人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「アメリカン・スナイパー」を観る~国葬で流れる音楽は何?

2015年07月21日 07時02分06秒 | 日記

21日(火).わが家に来てから284日目を迎え,買ってもらった「涼感プレート」の上でガールフレンドの白ウサちゃんといっしょに涼むモコタロです 

 

          

 

昨日,高田馬場での映画の帰りに池袋西武9階にある「イケダ・ペットファーム」でモコタロが敷いている涼感シートを買いました.Mサイズ(21×29センチ)で,アルミ製です ↑ お店にはアルミ製のほか,大理石,陶製のもあったのですが,触った感じ,アルミ製が一番ひんやりしていたので,1枚2,250円と一番高かったのですが2枚買いました 説明によると「アルミは熱伝導に大変優れ,軽く,耐蝕性にも優れており,直接触れることで体温をアルミが吸収し,放熱する」とのこと 1枚はゲージの中に,1枚はリビングに置きました これでモコタロが少しでも夏を涼しく過ごせればと思います

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹でアメリカ映画「アメリカン・スナイパー」と「フォックスキャッチャー」の2本立てを観ました 今日は最初に観た2014年,クリント・イーストウッド監督映画「アメリカン・スナイパー」について書きます

原作は,ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー第1位を13週に渡り独走したクリス・カイル(1974-2013)の自伝「ネイビー・シールズ 最強の狙撃手」です 伝説のスナイパーと言われるクリスの半生を,84歳の高齢でメガホンを取ったクリント・イーストウッドが鮮やかに描き出します

 

         

 

テキサス生まれのクリスは,厳格な父親から”番犬であれ”と育てられる 彼は難関を突破し海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊する.一方,私生活ではタヤと運命的に出会い結婚する そんな矢先,アメリカに対する同時多発テロを契機にイラク戦争が勃発する 祖国を守るため,家族を守るため,彼は戦場イラクに赴く.しかも4度も

衝撃的なシーンは何度もありますが,一番衝撃的なのは冒頭の母子に対峙するクリスの決断シーンでしょう 戦地で建物の入口を狙っていると,母子らしき二人が出てきて,アメリカ軍の戦車に向かって歩いて来る.途中,母親が少年に対戦車爆弾を渡すところが銃のスコープに映る.無線で狙撃すべきかどうか本部の判断を仰ぐが「君に任せる」と言われる 彼は邪念を振り切って切り引き金を引く.母親は倒れた少年から爆弾を取り上げ戦車に向かってそれを投げつける その瞬間,クリスの銃が火を噴き母親も倒れ,戦車部隊は救われる.それが公式記録として米軍史上最高の160人を射殺した『伝説の狙撃手』クリスの最初の狙撃成功事例となった

クリスはイラクで戦い,疲れて帰ってきて,妻に「あなたは心を戦地に残したままだ.もう行かないで」と懇願されるが,また戦地に赴く.「何のために?」という妻に対し「祖国のためだ」と答える しかし,敵地の真っただ中で戦うなか,仲間が目の前で撃たれて息を引き取ったり,失明するほどの大けがを負うのを見るうちに,次第に心が病んでいく そうしたクリスの複雑な心境をブラッドリー・クーパーは見事に演じていました

映画の最後,国葬のシーンでトランペットのソロによる葬送音楽が流れますが,メロディーがその昔流行ったニニ・ロッソの吹く「夜空のトランペット」によく似ていました 後でエンドロールを凝視していたら,その曲に「エンリオ・モリコーネ」の名前がありました.ひょっとしたら,あの映画音楽の巨匠モリコーネがニニ・ロッソの曲を編曲したのかも知れません

トランペットの音が消えるとエンドロールが画面の上から下に流れます.しかしBGMは一切ありません 監督はこの映画を観る人にも,アメリカン・ヒーローに対して喪に服してほしいと言っているのでしょう

 

          

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桜木紫乃著「ホテルローヤル」を読む~優しい気持ちになる小説

2015年07月20日 08時28分03秒 | 日記

20日(月・祝).今日は朝からまるで夏みたいな暑さですね・・・・・あぁ,いま夏だったか・・・夏ボケ絶好調だな,我ながら・・・昨日は,子供部屋の大掃除をしました.モコタロのケージ(小屋)が部屋の中にあるので,何かと汚れやすくなっているので,思い切って取り掛かったのです.お陰ですっかり綺麗になりスッキリしました ということで,わが家に来てから283日目を迎え,ガールフレンドの白ウサちゃんと並ぶモコタロです 

