18日(木)。わが家に来てから今日で1658日目を迎え、パリのノートルダム大聖堂の火災で、焼け落ちた高さ96メートルの尖塔に取り付けられていた銅製の風見鶏の像が16日、焼け跡から見つかったが、フランスでは「奇蹟だ」と話題になっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
日本の政界で「風見鶏」と言われて首相になった人がいたが 存在感が違い過ぎる
昨日、夕食に「塩だれ豚丼」と「トマトとエノキダケとレタスとハムのスープ」を作りました 今回は葱よりもニラの比率を多くしましたが、美味しく出来ました
昨夕、サントリーホールで読売日響第587回定期演奏会を聴きました 今シーズンから定期会員になった名曲シリーズの第1回目(4月4日)の振り替えです
風邪が治り切っていないのでマスク着用で聴きました
プログラムは①トゥール「幻影」、②ストラヴィンスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」、③武満徹「星・島(スター・アイル)」、④シベリウス「交響曲第5番変ホ長調作品82」です ②のヴァイオリン独奏=ヴィルデ・フラング、指揮=オラリー・エルツです
タクトをとるオラリー・エルツはエストニア出身で、シベリウス国際指揮者コンクールで優勝した後、ヘルシンキ・フィル、ブルターニュ管の首席客員指揮者、ラトヴィア国立管の首席指揮者を歴任し、現在エストニア国立響の首席客員指揮者を務めています
振り替えられた自席は1階21列24番、センターブロック右から4つ目です 会場をざっと見渡して、読響の定期会員 減ってないか?と心配になりました
オケのメンバーが配置に着きます。弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び。コンマスは日下紗矢子です
1曲目はトゥール「幻影」です この曲はフィンランドのキュミ・シンフォニエッタとエストニア国立響との共同委嘱作品です
エリッキ=スヴェン・トゥール(1959~)は自らロック・グループを率いて活動していた経験を持ち、作風はプログレッシブ・ロックに影響を受けているということです
この曲は彼の父親が幼少時に衝撃を受けたというベートヴェンの「コリオラン序曲」をモティーフとして用いて作曲したとのことです
エルツのタクトで演奏が始まります 現代音楽特有の緊張感を強いられる曲想で、いったいどこに「コリオラン序曲」のモティーフがあるのか
と疑問に思うほど 影も形もありません
それとも私の耳が悪いのでしょうか
いや、頭か
終演後、客席で聴いていたトゥール本人がステージに呼ばれ、聴衆の拍手を受けていましたが、ベートーヴェンもプログレッシブ・ロックも感じない、何となく中途半端な感じがしました。多分、私の耳が悪いのでしょう
2曲目はストラヴィンスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です この曲はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)が1931年に作曲、同年10月23日にベルリンで初演されました
第1楽章「トッカータ」、第2楽章「アリア1」、第3楽章「アリアⅡ」、第4楽章「カプリッチョ」の4楽章から成ります
ヴァイオリン独奏のヴィルデ・フラングは1986年ノルウェー生まれ。ブラッハー、チュマチェンコに師事しました
淡いオレンジ色の衣装を身に着けた長身のヴィルデ・フラングが指揮者とともに登場、さっそく演奏に入ります 席が後方のせいか 第1楽章は独奏ヴァイオリンの音が小さく聴こえ、もう少し音が前に出て欲しいと思いました
第3楽章のアリアは悲し気で美しい演奏でした
第4楽章は一転、リズミカルで技巧的な曲想ですが、フラングは軽快に演奏しました
終盤で フラングとコンマス日下紗矢子の二人で演奏したヴァイオリン二重奏は楽しく聴けました
フラングはアンコールに応えましたが、聴こえて来たのはオーストリア国歌でした 終演後、ボードで確かめると、正確にはハイドン作曲クライスラー編曲「神よ、皇帝フランツを守り給え」でした
フラングは超絶技巧を駆使して美しく弾き切りました
読響の「月刊オーケストラ」かなり簡素化しましたね 合理化の一環でしょうか
後半の最初の曲は武満徹「星・島(スター・アイル)」です この曲は武満徹(1930-96)が早稲田大学創立100周年を記念して1982年に作曲、同年10月21日に初演されました
この曲に限らず、武満徹の音楽は何となくいいなあと思います 訳の分からないその辺の現代音楽とは違って、どこか日本的な感覚を呼び覚まされるように思います
最後の曲はシベリウス「交響曲第5番変ホ長調作品82」です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1915年12月8日の生誕50年に向けて、前年の1914年から作曲に取りかかり完成させました
その後1916年と1919年に改訂しています
第1楽章「テンポ・モルト・モデラート~アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・モッソ・クアジ・アレグレット」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります
エルツのタクトで第1楽章に入ります 冒頭からホルン、オーボエ、フルートが素晴らしい演奏を展開します
演奏を聴いていると、全楽章を通じて全体的にテンポの設定が極端に思えます
速いパッセージは極端に速く、遅いパッセージは極端に遅いように聴こえます
第1楽章の終結は、高速で走っていたシベリウス号が急ブレーキをかけたため、聴いている側が”慣性の法則”で気持ちが前のめりに飛んでいきます
これはエルツに限りませんが
エルツは第2楽章から第3楽章へはアタッカ気味に続けて演奏しましたが、これは効果的でした 序盤の弦楽合奏が美しい
さて、交響曲第5番を聴く時の最大の関心事は、第3楽章の終結部の6つの和音をどのくらいの間を取って演奏するかです 私の愛聴盤はコリン・デイヴィス指揮ボストン管弦楽団による演奏(村上春樹氏と同じ)ですが、この演奏は極端に長い間を取ります
超高速時代の現代ではイライラするほど長い間隔を空けて6つの和音を鳴らしています
その点、今回のエルツ指揮による演奏は、現代的な間の空け方によるもので、自然な呼吸ができる演奏です
どちらが優れているか、という問題ではなく解釈の問題です
今回、エルツの指揮ぶりを見て思ったのは、かなり真面目で几帳面な人ではないかということです 地道にキャリアを積んでいくタイプでしょうか
ところで、今回の席はすぐ前の人が背が高く(座高が高くか)、ちょっと左に傾くと指揮者と第2ヴァイオリンがまったく見えません 幸い今回は振り替え公演だったので1回限りで済みますが、これが定期会員席だったら1年中不幸な目に合うところでした
しかし、まだ 新たに定期会員になった名曲シリーズの席に座っていないので、油断はできません