28日(日)。大学の研究室のOB会に出席するため山形から帰京した息子が「山形の秋」を届けてくれました ラ・フランス、庄内柿、あけび、プラム、カラトリイモ等々です
息子がさっそく山形の食材を使って夕食を作ってくれました 「あけびの肉詰め」「野菜とシメジの味噌汁」「カラトリイモの煮っころがし」です 料理はすべて美味しかったのですが、デザートに食べた「あけびの種」(写真の右上)は、食べ方が分からなかったので全て噛んで食べたらすごく苦かった 本当はゼリー状のところだけ食べることが後で分かったりして
京都に居るときゃ~ あけびと呼ばれたの~ って 小林旭かい
ということで、わが家に来てから今日で1486日目を迎え、11月の米中間選挙を前に、トランプ大統領に批判的な政治家や著名人らにパイプ爆弾とみられる不審物が送り付けられた事件で、米捜査当局は26日、フロリダ州に住むトランプ支持者の容疑者の男を逮捕した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
大統領がトランプだから容疑者も異常だと決めつけてはいけない 思っていても
26日の朝日朝刊 文化文芸欄に「超高速テンポ 音符(ノート)よりハート ロシアに拠点 ムジカエテルナ 指揮者クルレンツィス」という記事が載っていました 超訳すると
「ロシアの地方都市を拠点にバロックから現代曲まで演奏するオーケストラのムジカエテルナが、聴衆の固定概念を覆す挑発的な演奏や録音で世界的な注目を集めている 正統か異端か・・・。ギリシャ出身の指揮者テオドール・クルレンツィス(46)は193センチの長身。『音符(ノート)でなく、ハートを音楽に与えるのが指揮者の役目。工場労働者のような旧来のオケから音楽の愉悦は生まれない』が持論だ ソリスト級の団員約100人は日本の田部絢子ら12国籍に広がる。『なぜ人々はクラシックよりもロックのコンサートで興奮するのか。演奏者のエネルギーが伝わるからだ』。目指すのは、長年の解釈を経た音楽の再生産ではなく、作曲当時の姿を蘇らせること。当時使われたバルブのないナチュラルホルンやガット(羊の腸)弦の弦楽器を使い、チェロ以外の全員が立ったまま超絶のスピード感で疾走する 聞き慣れたものと異なる超速のテンポは、実は楽譜の指示通りだという 『ロマン派以降、作曲時より約2倍遅く演奏されてきた。自分が知っていると信じている遺跡(曲)への思いから少し離れてみることが大事だ』。1990年代前半、ロシア・サンクトぺテルブルクで名匠イリヤ・ムーシンに師事した。晩年、ゲルギエフ、テミルカーノフら著名指揮者を含む教え子で 彼だけを『唯一の天才』と話した逸話が残る 『彼から学んだことは自分が持つ音楽の夢を信じ、その想像力を育てること。指揮者とは音楽だけでなく詩作、劇場、映画、脚本、文学を理解し、それらを媒介する人間であるべきだ』と語る」
来年2月11日(月・祝)に すみだトリフォニーホールで開かれる「クルレンツィス✕ムジカエテルナ」のコンサート・チケットを購入済みです プログラムはチャイコフスキー①ヴァイオリン協奏曲ニ長調、②交響曲第4番ヘ短調です どちらかと言うと、ヴァイオリン独奏を務めるパトリツィア・コパチンスカヤの演奏を聴きたくて購入したチケットですが、この組み合わせはエキサイティングなコンサートになることは間違いないでしょう 今から楽しみです
昨日、サントリーホールで新日本フィル第596回定期演奏会(ジェイド)を聴きました プログラムはブルックナーの①交響曲第9番ニ短調(ハース/オーレル版)、②テ・デウムです 出演はソプラノ=山口清子、アルト=清水華澄、テノール=与儀功、バス=原田圭、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=上岡敏之です
余談ですが、3日連続サントリーホールで、3日連続あの爺さんを見かけました N響定期も 読響定期も 新日本フィル定期も 同じ会員であることが判明しました 世の無情を感じます
気を取り直して本題に入りましょう アントン・ブルックナー(1824-96)はオーストリアのリンツで生まれ、ザンクト・フローリアン修道院の聖歌隊と付属小学校に入り、その後、1856年にリンツ大聖堂のオルガニストに就任、1868年にはウィーン音楽院教授に着任しています ブルックナーは「習作」と「0番」を含め全部で11曲の交響曲を作曲しましたが、遅咲きのブルックナーの評価が高まったのは交響曲第7番や「テ・デウム」が初演された1880年代半ばになってからでした