 

          

          

  閑話休題  

 

桜木紫乃著「ホテルローヤル」(集英社文庫)を読み終わりました 言うまでもなく2013年第149回直木賞受賞作です.桜木紫乃は1965年北海道生まれ.2002年「雪虫」で第82回オール読物新人賞を受賞しています

ホテルローヤルとは北国の湿原を背に建つラブホテルのこと 「シャッターチャンス」「本日開店」「えっち屋」「バブルバス」「せんせぇ」「星を見ていた」「ギフト」という7つの短編から成りますが,他の小説と異なるのは物語が時系列的に流れるのではなく,遡っていくことです

 

          

 

最初の「シャッターチャンス」は恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性の話ですが,その撮影場所が廃墟と化したホテルローヤルです 次の「本日開店」は貧乏な寺を維持するために檀家たちと「ホテルローヤル」で時間を共にする住職の妻の話 「せんせぇ」はホームレス女子高生と妻に裏切られた高校教師の話.この二人が「ホテルローヤル」で心中事件を起こしたことから経営が傾き,結局廃墟になったことが分かります そして,最後の「ギフト」でなぜこのホテルがローヤルという名前が付けられたのかが語られます

一番印象に残っているのは,ホテルの掃除婦ミコが主人公になった「星を見ていた」です 音信普通になっていた次男から封書が届きます.中には3万円とともに「会社が変わって給料が少しだけ良くなった.この金は母さんの好きなように使ってください」という手紙が添えられています.ミコはホテルローヤルまでの道が坂が多いことから,自転車を買おうと思います.ところが,テレビに「死体遺棄事件,容疑者の身柄確保」のニュースが流れ,次男の名前が出ています.ミコは星が照らす深い林の中に入って行きます

全編を読んでいて感じるのは,優しい気持ちになるということです.登場人物が優しい人たちだからでしょう 確か著者の桜木紫乃さんは直木賞受賞のコメントで,生家がラブホテルを経営していたと話していたと思います.子供の頃から,ホテルに出入りするカップルや従業員を身近で見て育ってきた結果が受賞に結びついたのでしょう 読みごたえのある短編集としてお薦めします

 

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大井剛史+山亮汰+東京シティ・フィルでプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」を聴く

2015年07月19日 08時50分31秒 | 日記

19日(日).わが家に来てから282日目を迎えプロコフィエフのCDジャケットを食べるモコタロです 

 

          

           プロコフィエフのピアノ協奏曲,アルゲリッチとデュトワだって

          

  閑話休題  

 

昨日午後2時から,江東区住吉のティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィルの「第42回ティアラこうとう定期演奏会」を聴きました 開演30分前から2階のホワイエで「プレ・コンサート」があり,弦楽奏者によってシベリウスの「交響詩:フィンランディア」が演奏されました

 

          

 

本番のプログラムは①ムソルグスキー(リムスキー・コルサコフ編曲)「歌劇”ホヴァンシチナ”」から第1幕への前奏曲「モスクワ川の夜明け」,②プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番ハ長調」,③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」で,②のピアノ独奏は2014年度 第38回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ受賞の山崎亮汰,指揮は大井剛史です

 

          

 

自席は1階P列4番,左ブロックの左から4つ目です.会場はほぼ6割位しか埋まっていない状況です いつもこんなでしょうか? 寂しいですね.コンマスは松野弘明です

2008年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクール第2位の大井剛史が登場,1曲目のムソルグスキーの歌劇「ホヴァンシチナ」から第1幕への前奏曲「モスクワ川の夜明け」の演奏に入ります このオペラは台本も作曲者自身が書いたもので,1682年頃のロシアを舞台とする政治抗争劇,タイトルは「ホヴァンスキー一味」という意味だそうです

ヴィオラとフルートによって夜明けが告げられ,オーボエがテーマを奏でます.この曲は中学校の時,音楽の時間に聴いたような覚えがあります.静かでいい曲です

ピアノが舞台左サイドからセンターに移動して2曲目のプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」の演奏に備えます ソリストの山崎亮汰が初々しい表情で登場します.彼はまだ福島県の公立高校2年に在学中です

