13日(日)。9日付の日経朝刊に「芸術系、一般の学生も確保」という見出しの記事が載っていました 音楽大学を中心に超略すると以下の通りです
「美術や音楽などを専門に教える芸術系大学が学生の確保に奔走している 入学試験の科目から実技をなくしたり、民間企業への就職支援に力を入れたりするなど、一般の高校生の入学増を見据えているのが特徴だ
ここ十数年、志願者数は減少傾向にあり、伝統的な学びを重視し続ける大学との色分けが進みそうだ
音楽大学の入試はピアノなどの実技試験に加えて音楽理論の筆記試験を課してきたが、実技や音楽理論を受験科目から外すコースも増えてきた
洗足学園音楽大学は、作曲からミュージカルまで様々なジャンルの18のコースを設ける
15年以降に新設したバレエ、声優アニメソング、ダンス、音楽環境創造の各コースは音楽理論の試験を課していない
24年にはメディアアーツのコースを新設予定だ
23年度には全体の入学定員を60人増やす方針だ。それでも『少子化が進むなか、20年後に生き残る音大はいくつあるだろうか』と前田雄二副学長は危機感をにじませる
昭和音楽大学は、試験科目の調整に加え、保護者らの関心の高まりから就職支援に力を入れる
16年度からは3年生に対しキャリアコンサルタントなどとの面談を必須化し、21年度は就職講座を75回開いた
声楽を学ぶ3年生の北川さんは入学後に簿記2級とファイナンシャルプランナー2級を取得、いまは就職活動を視野に簿記1級に挑戦中だ
一方、芸術分野を追求する学生の質を維持するため、受験のハードルを下げない大学も依然として少なくない
国立音楽大学はほぼすべての専攻で実技と音楽理論の筆記試験を課す。ただ、志願者数は減少しており、2021年度には入学定員を80人減の320人とした
22年度の定員充足率は約91%だが、教育の質を重視する
23年度には副専攻と位置づけ、データサイエンスを学ぶコースも設ける。名古屋芸術大学の大内教授は『芸術系大学の役割はもはやプロの育成だけではない』と指摘する
学生の将来に配慮しつつ芸術分野の教育をどう存続させるか。かじ取りは一段と難しくなる
」
音大受験生が減少傾向にあるという話は以前から聞いていましたが、どこの大学も生き残りが大変ですね 「1度しかない人生だから、好きなことを勉強すればいい
」とは言うものの、芸術系大学を受験するのは親がかりの人がほとんどでしょうから、親としては「卒業してから食っていけるのか」が気になるでしょう
娘が4年間私立の美術大学に通ったのでその気持ちはよく分かります
しかし、授業料を払うのは親でも、やるのは本人です
ということで、わが家に来てから今日で2862日目を迎え、新型コロナウイルス対策として定着したマスクを巡り、政府が5月に示した着用の判断基準の内容を知らないと回答した人が58.4%に上ることが民間の「ライボ」が10月に実施した調査で分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
どうりで 外を歩いている人のほとんどが マスクをしていると思った 日本は平和だ
昨日は「東京・春・音楽祭2023」の「ムーティ / イタリア・オペラ・アカデミー in 東京 ヴェルディ『仮面舞踏会』」のチケット発売日だったので、3月30日(木)18時半から東京文化会館で開かれる公演のチケットを取りました 私は例年1階のR列(A席)を取っています。通路側を狙っていたのですが残念ながら取れたのは通路から2つ目でした
それにしても、チケット代が高いのには驚きました
また、昨日は東京フィルの2023シーズン定期会員・座席変更手続き開始日だったので、東京フィルチケットサービスに電話して手続きしました 10時受付開始でしたが案の定なかなか繋がらないので、娘と手分けして固定とスマホでアクセスを繰り返しました。何とか11時頃に繋がりさっそく変更手続きをしました
現在私は「サントリー定期シリーズ」S席会員ですが、同じシリーズS席で2階右ブロック2列目奥の席から1階右ブロック通路から2つめの席に変更しました
ネットの時代なのにいつまで電話で手続きをしなければならないのか、と毎年のように思います
