6日(月)。昨日の朝日朝刊によると、スイスの指揮者ミシェル・コルボ氏が2日、心不全で死去しました(87歳)。1961年にローザンヌ声楽・器楽アンサンブルを創設し、ルネサンスからバロックにかけての合唱音楽の復興に貢献しました 1989年に初来日して以来、毎年5月のゴールデンウイークに東京国際フォーラムで開かれる「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」には、彼のアンサンブルと共に出演し、フォーレやモーツアルトの「レクイエム」を演奏、透明感のある美しいコーラスで感動を与えてくれました ミシェル・コルボさんのご冥福をお祈りいたします
ということで、わが家に来てから今日で2431日目を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言下にある東京都で、時短要請に応じない飲食店が8月下旬現在で約6割に達することが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
医療の逼迫を考えると問題が大きいが これほど緊急事態が続くと倒産が増える一方
昨夕、サントリーホールで「フレッシュ名曲コンサート 第30回Kissポート クラシックコンサート」を聴きました プログラムは①ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、②ブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77」、③ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品191」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=荒井里桜、③のチェロ独奏=堤剛、管弦楽=東京交響楽団、指揮=大友直人です
自席は1階21列18番、センターブロック左から3つめです。会場は市松模様配置で、P席には人を入れていません
オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び。コンマスはグレヴ・二キティンです 弦楽奏者は新型コロナ感染予防のためマスクを着用しています
1曲目はワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲です このオペラはリヒャルト・ワーグナー(1813‐1883)が1862年から67年にかけて作曲、1868年にミュンヘンで初演されました 「マイスタージンガー」とは、マイスター(親方職人)+ジンガー(歌手)で親方職人歌手とでも言うべき存在です このオペラでは靴の親方職人が歌を競い合い、一人の女性を巡って恋の駆け引きが展開します
大友の指揮で演奏に入りますが、勇壮で華やかな大管弦楽が会場いっぱいに鳴り響きます まずは小手調べといったところでしょうか
2曲目はブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が1878年にオーストリア南部ヴェルタ―湖畔のペルチャッハで書き上げました 友人で名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムのアドヴァイスを受けて完成したこの曲は1879年1月1日にヨアヒムのソロ、ブラームスの指揮によりライップツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ、マ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります
ソリストの荒井里桜は東京都出身、東京藝大を首席で卒業。第15回東京音楽コンクール弦楽部門第1位、第87回日本音楽コンクールのヴァイオリン部門第1位をはじめ数多くの賞を受賞しています 現在、ローザンヌ高等音楽院でジャニーヌ・ヤンセンのもと研鑽を積んでいます
淡い薔薇色の衣装に身を包まれた荒井里桜が登場、大友の指揮で第1楽章に入ります 管弦楽による長い序奏部に続いて荒井のヴァイオリン・ソロが入ってきますが、若干 音が小さいように感じます しかし、それもすぐに解消し堂々たる演奏が展開します 特に素晴らしかったのはカデンツァです 高音部から低音部までよくコントロールされた美しいヴィブラートで演奏し、聴衆を魅了しました 第2楽章では冒頭の荒絵理子のオーボエ・ソロが素晴らしかった。荒井のヴァイオリンは特に高音部が美しく響きました この人は内省的な音楽の再現が優れているように思います 第3楽章は一転、躍動感に満ちた演奏が展開しますが、過度にエキサイトすることはなく あくまでも冷静な演奏に徹します 全体的に 技術的には申し分のない素晴らしい演奏ですが、強いて言えば もう少しパワーが加われば「鬼に金棒」だと思います
プログラム後半はドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品191」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841‐1904)がボヘミア出身のヴァイオリニスト、ハヌシュ・ヴィーハンの依頼により1894年に作曲、1896年にロンドンでドヴォルザーク自身の指揮により初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります
サントリーホール館長でもある堤剛が登場し、大友の指揮で第1楽章に入ります オケの序奏部に続いて堤のチェロが悠然と入ってきます 荒絵理子のオーボエ、相澤政宏のフルートを中心にソリストを盛り立てます 残念ながら、終盤の下降音型のところで堤のチェロの音程が不安定になりました 第2楽章に入ると、堤はドヴォルザークの「異郷の地における望郷の念」のような心情をチェロ1本で表現しました オケでは相澤のフルート、エマニュエル・ヌヴ―のクラリネットが冴えた演奏を展開しました 第3楽章はソロ・チェロ、オーケストラとも躍動感に満ちた演奏を展開しますが、残念ながらこの楽章でも堤は下降音型のところで音程が不安定になりました この楽章では、終盤における堤と二キティンの二重奏が聴きどころでした
堤はシューベルトの「ロザムンデ、キプロスの女王」D.717より「バレエ音楽 第2番 ト長調」をアンコールに演奏、大きな拍手を浴びました
堤剛は1942年7月生まれなので 現在満79歳です よく頑張っていらっしゃると思いますが、流石の大チェリストと言えども 多少の技巧の衰えは仕方ないのかもしれません そもそもこのコンサートは「フレッシュ名曲コンサート」と銘打っていますし。もう十分にご活躍されたので 今後は若手にチャンスを与え、館長に専念するということで いかがでしょうか
最後に大友 ✕ 東響により、「Kissポートクラシックコンサート」第20回公演の際に千住明氏に委嘱した「Our Home Port」がアンコールとして演奏され、公演の幕を閉じました