ところが,第1楽章冒頭,クラリネットによる望郷の念を抱かせるようなメロディーに導かれて,木管と弦が激しく演奏を始めると,力強くも軽快なピアノが入ってきて,オケに溶け込みます その鮮やかさには驚きます その鮮やかさを維持しながら第3楽章まで演奏し,大きな拍手に包まれました アンコールにスクリャービンの一番ドラマティックなエチュードを演奏,またしても拍手喝さいを受けました.越後屋,おヌシなかなかできますな

休憩後はブラームス「交響曲第1番ハ短調」です.この交響曲は,ブラームスが22歳の時に着想しながら,全曲の完成を見たのは21年後の1876年夏のことでした いかに彼がベートーヴェンの9つの交響曲を意識していたかが分かります

第1楽章冒頭のティンパ二の連打が印象的です この部分を聴くと,いよいよ重厚なブラ1が始まるのだな,と期待が膨らみます そして,聴きどころは第4楽章のホルンが主役として登場する場面です.ブラームスは,アルプスの羊飼いの角笛からこの旋律を着想し,密かに愛するクララ・シューマンの47歳の誕生日に,この旋律の手書き譜に「高い山や深い谷から君に何千回もの挨拶を贈ろう!」という詩を添えて贈ったと言われています.よほど気に行ったメロディーなのでしょう

最近,東京シティ・フィルの実力が上がったのではないか,という感想を時々聞きますが,滅多に同フィルの演奏を聴く機会がない私もそう思う時があります

 

          

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マーラー「大地の歌」,藝大オペラ「フィガロの結婚」,藝大「ブラームスの室内楽」のチケットを買う

2015年07月18日 09時20分24秒 | 日記

18日(土)。昨夕、当ビルの有力テナントT社のH社長とマネジャーのSさん(アラフォーの美人)、当社のT氏と私の4人で9階の記者クラブ・レストランで暑気払いをしました 実はX部長が出席するはずだったのですが、前日、よせばいいのに若者を誘ってビールと日本酒とテキーラをチャンポン、暴飲暴食、因果応報、戦意喪失になったため、急転直下、私が代役を仰せつかることになったのです 

4人の共通点と言えば「活字中毒」ですが,話題は「スマホの普及で新聞を読む人が少なくなった」,「N紙は+αの料金で紙面にある3倍の情報量を得ることができる.経営的に成り立っているようだ 他の新聞社も購読料収入のほかにネットによる情報提供からの収入を期待して工夫しているが経営的に成り立っていない」,「新聞界では将来の読者を獲得するためNIE(ニュースペーパー・イン・エデュケーション=教育に新聞を)を展開している」など,若者の活字離れの話が中心となりました

文学好きのSさんは「又吉の火花,買いました?まだなら買ってください」とH社長に頼んでいました.「又吉の火花」とは言うまでもなく,今回の芥川賞を受賞したお笑いコンビ,ピースの又吉直樹の作品『火花』のことです 自分で買わないで他人に買わせてそれを借りて読もうとする根性は見上げたものです 私も「読みました?」と聞かれたので「文庫本しか読まないので,文庫化したら買います」と答えておきましたが,「誰か買ってください」という思いはSさんと同じです.理屈はこうです

「作品について,大したことがないと言う人もいれば,優れた作品だと言う人もいる 実際に読んでみなければ批評することはできない.読みたいけれどお金を出してハードカバーを買おうとまでは思わない.誰かが持っていたら借りて読みたい

まあ,大方の人がそうなのではないかと想像します

文学ということで言えば,2年前にSさんから薦められて,文庫化されたのを機会に読んだ水村美奈苗著「日本語が亡びるとき」の感想を当ブログに書いたので(6月5日),そのことを話題にしようとしたのですが,時間切れでお話しできませんでした 私としては,ブログの中で触れた「ハリーポッター」に対するSさんの感想をいつか是非お聞きしたいと思います ということで、わが家に来てから281日目を迎え,新劇の巨人と遭遇するモコタロです 

 

          

 

  閑話休題  

 

チケットを3枚買いました.1枚は8月22日(土)午後3時からミューザ川崎で開かれる「マラー祝祭オーケストラ特別演奏会」です プログラムは①ハチャトゥリアン「ピアノ協奏曲変二長調」,②マーラー「交響曲”大地の歌”」です.②のテノール独唱は今尾滋,ソプラノ独唱は蔵野蘭子,指揮は井上善惟です

 

          

 

2枚目は10月4日(日)午後2時から東京藝大奏楽堂で開かれる「藝大オペラ 第61回定期公演~フィガロの結婚」です 指揮はステ―ファノ・マストランジェロ,演出は直井研二です

 

