18日(土)。寝室で使っていた据え置型の小型CDプレーヤー、DENON「DCD-50」が1年間で5回も故障した(ディスクを呑み込んで吐き出さない)ため、同機種の新品と交換させた話は5月下旬のブログに書いた通りです その新品のCDプレーヤーが4か月も経たないのに、またしてもディスクを呑み込んで吐き出さなくなりました 今回犠牲になったのはウィルヘルム・ケンプの弾くシューベルトのピアノソナタ集のCDです 「敵もさるもの」です。新品には保証書が付いていませんでした したがって修理に出すには修理代がかかります。しかし、私は修理代を払うつもりは全くありません。もうこの会社の商品とはお別れしようと思います カッターナイフをディスク挿入口に突っ込んでケンプのCDを何とか救出した結果、まったく動かなくなりました 機械は分別ゴミに出します。さっそく昨日、Bカメラ有楽町店に行って、あらかじめネットで調べておいた”後任候補”CDプレーヤー(TEAC PD-301)の現物を見て、後日配達してもらうよう手配しました アマゾンなどで、現物を見ないで注文する人が多いようですが、私は現物を見てから購入する主義です。それは書籍でも何でも共通しています 新しいプレーヤーが届いたらブログにアップします
ということで、わが家に来てから今日で2443日目を迎え、日銀が17日発表した4~6月期の資金循環統計(速報)によると、家計の金融資産は6月末時点で1992兆円と前年同期比6.3%増え、比較可能な2005年以降で過去最高を更新したが、株高で株式や投資信託の含み益が増えたほか、6月のボーナスが現預金の残高を押し上げた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
それもあるが 新型コロナの緊急事態宣言下で 個人消費が抑制された影響が大きい
昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 1週間おきの金曜日は「鶏の唐揚げ」と「チキンステーキ」のローテ―ションが固まりつつあります
昨夕、サントリーホールで東京フィルハーモニー交響楽団の「第958回サントリー定期シリーズ」公演を聴きました プログラムはブラームス①交響曲第3番 ヘ長調 作品90,②交響曲第4番 ホ短調 作品98です 指揮は東京フィル名誉音楽監督チョン・ミョンフンです
会場は1階センターブロックの3列目までがコロナ感染症対策のため空席になっていますが、そのほかは9割方埋まっている模様です 緊急事態宣言云々の前の段階で定期会員券を中心にチケットを売り切っていたと思われます そうでなければ「会場の定員の半分まで」という入場制限に引っかかっているはずです。チョン・ミョンフン人気恐るべし
チョン・ミョンフンは1953年ソウル生まれ。マスネ音楽学校、ジュリアード音楽院でピアノと指揮法を学ぶ。1974年のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で第2位入賞 その後、ロスアンジェルス・フィルでカルロ・マリア・ジュリー二のアシスタントとなり、後に副指揮者となる。パリ・オペラ座バスティーユ管音楽監督、ローマ・サンタチェチーリア管首席指揮者、フランス国立放送フィル音楽監督、ソウル・フィル音楽監督などを歴任。現在シュターツカペレ・ドレスデンの首席客員指揮者、東京フィル名誉音楽監督を務めています 東京フィルとは2001年にスペシャル・アーティスティックアドヴァイザーに就任して以来、20年の付き合いになります
拍手の中、楽員が入場し配置に着きます 弦は左から第1ヴァイオリン 12、第2ヴァイオリン 12、チェロ 8、ヴィオラ 10、その後ろにコントラバス 7という並び。コンマスは近藤薫、その隣は依田真宣というダブルコンマス態勢です
1曲目はブラームス「交響曲第3番 ヘ長調 作品90」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が50歳の時=1883年に作曲、同年12月2日にウィーンでハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルにより初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ポーコ・アレグレット」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります
