人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

東京藝大の第64回藝大オペラ定期公演でモーツアルト「魔笛」を聴く~ポイントは「夜の女王」と「パパゲーナ」:なぜか リーリー と シンシン も登場

2018年10月08日 07時15分39秒 | 日記

8日(月)。後述の通り、昨日 上野の東京藝大奏楽堂にオペラを聴きに行ったのですが、JR上野駅から東京藝大に向かう途中の上野公園の一角(東京都美術館の近く)に下の写真のオブジェが展示されていました これは何

 

     

 

朝日新聞の記事(9月8日)によると、これは大手銀行勤務後に東京藝大で学んだ 懸谷真弓さんの卒業制作「2.5次元の触覚」です パソコンの中で「手」のような役割を果たすカーソルを表現した作品です この作品は藝大の卒業作品展で東京都知事賞を受賞し、8月20日からこの場所に設置され 来年3月頃まで展示予定とのことです 上野公園、東京都美術館に行かれた折に立ち寄ってみてはいかがでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で1466日目を迎え、プロ野球で2軍の日本一を決めるファーム日本選手権は、宮崎市のKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で行われ、ウエスタンリーグを8年ぶりに制した阪神がイースタン・リーグ4連覇の巨人を8-4で破り、12年ぶり5度目の優勝を遂げた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      阪神は単独最下位の1軍とファーム優勝の2軍のメンバーを 総入れ替えしたらどう

 

         

 

昨日、東京藝大奏楽堂で第64回藝大オペラ定期公演  モーツアルト『魔笛』を聴きました 6日、7日のダブルキャストで、7日の出演はザラストロ=狩野賢一、タミーノ=須澤尊臣、パミーナ=渡辺智美、夜の女王=愛宕結衣、パパゲーノ=田中夕也、パパゲーナ=高橋慶、モノスタトス=糸賀修平、侍女1=田井友香、侍女2=石田滉、侍女3=中島郁子ほか、管弦楽=藝大フィルハーモニア管弦楽団、合唱=東京芸術大学音楽学部声楽科3年生、指揮=高関健、演出=直井研二です

オペラ『魔笛』のストーリーについては10月4日の当ブログ「新国立オペラでモーツアルト『魔笛』を観る」をご覧ください

 

     

 

自席は1階12列2番、左ブロック左から2つ目です。会場は8割以上は入っているでしょうか

ステージはいつもの藝大オペラのようにシンプルそのものです 今回の公演は、歌がドイツ語で歌われ、セリフが日本語で話されます

高関健がオーケストラ・ピットに入り、序曲の演奏に入ります 3つの和音が奏でられますが、どうもドンシャリな感じで 音が籠っているような気がします   しかし、それもストーリーが進むにつれて解消されていきました セリフを日本語にしたのは良いのですが、第1幕冒頭のタミーノとパパゲーノとのやり取りは間延びした感じがしました   もう少しテンポアップした方が良いと思いました

パパゲーノ役の田中夕也は歌は上手いのですが、衣装が寸足らずで お腹がチラ見えで いただけませんでした   出していいのは声と個性です

タミーノ役の須澤尊臣は声が良く通り 演技力にも安定感があります   問題は「夜の女王」です。音楽に導かれて登場した愛宕結衣を見て「この人で大丈夫か?」と心配になりました あまりにもスマート過ぎて存在感が薄かったからです その心配は当たってしまい 第1幕での「夜の女王のアリア」は余程緊張したのかコロラトゥーラの最高音部で少し乱れ、苦しい出足になってしまいました   しかし、第2幕での「夜の女王のアリア」では迫力のある歌唱力で会場を圧倒し 名誉を回復しました

パミーナを歌った渡辺智美はビブラートが特徴のソプラノで、声量もあり声も美しく終始安定感のある歌を聴かせてくれました

ザラストロを歌った狩野賢一は、歌もセリフも太陽の国の支配者らしい堂々たるもので存在感抜群でした

パパゲーナを歌った高橋慶は歌も演技も 今まで観てきた同役の中で一番キュートでした これを機会に人気がキュートーするかも知れません

モノスタトスを歌った糸賀修平は、常に強い方につく狡猾な役柄を見事に演じ歌いました    3人の侍女はそれぞれが良く声が出ていました。特にメゾ・ソプラノの中島郁子は魅力のある歌唱力の持ち主でした

 

     

 

演出で面白かったのは、第1幕でタミーノが魔笛を吹くと森の動物たちが踊り出すシーンです 様々な動物たちのどさくさに紛れて、「うえの  リーリー」「うえの  シンシン」と書かれたゼッケンを胸に付けたパンダの縫いぐるみが2頭登場して踊り出したのです🐼 「なんだパンダ言っても、東京藝大は上野にあるからなあ」と苦笑したのは私一人ではなかったでしょう しかし、モーツアルトとシカネーダーのことですから、初演当時は”受け狙い"で これに似た演出をやっていたに違いありません その意味では good job でした

プログラム冊子の小畑恒夫氏の解説を待つまでもなく、「魔笛」はエマヌエル・シカネーダー(1751‐1812)という希有の役者・興行師との出会いがなければ出来なかったオペラです シカネーダー一座は有能な歌手や演奏家を揃えていたので、モーツアルトは彼らが歌える限界までのアリアを書いたのです その一人はモーツアルトの義姉にあたるヨゼファ・ホーファー(モーツアルトの妻コンスタンツェの一番上の姉)で、彼女の能力に合わせて「夜の女王のアリア」が書かれたのでした

それにしても、「魔笛」は不思議なオペラです モーツアルトもメンバーだった秘密結社フリーメーソンの象徴的な意味を持つ「3」という数が大きな意味を持って登場します 3つの和音、3人の侍女、3人の童子、3つの楽器(笛、パンフルート、グロッケンシュピール)、3つの試練(沈黙、火、水)などです しかし、「魔笛」は謎解きオペラではありません。イタリア・オペラが中心にある時代に、モーツアルトもシカネーダーも聴衆に「受ける」ためにドイツ語の楽しいオペラを書いたのです 台本作者は「これしかねーだー」と言ったとか言わなかったとか

 

     

 

コメント (4)
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