          

 

3枚目は11月29日(日)午後3時から東京藝大奏楽堂で開かれる「ブラームス 室内楽の喜び 第4回」です プログラムはブラームス①ヴァイオリン・ソナタ第3番,②チェロ・ソナタ第2番,③ハンガリー舞曲集から第17番~21番,④ピアノ五重奏曲ヘ短調です.演奏はピアノ=ジャック・ルヴィエ,伊藤恵,ヴァイオリン=玉井菜摘,チェロ=河野文昭ほかです

 

          

 

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気迫の演奏!~ジョナサン・ノット+東響でベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」を聴く

2015年07月17日 07時01分06秒 | 日記

17日(金)。わが家に来てから280日目を迎え,バルトークのピアノ協奏曲のCDを見るモコタロです 

 

          

          アンダって誰? フリッチャイってだれ? バルトークってだ~れ?

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第632回定期演奏会を聴きました プログラムは①ストラヴィンスキー「管楽器のための交響曲」、②バルトーク「ピアノ協奏曲第1番」、③ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」で、指揮はジョナサン・ノット、②のピアノ独奏はデジュー・ラーンキです

 

          

 

ステージ中央には2曲目のバルトークのためにグランド・ピアノが置かれています 1曲目のストラヴィンスキーの「管楽器のための交響曲」の演奏のために管楽奏者だけ23名が登場します.ピアノがある関係で演奏者が客席に近い所で演奏するのでなく,いつもの後方の定位置で演奏します

この曲は1920年の作品ですが,ロシアの民話や民謡を題材として,リズムを中心に迫力のある音楽を展開する「原始主義」から「新古典主義」に移行する過渡期の音楽と位置付けられています

聴いている限りでは,ストラヴィンスキーらしい色彩感豊かなリズム中心の曲ですが,演奏はかなり複雑で難しそうです どちらかと言うと,滑らかに流れる曲想ではなく,瞬間瞬間で音をぶった切り,顔色を変えていく音楽といった風情です 作曲家のピエール・ブーレーズは「モンタージュ的」と評したそうですが,言い得て妙です

2曲目のバルトーク「ピアノ協奏曲第1番」の演奏のため,弦楽奏者が入場します.コンマスは水谷晃ですが,この人のコンマスぶりもすっかり板についてきました

ロマンス・グレイのデジュー・ラーンキがノットと共に登場,ピアノに向かいます バルトークは民族的な音楽と古典を融合した音作りが特徴ですが,演奏を聴いている限り,『打楽器としてのピアノ』を強く意識します 1曲目の作曲者ストラヴィンスキーとの共通点ということでは,音楽の3要素(リズム,メロディー,ハーモニー)の中のリズムを中心に置いた曲想です 上の写真でモコタロが見ているCDで予習し,全体像を頭に入れておいたのですんなりと耳に入ってきました とても良い曲です.バルトークって面白い,とあらためて思いました

はっきり言って,後半の「運命」はあまり期待していないので,前半の2曲を聴いたところで,このブログのタイトルは決まりました.「ノット+ラーンキ+東響でバルトーク『ピアノ協奏曲第1番』を聴く」です

 

          

ところが後半のベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」を聴いて,このタイトルはすっ飛びました

指揮台に上がって客席に愛想を振り撒くまではいつもと同じジョナサン・ノットですが,後ろを振り向いてオケに対峙した瞬間に音楽の鬼と化したのです たぶん,指揮者を正面から見るP席の人はノットのもの凄い形相を見たはずです 一言で言い表せば『気迫のこもった指揮』です.オケも,ノットの気迫が乗り移ったかのように渾身の演奏を展開します いつか,どこかの首相が,海水は「アンダー・コントロールにある」と言いましたが,ノットのタクトに導かれた東響の面々はまさに「アンダー・コントロール」の状態にありました 付け入る隙のない演奏というか,前進あるのみの演奏というか,とにかくこれ以上集中力に満ちた演奏はないのではないか,と言えるような”狂気迫る”ような迫真の演奏なのです これが一歩間違うと「ハ短調」が「破綻調」になってしまいます.かなり前のことですが,アンドリュー・リットンというアメリカの指揮者による”運命”は,まさに”破綻調”でした やけに威勢のいい,実にあっけらかんとした演奏で,後に何も残らない演奏だったのです ノットとは対極にある演奏だったと言えます

