人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

藤岡幸夫 ✕ 遠藤千晶 ✕ 藤原道山 ✕ 東京シティ・フィルで千住明「月光」、大島ミチル「箏と尺八のための協奏曲」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」を聴く

2021年09月04日 07時21分22秒 | 日記

4日(土)。わが家に来てから今日で2429日目を迎え、菅義偉首相は3日、17日告示ー29日投開票の自民党総裁選への出馬を見送り、退陣することを表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自分が総理の座にスガってると 自民党政権が危ういと気が付いた さスガの引き際  

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 弱火でじっくり焼いたので 柔らかく美味しくできました

 

     

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィルの「第344回定期演奏会」を聴きました    プログラムは①千住明「月光 〜 尺八、十三弦とオーケストラのための ~」、②大島ミチル「箏と尺八のための協奏曲 〜 無限の扉」、③ショスタコーヴィチ「交響曲第5番 ニ短調 作品47」です    演奏は①②の箏=遠藤千晶、尺八=藤原道山、指揮=藤岡幸夫です

 

     

 

開演30分前からの藤岡幸夫氏のプレトークを聴き終わって席を離れようとして横を見たら、マスク姿でよく判らなかったものの、当ブログに「ままはは」というブログネームで時々コメントを下さるOさんに似ていたので、思い切って「Oさんですか」と声をかけてみました 私が判ったようで「ああ、どうも、全然気がつきませんでした」とビックリされていました。何と会員席が隣同士でした こちらもビックリしました。こういうことってあるものですね

オケは12型(?)で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京シティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫です

箏独奏の遠藤千晶は福島県出身。東京藝大大学院修了。3歳で初舞台を経験して以降、多くのコンクールに入賞しているのをはじめ、数多くのオーケストラと協演しています 尺八独奏の藤原道山は東京藝大大学院音楽研究科修了。初代山本邦山に師事。芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。邦楽に限らず多方面にわたり活躍しています

1曲目は千住明「月光 〜 尺八、十三弦とオーケストラのための ~」です この曲は千住明(1960~)が2009年に東京都の委嘱により書いた作品です 同年10月に千住明指揮東京シティ・フィルにより初演されました

淡い黄色の和服姿の遠藤千晶と和装の藤原道山が登場、藤岡の指揮で演奏に入ります 曲は終始ゆったりしたテンポで進み、尺八が息の長いソロを奏でていき、箏が優美な合いの手を入れます 和服姿の遠藤千晶の優雅な演奏の所作を見ていたら、まるで高級料亭の美人女将みたいだな、と思いました 箏でなくても、どこの分野でも”一流”で通用するような雰囲気を持った女性です

2曲目は大島ミチル「箏と尺八のための協奏曲 〜 無限の扉」です この曲は大島ミチル(1961~)が2018年に遠藤千晶の委嘱により作曲した作品です 同年7月に遠藤千晶、藤原道山、藤岡幸夫指揮日本フィルにより初演されました この曲は 急 〜 緩 〜 急 の3つの楽章から成ります

演奏に当たり、箏が替えられます    箏は調弦が難しいということなので、1曲目と2曲目で2台の箏を弾き分けることにしたのでしょう

ソリスト2人が再登場して、藤岡の指揮で第1楽章に入りますが、曲はかなり速いテンポで進みます   尺八も箏もかなり技巧を要する曲想ですが、遠藤の演奏は撥弦楽器としての箏の魅力に富んだ演奏で、躍動感が溢れています    第2楽章では、藤原の尺八が息の長い美しいメロディーを奏で、遠藤の箏が雅な旋律を奏でます    第3楽章に入ると、再びテンポが上がり、遠藤の箏が高速で駆け巡り、藤原の尺八が躍動します    終盤における二人のカデンツァは鮮やかで、聴きごたえがありました 箏と尺八という和楽器と、オーケストラという西洋楽器によるコラボレーションが これほど見事に調和した演奏も滅多に聴けないと思います 「西洋風でもあり、日本風でもあり」といった不思議な魅力を湛えた作品ですが、バックを務めた東京シティ・フィルの演奏も素晴らしかったです 音楽評論家の柴田克彦氏がプログラムノートに「どこか日本人の琴線に触れる音楽だ」と書いていますが、なるほどねと思いました 本当は「箏線に触れる」と書きたかったところでしょうけれど

 

     

 

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第5番 ニ短調 作品47」です この曲はドミトリ・ショスタコーヴィチ(1906‐1975)が1937年に作曲、同年レニングラードで初演されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

「交響曲第4番」が1936年に共産党機関紙「プラウダ」から「荒唐無稽で音楽ではない」と批判されたショスタコーヴィチは、1937年に”人民に分かり易い”「交響曲第5番」を作曲、「社会主義の理想を表現した」と評価され、名誉を回復しました 「苦悩を通して歓喜へ至る」というベートーヴェン的な概念が当局からも人民からも称賛されたわけですが、1979年に刊行されたヴォルコフ編「ショスタコーヴィチの証言」によると、この曲のテーマは「強制された歓喜」とされています つまり、ショスタコーヴィチは「交響曲第5番をあのような形で書きたくて書いたのではない 曲の最後を勝利の音楽で終わらせなければ名誉を回復することはできないから、しかたなくそういうフィナーレにした」のです これについて、藤岡氏はプレトークで、「フィナーレで金管のファンファーレが鳴り響く場面で、弦楽器がそれを否定するかのように激しくキザミますが、金管のファンファーレがフォルテ2つなのに対し、弦楽器のキザミがフォルテ3つなのです 要するに”偽りの勝利の歓喜”を否定する力の方が大きいのです」と解説しました これは初めて聞きました。ということで、そのつもりで聴くことにしました

オケは14型に拡大します。藤岡の指揮で第1楽章が開始されます 緊張感に満ちた冒頭のテーマが素晴らしい 推進力に満ちた演奏が気持ちよく響きます 第2楽章は冒頭の低弦の力強い渾身の演奏が素晴らしい 第3楽章では弦楽器の緻密なアンサンブルが美しく響きます 独奏オーボエの演奏が冴えています 間を置かずに入った第4楽章では、冒頭から強烈なティンパニの連打を伴う行進曲調の勇壮な音楽が展開します 問題のフィナーレの演奏に移ると、金管の勝利のファンファーレが高々と鳴り響く中、藤岡はヴァイオリンを、チェロを、ヴィオラを煽り立てます 「もっと強く、偽りの勝利を否定するんだ」とばかりに 藤岡の必死の要請に弦楽セクションが渾身の演奏で応えます

藤岡氏のプレトークのお陰で、この曲の本質が判ったような気がするし、それを音として実現した演奏に初めて出会ったような気がします 今回は指揮者としての藤岡幸夫氏を再評価し、東京シティ・フィルの底力をあらためて感じることが出来たコンサートでした

 

     

コメント (2)
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