この日のコンサートは未完ながら最後の交響曲である「第9番」と、ブルックナー自身が「最良の作品」と述べたという「テ・デウム」の組み合わせですが、この演奏形態は珍しい試みではありません これは、生前ブルックナーが 万が一の場合「第4楽章の代わりに『テ・デウム』を演奏するように」指示したことを根拠に2曲をセットで演奏するというものです その根拠を否定するわけではありませんが、「テ・デウム」の方が「交響曲第9番」より9年も前に作曲された作品であるということもあり、個人的にはそれぞれ独立した曲として別々に演奏すべきではないか、と思います 「交響曲第9番」は、あの寂寥感溢れる「アダージョ」で終わるのが本来の姿ではないだろうか
その「交響曲第9番ニ短調」は、1893年12月に第1楽章が、94年2月に第2楽章が、同年11月に第3楽章が完成しましたが、96年10月に第4楽章を作曲途中で死去、未完のままスケッチが残されました
第1楽章「厳かに、神秘的に」、第2楽章「スケルツォ。動きを持って、生き生きと」、第3楽章「アダージョ。ゆっくりと、厳かに」の3楽章から成ります
一方「テ・デウム ハ長調」は1884年3月に最終稿が完成し、85年5月2日にウィーン楽友協会小ホールで初演されました 「テ・デウム」は神への讃歌で、日曜や祝日など特別な日に歌われます 第1曲「神よ、私たちはあなたをたたえ」、第2曲「それゆえ願わくは、あなたが」、第3曲「永遠に栄光のうちに」、第4曲「あなたの民を救って下さい」、第5曲「主よ、あなたが私の拠りどころです」の5曲から成ります
オケはいつもの新日フィルの並びで、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です コンマスはチェ・ムンス氏。管楽器を見渡すと、左手にスタンバイする9本のホルンが壮観です いつものように第2ヴァイオリンの篠原英和氏と松崎千鶴さんを確認 P席は「テ・デウム」で合唱が入るため空いています。指揮台の前には譜面台がありません。どうやら上岡氏は暗譜で指揮をするようです
上岡氏のタクトで第1楽章に入ります 冒頭のホルンによる主題は重厚そのものです 上岡氏は全体的にかなりゆったりしたテンポで音楽を進めます 演奏を聴きながら、30年以上前に一度だけ訪ねたことのあるリンツの「ブルックナーハウス」(コンサートホール)の傍を滔々と流れる雄大なドナウ川を思い浮かべていました 第2楽章「スケルツォ」は一転、速いテンポにより躍動感あふれる演奏が続きます この楽章では上岡氏のタクトが 右へ 左へ 上へ と忙しく動き、楽員を煽り立て、楽員は懸命についていきます
第2楽章が終わった段階で、新国立劇場合唱団の混声合唱80名がP席の所定の位置に着きます
上岡氏のタクトで第3楽章「アダージョ」の演奏に入ります この楽章ではホルンのうち4本がワーグナー・チューバに持ち替えて演奏します。この楽章こそ、ブルックナーの神への感謝とこの世への別れを告げる音楽です 上岡氏は第1楽章のゆったりしたテンポに戻り、一音一音を噛みしめるように音楽を進めます
上岡氏のタクトが上がり、最後の音が空間に消えていきます。第9番の終了ですが、あとに「テ・デウム」が控えているので ここで拍手は起こりません 静かにタクトが下ろされると、ソリストの4人が入場しオケの後方にスタンバイします
上岡氏のタクトにより「テ・デウム」の演奏に入ります 冒頭、合唱が「神よ、私たちはあなたを讃え、主であるあなたを賛美します」と歌い出しますが、新国立劇場合唱団の力強いコーラスが素晴らしい ソリスト4人も好調です 中でも山口清子さんのソプノが良かったと思います オーケストラは歌手とコーラスに寄り添いながら迫力のある演奏を展開しました
演奏が終了したのは ちょうど3時半、そのあと満場の拍手とブラボーによるカーテンコールが繰り返され、オケと合唱が解散したのは3時40分でした
2016年9月から新日本フィルの第4代音楽監督に就任して3年目を迎えた上岡敏之氏ですが、着実に上岡イズムがオーケストラに浸透してきたように感じるコンサートでした
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