N響も都響もWEB上で出来ます。現在のところ都響のシステムが手続きしやすい点でベストだと思います
早稲田松竹でラドゥ・ジューデ監督による2021年製作ルーマニア・ルクセンブルク・クロアチア・チェコ合作映画「アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ ~ 監督”自己検閲”版」(106分)を観ました
名門校の教師エミ(カティア・パスカリウ)はコロナ禍のルーマニア・ブカレストの街をさまよい歩いている 彼女は夫とのプライベートセックスビデオを意図せずネット上で拡散されてしまい、生徒や保護者の目に触れることとなり、夜に開かれる緊急保護者会を前に、事情説明のため校長宅に向かっていた
彼女の不安と苛立ちは街の人々が抱える怒りや絶望と重なり合い、猥雑で怒りをはらんだ空気が徐々に膨れ上がっていく
この映画はルーマニアのラドゥ・ジューデ監督が、世界的パンデミックとその後の社会の閉塞感を背景に、ルーマニアの社会や国家、ひいては人間そのものを取り巻く諸問題についてブラックジョークを絡めながら描き、2021年・第71回ベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いた作品です 日本では「イメージフォーラム・フェスティバル2021」で特別上映された後、映倫審査を通らない日本のような後進国のためにジューデ監督自ら追加編集を施した「監督”自己検閲”版」が劇場公開されました
それは映像をぼかすのでなく画面に絵で蓋をしてしまうような編集が施され、音声だけが生かされている不思議なもので、監督によるアイロニカルなメッセージが本編のところどころに映し出されます
この映画は、3つの章と3つの異なったエンディングから構成されています
第1章では、冒頭のセックスシーン(日本では音声のみ)に続き、エミが学校まで移動する様子をカメラが追います 新型コロナ禍で撮影されたことから、エミも街の人たちの多くもマスクをしています
第2章では、哲学者や文化人の言葉を引用しながら、政治、経済、文化などを様々なエピソードをパッチワークのように紹介することを通して風刺していきます スーパーのレジに来た男性客が札束をトランプのように切って飛ばすシーンで、なぜかベートーヴェンの「第九」の第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」が流れてきたのには笑ってしまいました
第3章では、学校の保護者会に出席したエミが、ほとんど裁判にかけられたように反ユダヤ主義者、ミソジスト、歴史修正主義者など多様な価値観を持つ保護者の質問や詰問に晒され、エミが釈明に追われる様子が描かれています 校長は「エミは教師として優秀である
」と庇い、エミは「教師として全力で取り組んでいるし、プライベート面の問題はまったく別だ
私は生徒たちから信頼されている
」と主張しますが、保護者たちは「映像がネット上で拡散してしまっており、教育上問題だ
こんな教師に子どもを預けられない
」と主張します
そして、議論が白熱し、最後にエミを教師として留任させるかどうかの採決が行われます 結果として3つの異なったエンディングが提示されます
1つ目は、エミの留任に賛成が多数となり、反対派の怒りを買い、子供を他校に転校させると主張する親が出てくるなど収拾がつかなくなります
2つ目は、留任に反対が多数となり、辞職したエミを皆が見送ります
3つ目は、エミが「ワンダーウーマン」のようなコスチュームで現れ、クモの網のようなもので保護者たちをからめとり一網打尽にするというものです
個人的には3つ目がスッキリする結末です
ところで、この映画が第71回ベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いたのは、冒頭シーンを無修正で上映したことを含めて作品全体を評価したのは否定できない事実です それを日本のような表現の自由後進国で、映像に蓋をして音声だけで上映するのは(監督自ら自己検閲版を作ったとはいえ)本意ではないだろうし、同映画祭の権威への冒涜ではないか、と思います