人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

下野竜也 ✕ ワディム・グルズマン ✕ N響でショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、ヴァインベルク「交響曲第12番」を聴く

2019年04月26日 07時19分42秒 | 日記

26日(金)その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています

 

         

 

昨夕、サントリーホールでN響第1911回定期演奏会(Bプロ)を聴きました プログラムは①ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調作品77」、②ヴァインベルク「交響曲第12番作品114”ショスタコーヴィチの思い出に”」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=ワディム・グルズマン、指揮=下野竜也です

弦はいつもの並びで、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成。コンマスはマロこと篠崎史紀氏です

1曲目はショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調作品77」です この曲は、ドミートリ・ショスタコーヴィチ(1906ー1975)が1947年から翌48年にかけて作曲しましたが、完成後に作曲者に対する批判が出たため、初演は7年間お預けとなり、1955年10月29日にレニングラードでダヴィッド・オイストラフのヴァイオリン、エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルにより行われました 第1楽章「ノクターン:モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ」、第3楽章「パッサカリア:アンダンテ」、第4楽章「ブルレスカ:アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

1973年ウクライナ生まれ、イスラエル国籍のワディム・グルズマンが下野竜也氏とともに登場、さっそく演奏に入ります 楽譜を見ながらの演奏ですが、かなりの技巧派で、緩徐楽章はじっくりと歌わせ、アレグロ楽章は超絶技巧を凝らして下野✕N響との丁々発止のやり取りをしながら猛スピードで駆け抜けます 十数年前 みなとみらいホールで 生まれて初めてこの曲を聴いたヒラリー・ハーン ✕ ヤンソンス ✕ ベルリン・フィルの鮮やかな演奏を思い出しました

終演後、「4月から休憩時間は20分となりました」というアナウンスが流れました N響の場合、プログラム冊子「Philharmony」には、ただ「休憩」と書かれているだけでしたが、今号から「休憩(20分)」と表示されるようになりました 今までは15分しか休憩がなかったので、トイレの列が解消されないうちに後半開始チャイムが鳴り始め、「トイレには行きたいけれど 時間はなし あわただしきことこの上なし」でした 一歩前進です


     


プログラム後半はヴァインベルク「交響曲第12番作品114”ショスタコーヴィチの思い出に”」です この曲はユダヤ系ポーランド人として生まれたミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996)が1975年から翌76年にかけて作曲、1979年10月13日にモスクワで、マキシム・ショスタコーヴィチ指揮モスクワ放送交響楽団により初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

この曲のサブタイトルは「ショスタコーヴィチの思い出に」となっていますが、ショスタコーヴィチの曲想に似ているのは、第2楽章及び第3楽章の一部と第4楽章のフィナーレくらいのものです 千葉潤さんによるプログラム・ノートには「マーラーやショスタコーヴィチを思わせる悲劇性やアイロニー・・・・」といった表現が使われていましたが、「目先がクルクルと変わり 先がまったく読めない」という意味ではマーラーの交響曲に似ていますが、曲想はまったく似ていません ストーリーに関係なくいきなりダンスが踊られるインド映画(ボリウッド)のようです 「この人はいろいろと辛い目に遭って不満が鬱積していたのだろう その辛い気持ちを交響曲の中にランダムにぶちまけたのだろう」と思ったりしました

1時間にも及ぼうとする長大で難解な交響曲を聴きながら、その昔、若者たちの間で空前のヒットを記録したザ・ブロードサイド・フォーの名曲「若者たち」を想い起こしていました

 君の行く道は 果てしなく遠い だのに なぜ 歯を食いしばり 君は行くのか そんなにしてまで 

 君の聴く曲は 果てしなく長い だのに なぜ 歯を食いしばり 君は聴くのか そんなにしてまで 

冗談はさておき、終演後、何だかよく分からない曲だったけど熱演だったと カーテンコールが繰り返されました   女性ヴァイオリン奏者から花束を受け取った下野氏は、それを譜面台上のスコアブックの上に載せ、ヴァインベルクに敬意を表して 楽譜に拍手を送りました   コンマスの篠崎氏には、古典派やロマン派だけでなく、あえて現代のクラシックを取り上げる下野氏をリスペクトする姿勢が見て取れました

ところで、N響のプログラム冊子「Philharmony」は「オーケストラのゆくえ」というテーマでオーケストラを巡る様々なトピックを取り上げてきましたが、4月号はその最終回として元ウィーン・フィルのコンマスで、N響のゲスト・コンマスを務めるライナー・キュッヒル氏がインタビューに答えています。これが実に面白いのです。これについては後日あらためてご紹介することにします