さて,ノットは第1楽章が終わってもタクトを下ろさず,そのまま第2楽章に移ります 言うまでもなく,第3楽章から第4楽章へは音が続いているので,ノットはこの曲を大きく2つのグループに分けて演奏したことになります こういう演奏に接したのは初めてです

第3楽章から第4楽章にかけては,ベートーヴェンの『苦悩から歓喜へ』というモットーが音で表現されますが,ここがこの曲の白眉です ベートーヴェンの思想が凝縮されたような,力強く推進力に満ちた演奏でした

もちろん,終演後は会場が割れんばかりの拍手とブラボーの嵐でした かくして,このブログのタイトルが最終的に次のように決まったのです

「気迫の演奏!~ジョナサン・ノット+東響でベートーヴェン『交響曲第5番ハ短調”運命”』を聴く」

 

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室積光著「史上最強の大臣」を読む~京都にある「本物の内閣」再登場

2015年07月16日 07時01分40秒 | 日記

16日(木)。昨夕、虎の門の居酒屋Eで当ビル内のマスコミ関連3社の暑気払いがあり、出席しました。新潟の地酒を飲みながら紅一点の美人Aさんを含めた7人でいろいろと話をしました 「仕事のことを考えると頭がおかしくなりそうだよ」というY氏には「あなたの場合は,もともとおかしいから心配ないよ」という温かい言葉がかけられ,ますます落ち込んでいました 中には誰にも通じないジョークを飛ばして「あんたは10分黙ってなさい」とイエローカードを突き付けられたジョーカーもいましたが,11分経つと次のジョークを飛ばし,またまた「20分黙ってなさい」とダメ押しをされていました.懲りない人は凝りない,凝るのは肩だけです ということで,わが家に来てから279日目を迎え,靴下に声をかけるモコタロです 

 

          

              ねえ,君って靴下だけど 誰も履かないよね 履かない一生かい?

 

  閑話休題  

 

室積光著「史上最強の大臣」(小学館文庫)を読み終わりました 室積光は1955年,山口県生まれ.映画・テレビの俳優を経て作家になった変わり種です.この作品は,当ブログでもご紹介した「史上最強の内閣」の続編です

前編の「史上最強の内閣」では,北朝鮮が今にも核ミサイルを発射しようとするときに,京都に隠れていた「本物の内閣」が登場して,二条総理を中心に危機を脱した 京都に帰った内閣のもとに,全国学力テスト最下位に悩む大阪府知事がやってきて,何とか大阪の教育面での”地位向上”のために協力して欲しいと懇願する 二条内閣は裏方として教育問題に取り組むことになるが,京都御所に忍者が忍び込み閣議を盗聴,二条内閣の大阪府への協力が白日の下にさらされる そしてテレビのニュース番組で,二条内閣は軍国主義教育を推進させているとして猛烈な批判を浴びる 二条内閣は言われなき中傷を排除することが出来るのか

 

          

 

この小説の舞台は2011年前後です.日本では民主党・鳩山内閣が辞任し菅内閣が誕生.全国学力テストの成績が低迷したことを受けて,橋本大阪府知事が2008年に「教育非常事態宣言」を発して以来,教育改革を実施していた頃です

以上のことを念頭に置きながらこの本を読むとスンナリとストーリーが頭に入ってきます なにしろ,鳩山内閣でなく鷹山内閣ですし,その後を継いだのは管内閣でなく管良内人(くだらないと)内閣なのですから笑っちゃいます

この作品の本当の主人公は「本物の内閣」の新門文部科学大臣です.言わば,この小説は新門大臣の口を借りて著者の教育論を語った作品とも言えます ユニークな教師を発掘し,作文教育,算数の段階別授業,道徳教育を進めて行くというものです

「史上最強の内閣」で北朝鮮のキム・ジョンナム(金正日の長男)をモデルとして登場したシン・ジャンナムも,相変わらずのキャラで再登場し「本物の内閣」からシンちゃんと呼ばれて親しまれています ただし,最後は祖国のために身体を張って自分の考えを主張するという真面目な役割を担っています

1作目の「史上最強の内閣」ほどスペクタクルな場面は少ないものの,じっくりと読ませるエンターテインメント小説としてお薦めします

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東京シティ・フィル、新日本フィル「室内楽シリーズ」、「新・クラシックへの扉」のチケットを買う

