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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

村上春樹著「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編(上)」を読む ~ モーツアルト「ドン・ジョバン二」を描いた絵画が呼び込むミステリアスな物語の始まり

2019年04月14日 07時17分40秒 | 日記

14日(日)。熱はないものの 喉が痛いので昨日午前中に近くの内科で診てもらいました 風邪を引いたらしく喉が腫れているとのことで、薬を処方されました。今年に入って早くも2度目の風邪です 連日のコンサート通いはやっぱり体力が消耗するようで疲れが溜まっているようです そういうこともあって、昨日は映画を観に行くのを諦めて、来週以降のコンサートの予習を兼ねてCDを聴きながら読書に勤しみました

ということで、わが家に来てから今日で1654日目を迎え、米国の北朝鮮サイト「38ノース」は12日、北朝鮮が弾道ミサイルを搭載できる新型潜水艦の建造を続けている可能性があると指摘した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       北朝鮮は アメリカがどう言おうが 核と弾道ミサイルは絶対に手放さないだろうな

 

         

 

村上春樹著「騎士団長殺し 第1部  顕れるイデア編(上巻)」(新潮文庫)を読み終わりました 村上春樹は今さら紹介するまでもなく1949年京都市生まれのベストセラー作家です

36歳の肖像画家(私)は妻と別れてさまよい、美大時代の友人・雨田政彦の好意で、彼の父親で高名な日本画家・雨田具彦が所有する小田原郊外の山中のアトリエ兼住居に住まわせてもらうことになる  雨田具彦は認知症が進行し高級養護施設に入居しているため空き家になっていたのだ。私は孤独で暮らす中、屋根裏で そこに住みついたみみずくに導かれ、『騎士団長殺し』と題する雨田具彦の書いた絵画を発見する。若い男が老人を刺しているところを描いた絵画だが、どういう理由で屋根裏に隠されているのかは分からない その頃、エージェントを通して肖像画を描いてほしいという依頼がくる。依頼者は54歳で白髪の免色(めんしき)という、職業不詳の謎の人物だった 彼は雨田具彦の家の谷間を隔てた向かい側にある大きな屋敷に住んでいた。私はその依頼を受けることにする その頃、夜中に外で鈴の鳴る音が聴こえようになった。気になるので免色を誘って見に行くと、雑木林の中の祠(ほこら)の裏に古い石が積んであり、鈴の音はその下から聴こえてくるようだった 二人は相談の結果、造園業者を呼んで石を掘り返すことにした。すると、石の下は2メートル四方の石床、高さ3メートル位の大きな穴であることが分かった 免色がハシゴから降りて調べると、中には誰もおらず鈴だけが置かれていた。鈴は二人が外で聴いた音色だった。それでは誰が穴の中で鳴らしていたのか。謎は深まるばかりだった

 

     

 

私が好んで村上春樹の本を読む大きな理由の一つは、小説の中にクラシック音楽が登場するからです 彼は日常的にクラシック、ジャズ、ポピュラーと幅広いジャンルの音楽を聴いているようで、この「騎士団長殺し  第1部  顕れるイデア編(上)」にも いくつかクラシック音楽が登場します

主人公の「私」は日本画家・雨田具彦が所有するアトリエ兼住居で生活しているわけですが、雨田はクラシック通(特にオペラ通)で、そこには彼のクラシック・レコード・コレクションが保管されているという設定になっています 「私」はプッチーニの「トゥーランドット」や「ラ・ボエーム」を聴き、ある時はウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団の演奏するシューベルトの「弦楽四重奏曲第15番ト長調D887作品161」を聴くことになります この作品は1826年に作曲されましたが、シューベルト(1797‐1828)の作曲した最後の弦楽四重奏曲となりました

 

     

        LPレコード・ジャケットと同じデザインによるCD(1950年録音)

 

さて、この小説で一番大きい比重を占めているのはモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」です この小説のタイトル「騎士団長殺し」を見た時はモーツアルトの「ドン・ジョバンニ」とはまったく結びつきませんでした と言うのは、「ドン・ジョバン二」に登場するのは、多くのコンサート評やCD解説では「騎士長」と翻訳されているからです 「騎士団長(騎士長)」は、村上氏の言葉をそのまま借りれば「このオペラにおける彼は、名前を持たないただの『騎士団長』であり、その主要な役目は、冒頭にドン・ジョバンニの手にかかって刺し殺されることだ。そして最後に歩く不吉な彫像となってドン・ジョバン二の前に現われ、彼を地獄に連れて行く」という存在です 小説の中の「私」は、雨田具彦の『騎士団長殺し』と題する絵画の中に描かれた人物が、オペラ「ドン・ジョバンニ」の登場人物と同じであることに気が付きます 剣を胸に刺されているのは騎士団長、刺しているのはドンジョバンニ、それを驚いた眼で見ているドンナ・アンナ、そしてレポレッロらが描かれていたのです これから物語が大きく動いていくことになりますが、イデアとはどんな存在で、どのように現れるのでしょうか? 下巻が楽しみです

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