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藝大モーニングコンサートでブラームス「ピアノ協奏曲第1番」(Pf:葛原寛)、アッペルモント「カラーズ」(Tb:岩瀬麟之助)を聴く ~ 高関健 ✕ 藝大フィルハーモニア管弦楽団

2019年04月26日 00時03分42秒 | 日記

26日(金)その1.わが家に来てから今日で1666日目を迎え、東京都は25日、港区の防潮扉に落書きのように書かれていたバンクシーが描いた可能性のあるネズミの絵を、都庁第1庁舎2階北側のフロアで公開した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      本当の作者が どこかでせせら笑っているような気がしてならないんだけどなぁ

 

         

 

昨日、夕食に「塩だれ豚丼」を作りました 何度も作ったので失敗はありません

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から藝大モーニングコンサートを、午後7時からN響定期演奏会(Bプロ)を聴きました ここでは新年度第1回目の藝大モーニングコンサートについて書きます

全自由席です。1階13列12番、左ブロック右通路側を押さえました 会場は7割くらいの入りでしょうか

 

     

 

この日の指揮者は高関健氏のため、オケはヴァイオリン・セクションが左右に分かれる対向配置をとります コンマスは植村太郎です

1曲目はアッペルモント「カラーズ」です この曲はベルギー出身のベルト・アッペルモント(1973~)が、元バンベルク響首席トロンボーン奏者ベン・ハームホウストの委嘱により1998年2月に作曲、同年12月29日に初演されたトロンボーン協奏曲です 各楽章にはカラー(色)の名称が付けられており、第1楽章(イエロー)「マエストーソ」、第2楽章(レッド)「ヴィヴァーチェ」、第3楽章(ブルー)「ラルゴ・エスプレッシーヴォ」、第4楽章(グリーン)「アレグロ」の4楽章からなります 4つの楽章は切れ目なく続けて演奏されます

トロンボーン独奏は1997年生まれ、山口県出身の藝大4年生・岩瀬麟之助君です

高関氏のタクトで第1楽章が開始されます 現代音楽にありがちな難解さはなく、親しみを感じさせるメロディーが続きます イエローの色調を現すかのような明るい音楽がトロンボーンによって表現されます

第2楽章に入ると、まるで「エル・サロン・メヒコ」のようなラテン的な音楽が奏でられ、次第に情熱的で激しい「レッド」を感じさせる音楽に転化していきます

第3楽章はゆったりした音楽の中からトロンボーンがふわっと浮き上がるようなクールな「ブルー」を感じさせる音楽を奏でます そして 第4楽章に入ると、速いパッセージの壮大な音楽が演奏され、スター・ウォーズか   と言いたくなるようなスケールの大きな音楽が展開しフィナーレを迎えます

岩瀬麟之助君の演奏は確かな技巧に裏づけられた素晴らしい演奏でした それは高関氏✕藝大フィルハーモニアのしっかりしたバックがあってこそ実現した演奏でした

 

     

 

2曲目はブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15」です ヨハネス・ブラームス(1833-1897)は、1854年春に3楽章構成による2台のピアノのための「ピアノ・ソナタ」を書きましたが、その後、楽器編成に不満を持ったブラームスはこれを「交響曲」に変更しようと試み、第1楽章を管弦楽化します しかしこの結果にも満足できず、交響曲への改作は頓挫します 翌55年、ブラームスは原曲のピアノ的な書法を活かした「ピアノ協奏曲」として改作することとし、ヨーゼフ・ヨアヒムの助言を得ながら、56年に「ピアノ協奏曲第1番」として完成させました 1859年1月22日にハノーファーで、ヨアヒム指揮、ブラームスのピアノ独奏により初演されました   第1楽章「マエストーソ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏は1997年生まれ、仙台市出身の藝大4年生・葛原寛君です

高関氏のタクトで第1楽章が開始されます   冒頭のティンパニによるトレモロの強打が凄い 一気にブラームスの世界に引き込まれます スケールの大きな長大な序奏に続いて独奏ピアノが入ってきますが、ピアノはオーケストラの一部と化しています。これがブラームスの狙いでしょう 独奏ピアノとオケが混然一体となって次第にヒートアップしていき、ダイナミックな演奏を展開します 第2楽章は優しく穏やかな曲想が続きます 葛原君のピアノの何とデリケートでニュアンスに満ちていることか 第3楽章に入ると一転、独奏ピアノとオケとの推進力に満ちた情熱的な音楽が展開します

ソリストの葛原寛君の演奏は力強くもあり、抒情性もあり、スケールも大きく、何よりも説得力のある演奏でした そして、特筆すべきは高関健 ✕ 藝大フィルハーモニアによる迫力に満ちた渾身の演奏です こういうバックに支えられて演奏できる葛原君は幸せだと思います

 

     

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