チョン・ミョンフンが指揮台に上り、第1楽章が開始されます 弦楽器が良く歌います。ホルン首席・高橋臣宣の演奏が素晴らしい この人の演奏はいつ聴いても安心感があります。ブラームスの交響曲はホルンが重要な役割を与えられていますが、この人がいる限り万全です 第2楽章では、高橋のホルンをはじめ、斉藤和志のフルート、アレッサンドロ・べヴェラリのクラリネットが素晴らしい 第3楽章では弦楽器を中心とする”寂寥感”あふれる演奏を聴くと、50歳のブラームスが感じた「生きる哀しみ」を聴くような気がします この楽章を聴くと、いつも思い出すシーンがあります。ン十年前に放送されたテレビドラマで、多岐川裕美が女スリを演じる番組がありましたが、その時にタイトルロールで流れていたのがこの第3楽章でした オーケストラではなくピアノ独奏で演奏されたメロディーは、若き日の私の心に深く染み渡りました 第4楽章は一転、力強い音楽が展開します この曲を初演したハンス・リヒターは「ブラームスの『英雄』」とベートーヴェンの「交響曲第3番”英雄”」にたとえて称賛しましたが、まさに「英雄的」な音楽です 東京フィルの面々は集中力に満ちた演奏を展開し、静かに曲を閉じました
全楽章を聴き終わって気が付いたのは、チョン・ミョンフンは第2楽章、第3楽章、第4楽章をほとんど間を置かず続けて演奏したことです これは彼なりの必然性があったのだと思いますが、私には解りませんでした
ところで、9月のプログラム冊子にチョン・ミョンフンの指揮棒のエピソードが載っていました それによると、彼の指揮棒は自宅の庭のオリーブやアーモンドの木から彼自身が削り出して作成しているそうです このオリジナルのタクトに加え、アイコン タクトで東京フィルから最大限の音楽を引き出すのでしょうね
プログラム後半はブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です この曲はブラームスが1884年から翌85年にかけて作曲、1885年10月25日にマイニンゲンでブラームスの指揮で初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ」、第4楽章「アレグロ・エネルジーコ・エ・パッショナート」の4楽章から成ります
チョン・ミョンフンのタクトで第1楽章に入りますが、楽員は”阿吽の呼吸”で演奏に入ったように見えました 弦楽器を中心とする冒頭のため息のようなメロディーを聴いて、心を包み込むような温かいものを感じました 「あなたの生き方はそれでいいんだよ」と言っているようでした 高橋臣宣率いるホルンセクションの演奏が素晴らしい 第2楽章では、中盤の弦楽器による重心の低い渾身の演奏が心に沁みました 第3楽章では、マエストロがかなりテンポを動かして楽員を追い詰めますが、楽員は必至に着いていきます 第4楽章では、弦楽器のうねりを伴った渾身の演奏に惹かれます 終盤のフルートの長いソロ、それに続くオーボエの演奏が印象的です 東京フィル総力を上げての演奏に満場の拍手が送られます
チョン・ミョンフンはコンマス近藤薫の肩を揉み、次いで依田真宣の肩を揉んで 演奏者の代表者として慰労します そして、弦楽器のトップ奏者8人の一人一人と握手をして立ち上らせ、称賛します 彼はインタビューで「東京フィルは東京の家族だ」と明言していますが、それが態度に表れていました
チョン・ミョンフン ✕ 東京フィルはアンコールにブラームス「ハンガリー舞曲第1番」をテンポを揺らして変幻自在に演奏、会場の温度を2度上昇させました
楽員が退場しても拍手が鳴り止みません 通常は指揮者だけが再登場して聴衆の歓声に応えますが、チョン・ミョンフンは楽員全員を引き連れてカーテンコールに応えます 会場のそこかしこでスタンディングオベーションが見られたことは言うまでもありません そこで思い出したのが、一部のツイッターで見られる「一般参賀」という言葉です 天皇家の「一般参賀」に因んだ言葉ですが、チョン・ミョンフンを天皇になぞらえて、オケのメンバーを引き連れて聴衆の前に現れることを表したものです この現象は、チョン・ミョンフン以外には見られません 彼のようなカリスマ指揮者が少なくなりました 一抹の寂しさを感じます