これ、小澤さんからだよ」と 空気で膨らますビニールの河童の人形を手渡され、道中寂しくないようにという小澤征爾さんのユーモアたっぷりの餞別だと嬉しく思ったこと などが綴られています
連載を読んで思ったのは、前橋汀子さんは文章が相当上手いということです 同じ桐朋出身のピアニスト中村紘子さんも玄人はだしの書き手でしたが、彼女に負けず劣らず読ませる文章を書いています
「一芸に秀でる者は・・・」とはよく言われる言葉ですが、前橋さんも多面的な才能を持った人だと思いました
ということで、わが家に来てから今日で1469日目を迎え、大使就任以来 シリア内戦や北朝鮮問題をめぐる国連安全保障理事会の協議で、ロシアと激しく対立してきたヘイリー米国連大使が今年限りで辞任することになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
数少ない非白人として頑張ったけど トランプとは意見不一致が多かったんだろう
昨日、夕食に「アボカドと鶏もも肉の塩だれバター炒め」と「生野菜とタコのサラダ」を作りました 「アボカド~」は cookpad のレシピですが、アボカドと鶏肉は合いますね
昨夕、大手町の日経ホールで第477回日経ミューズサロン「ウィーン・ニコライ弦楽四重奏団 日本デビュー・リサイタル」を聴きました プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第77番ハ長調作品76‐3”皇帝”」、②モーツアルト「弦楽四重奏曲第14番ト長調K.387”春”」、ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1”ラズモフスキー弦楽四重奏曲第1番”」です 演奏するウィーン・ニコライ弦楽四重奏団は全員ウィーン・フィルのメンバーで、第1ヴァイオリン=ヴィルフリート・和樹・へ―デンボルク、第2ヴァイオリン=ベンジャミン・モリソン、ヴィオラ=ゲルハルト・マルシュナ-、チェロ=ベルンハルト・直樹・へ―デンボルクです
自席はL列8番、左ブロック右通路側です。会場はかなり埋まっています
1曲目はハイドン「弦楽四重奏曲第77番ハ長調作品76‐3”皇帝”」です ヨーゼフ・ハイドン(1732‐1809)は1797年にウィーンで、エルデーティ伯爵のために第75番から第80番までの6曲の弦楽四重奏曲を作曲しました この曲はそのうちの第3作に当たりますが、「皇帝」という愛称が付けられています これは第2楽章の変奏曲の主題旋律に、ハイドンが1797年1月に作曲したオーストリア国歌「皇帝讃歌」が流用されていることに由来しています その後、この旋律はオーストリアの正式な国歌として制定され、1932年からはドイツの国歌にも流用されました。ハイドンって偉大ですね
第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ポーコ・アダージョ・カンタービレ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります
4人の演奏家が登場し配置に着きます 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという並び方をとります。ヴィオラのベンジャミン・モリソンが他の3人より頭一つ背が高く 目立ちます
全楽章を聴いて感じたのは、文体で言えば「楷書体」の演奏です 誰かが突出しているという印象はなく、全体的にバランスがとれていて折り目正しくキチっとした演奏です
2曲目はモーツアルト「弦楽四重奏曲第14番ト長調K.387”春”」です ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756‐1791)は、ハイドンの「ロシア四重奏曲」(第37番~第42番)に深く感動して、1782年の終わりから1785年1月までの間に 自らの意志により6曲の弦楽四重奏曲(第14番~第19番)を書き上げ、ハイドンに献呈しました そのため「ハイドン・セット」と呼ばれています この第14番はその第1作に当たります
第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」、第2楽章「アレグロ:メヌエット」、第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第4楽章「モルト・アレグロ」の4楽章から成ります
第1楽章を聴いたところで、テンポがゆったり目だったこともあって、ちょっと重いかな、と感じました 端正な演奏なのですが、モーツアルト特有の愉悦感のようなものがあまり感じられません。折り目正しい演奏がモーツアルトではマイナスに作用してしまっているような感じです ただ、第3楽章のアンダンテ・カンタービレはとても美しく響きました
プログラム後半はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1”ラズモフスキー弦楽四重奏曲第1番”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1805年頃から翌年にかけて作曲し、ウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー公爵に献呈した3曲の弦楽四重奏曲の最初の曲で、1806年7月に完成しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アレグレット・ヴィヴァーチェ・エ・センプレ・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・メスト」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります
ひと言でいうと「端正」で「中庸」な演奏です 前半のハイドンとモーツアルトとさほど演奏スタイルは変わっていないように思います。逆に言えば、何回聴いても飽きない演奏と言えなくもない演奏で、このままライブ録音しても差し支えないような演奏です。ただし、ライブで聴いていると何か物足りなさを感じます モーツアルトの場合は”愉悦感”でしたが、ベートーヴェンの場合は”活気”とか”推進力”といったものです ベートーヴェンとしては大人しい演奏だと思いました
何度かのカーテンコールの後、チェロのベルンハルト・直樹・へ―デンボルクが胸ポケットからマイクを取り出して、流暢な日本語で(当たり前か)、
「今日は私たちの日本デビュー・リサイタルですが、皆さんにお会いできて嬉しく思います 今月発売のCDを持ってまいりましたので、後でお買い求めいただければと思います アンコールにラズモフスキー3番の『メヌエット』を演奏いたします」
とアナウンスして、弦楽四重奏曲第9番(「ラズモフスキー第3番」)の第3楽章「メヌエット」を演奏し聴衆のクールダウンを図りました とてもいい演奏でした
ところで、日経ミューズサロンでは、最後の曲目の演奏後に女性スタッフから演奏者に花束が手渡されますが、もらった本人たちも嬉しいでしょうが、見ている方も気持ちが良いものです これからも是非続けてほしいと思います