2015年07月15日 07時01分47秒 | 日記

15日(水)。6日連続コンサート通いが終わり,昨日は久しぶりに何もない平穏な夕方でした.それも一瞬のことで,今日は飲み会,明日はまたコンサート,その次は飲み会,その次はコンサートとオセロゲームのように目を白黒させる日程が続きます.ということで,わが家に来てから278日目を迎え,初めて扇子と遭遇し,さっそく味見するモコタロです 

 

          

           身体にはクーラーよりも扇子がいいよ,センスがいいねってか

 

  閑話休題  

 

コンサート・チケットを3枚買いました 1枚目は7月18日(土)ティアラこうとう大ホールで開かれる「東京シティ・フィル定期演奏会」です.プログラムは①ムソルグスキー「歌劇”ホヴァンシチナ”より第1幕への前奏曲『モスクワ川の夜明け』,②プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番ハ長調」,③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」 ②のピアノ独奏は山亮汰,指揮は大井剛史です これは演奏者が誰であれ,プロコフィエフのピアノ協奏曲が聴きたいがために買ったチケットです

 

          

 

2枚目と3枚目は新日本フィル関係のコンサートで、1枚は11月12日(木)午後7時15分からの新日本フィル「室内楽シリーズ~篠原英和プロデュース」です プログラムは①ストラヴィンスキー「弦楽四重奏のための3つの小品」、②ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第7番」、③同「ピアノ五重奏曲」です。演奏はヴァイオリン=篠原秀和氏ほかです

 

          

 

もう1枚は、その翌日の11月13日(金)午後2時からの新日本フィル「クラシックへの扉」シリーズです プログラムは①モーツアルト「歌劇”フィガロの結婚”序曲」、②同「ヴァイオリン協奏曲第3番」、③シューベルト「交響曲第7番”未完成”」です。コンマスと②のヴァイオリンン独奏はウィーン・フィルのコンマス、フォルクハルト・シュトイデです シュトイデの演奏はこれまで「トヨタ・マスタープレイヤーズ東京」のコンサートや「シュトイデ弦楽四重奏団」のコンサートで聴いていますが,べら棒に上手い演奏と,そこはかとないユーモアが何とも言えない,大好きなアーティストです

 

          

    

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アンサンブル・ウィーン=ベルリン&新日本フィルでオール・モーツアルト・プログラムを聴く

2015年07月14日 07時07分08秒 | 日記

14日(火)。追い詰められたギリシャは「15日までに税制などの改革を法制化することや,国有資産を基金に移し売却して借金返済を加速させる」等の条件で,3年で820億ユーロ(約11兆円)の支援を受けることになったようです ドラえもんとクマもんが合体してドラクマに変身してもユーロには勝てないので、ギリシャが大幅に譲歩するしかなかったのだと思いますが、法制化されても新たな借金が出来る訳でマルク収まるかどうかユーリョしています ということで、わが家に来てから277日目を迎え,「モーツアルトとともに一年を」に接近するモコタロです 

 

          

                何でこの本がここにあるのかな???

 

  閑話休題  

 

昨夕、すみだトリフォニーホールで「アンサンブル・ウィーン=ベルリン&新日本フィル」のコンサートを聴きました オール・モーツアルト・コンチェルト・プログラムで,①ファゴット協奏曲変ロ長調K.191,②オーボエ協奏曲ハ長調K.314,③ホルン協奏曲第4番変ホ長調K.495,④フルート協奏曲第1番ト長調K.313,⑤クラリネット協奏曲イ長調K.622です

 

          

 

自席は1階15列4番,左ブロック左から4つ目です.会場は珍しく若い人も目立つ中,8割方埋まっている感じです 新日本フィルのメンバーが登場します.総勢約30名の小編成です.弦楽器の首席クラスを見ると,左からコンマスは西江辰郎,右へ堀内麻紀,第2ヴァイオリンは吉村知子,佐々木絵理子,チェロは川上徹,木越洋,ヴィオラは脇屋冴子,篠崎友美,コントラバスは城満太郎という陣容です.管楽器は,オーボエの古部賢一,森明子,ホルンの吉永雅人,藤田麻理絵がスタンバイします.私が応援する3人の新人(脇屋冴子のほか古日山倫世,松崎千鶴)も揃ってスタンバイしています

1曲目はファゴット協奏曲K.191です.ウィーン交響楽団首席のリヒャルト・ガラ―が指揮者のハンスイェルク・シェレンベルガ―とともに登場します ファゴット協奏曲を生演奏で聴くのはこれが初めてかも知れません.そうでなければ遠い昔のことで”忘れて”いるのかも知れません

この曲は第1楽章冒頭のすっとぼけた味わいが何とも言えない魅力です 1774年6月4日にザルツブルクで完成したといいますから,モーツアルトが18歳の時の作品です ガラーの演奏で聴いていると,世界中で認められた唯一無二のファゴット協奏曲の魅力がストレートに伝わってきます

最後の第3楽章の終盤で,シェレンベルガ―が先を急ぎ過ぎて指揮のフライングしましたが,さすが新日本フィルのコンマス・西江王子は”飛び出さず”に抑えました.オケのメンバーも併せました.流石です

2曲目はオーボエ協奏曲k.314です.アンサンブル・ウィーン=ベルリンの正式メンバーのジョナサン・ケリーが出演出来なくなり,代わりに来日したウィーン・フィルの首席クレメンス・ホラークがソリストを務めます ちょっと見がアメリカの大指揮者ミトロプーロスのような精悍な顔つきをしています

カラー・チラシが2種類ありますが,上のが本来のアンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーで,下のが今回来日したメンバーです.オーボエを持っている人が違うのが分かりますね

第1楽章の冒頭を聴いた感想は,随分軽くて明るい音だな,ということです それが,聴いているうちに”軽い”が”軽快な”に変わってきました.とにかく速いパッセージも難なくこなし,華やかな雰囲気を醸し出します ちなみにこの曲をフルート用に編曲したフルート協奏曲第2番は,私のクラシック音楽入門曲です.その意味では楽しく聴かせてもらいました

3曲目はホルン協奏曲第4番K.495です.ベルリン・フィル首席のシュテファン・ドールが登場すると,会場から大きな拍手 が起きました.この人はメンバーの中で最も人気があるようです 後ろに控える新日本フィルのメンバーも笑顔で迎えています ひょっとして,ドールはモーツアルトの”悪友”でホルン奏者のロイトゲープのようなユーモア溢れる人なのかも知れません

この曲もファゴット協奏曲のように,どこかすっとぼけた味わいのある曲で,ホルンの特性がよく現われています ドールは余裕の表情でモーツアルトの愉悦の世界を奏でます.演奏が終わると,会場もステージ上も阿鼻叫喚,やんやの喝さいです

           

          

 

休憩後の最初はフルート協奏曲第1番K.313です.ソリストのカール=ハインツ・シュッツは日経ミューズ・サロンでリサイタルを聴きました ウィーン・フィルの首席で,ウィーン・リング・サンサンブルや,今回来日グル―プのメンバーでもあります オケはフルートが2本追加されます

シュッツの演奏は,とにかくべら棒に上手いのです 非の打ちどころのない完ぺきな演奏というのは彼のような演奏を言うのでしょう 名人芸の域に達しています

さて,最後の曲はモーツアルト晩年の傑作クラリネット協奏曲K.622です.亡くなる2か月前の1791年10月初めに完成したモーツアルト最後の協奏曲です.オケはオーボエが下がり,ファゴットが2本追加されます

ソリストのベルリン・フィル首席のアンドレアス・オッテンザマーが登場すると大きな拍手が起こりました この人もドール同様,日本では有名人で人気があります

第1楽章が軽快に始まります.オッテンザマーは身体全体を使って演奏します.まるで演技をしながら演奏しているような感じです 私は初めて彼の演奏を聴きましたが,こんなに楽しく動きの激しい人だとは思いませんでした と思って油断していると,第2楽章のアダージョに入ると,まったく異なった様相を見せました まるで天国の音楽を奏でているようです.聴いていると,モーツアルトがこの世に別れを告げているのが見えるようで,思わず目頭が熱くなりました

終演後,大きな拍手とブラボーが会場を満たし,なかなか鳴り止みません と思ったら,ステージの中央にスペースが空けられ,譜面台が5つ並べられました.さては5人のオール・スターによるアンコールか という期待で,会場は興奮の坩堝と化しました

5人の管楽プロフェッショナルは何とブラームスの「スラブ舞曲第15番」を超絶技巧による見事なアンサンブルで演奏,またまた拍手喝さいを浴びました

さて,この日の5つのコンチェルトを振り返ってみると,シェレンベルガ―はすべての協奏曲で第2楽章から第3楽章へは間を空けずに演奏しました この演奏スタイルはシェレンベルガ―の専売特許という訳ではないでしょうが,大きな特徴だと思います

モーツアルトの協奏曲が世界のトップ・レヴェルの演奏で一夜のうちに5曲も聴けるーそんな貴重な体験をしましたが,あらためて思うのは,生きてモーツアルトが生で聴ける幸せです こんな贅沢は滅多にありません.彼らを日本に呼んでくれた関係者に深く感謝します

 

          

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クラシカル・プレイヤーズ東京のコンサートを聴く~仲道郁代のベートーヴェン「第3ピアノ協奏曲」他

2015年07月13日 07時01分10秒 | 日記

13日(月).わが家に来てから276日目を迎え,メンデルスゾーン「イタリア交響曲」について自説を述べるモコタロです 

 

          

             ぼくはイタリア交響曲よりイタリアンが好きかな・・・

 

  閑話休題  

 

昨日午後3時から池袋の東京芸術劇場コンサートホールで「クラシカル・プレイヤーズ東京」の演奏会を聴きました 実は昨日,午後1時から飯田橋のホテルEで,息子の通う理科系の大学(TUS)の父母懇談会があり,時間的にコンサートは聴けないかも,と思っていたのです 懇談会では今年から副学長の一人に就任した宇宙飛行士の向井千秋さんの姿も見えました.懇談会後に開かれた学部ごとの個別面談では,大学院進学が内定した息子の当面の課題について話を聞き,家に帰って息子に伝えることにしました

面談が終わったのが午後2時15分頃です.急いでスマホで池袋までの「路線情報」を検索して,飯田橋から地下鉄有楽町線で池袋まで行くのが最短であることが分かり,早速地下鉄の駅に向かいました 幸い3時5分前には会場の東京芸術劇場の自席に着くことが出来ました.ヤフーの「路線情報」は本当に便利で,コンサートのハシゴ等も珍しくない私にとって,なくてはならないツールです

と言う訳で,東京芸術劇場で「クラシカル・プレイヤーズ東京」のコンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第35番ニ長調”ハフナー”K.385」から第1楽章,②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」,③メンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調”イタリア”」です.②のフォルテピアノ独奏は仲道郁代,指揮は有田正広です

 

          

 

自席は1階J列12番,左ブロック右通路側席です.入場料2,000~4,000円と格安ということもあってか会場はほぼ満席です.聴衆は正直です

オケはヴァイオリン・セクションが左右に分かれる対向配置をとります.コンマスは新日本フィルのソロ・コンサートマスター豊嶋泰嗣です オケのメンバーを見渡すと,バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーが主要な位置を占めています 右サイドの第2ヴァイオリンの首席には荒木優子,首席チェロには竹澤秀平,フルートには前田りり子,菅きよみ,オーボエには三宮正満,尾崎温子,ファゴットには堂阪清高といったメンバーです 「クラシカル・プレイヤーズ」の「クラシカル」が古楽器を意味することから,これらのメンバー構成は頷けます

1曲目はモーツアルト「交響曲第35番”ハフナー”K.385」から第1楽章が演奏されました この日は当初の作曲時にはなかったフルートとクラリネットが加えられた第2稿によって演奏されました

ほぼ正面にチェロが演奏しているのが見えますが,古楽器なのでエンドピンがありません したがってチェロ奏者は楽器を股に挟んで下に落ちないように努めてチェロを弾くことになります.努力の”努”という字は,女の又の力と書きますが,古楽器のチェロは男も努力しないと弾けないのです

有田はタクトを持たず,両手で指揮をとり小気味の良いテンポで音楽を進めます.モーツアルトかくあるべしというテンポです 古楽器特有のちょぴりくすんだ音色が心地よく響きます きっとモーツアルトの時代もこれに近い音色で聴いていたのだろうな,と想像します

2曲目は仲道郁代を迎えてベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」が演奏されます.仲道がゴールドの豪華な衣装で登場,フォルテピアノ,1816年ロンドン製ジョン・ブロードウッドに向かいます

 

          

 

音を聞く限り,19世紀初めごろの会場で聴くべく作られた楽器は,現代の2000人規模の大ホールで聴くと,あまりにも音が小さすぎます それでも音そのものに魅力があり,現代のメカニックなピアノにない素朴な味わいがあります 第2楽章「ラルゴ」を聴いていたら,まるで「第3の男」で有名になった楽器チターで演奏しているように感じました

休憩後はメンデルスゾーンの「交響曲第4番”イタリア”」です.タイトル通り,この曲はイタリアを訪れた時の印象を音楽にしたものです メンデルスゾーンの曲は弦楽八重奏曲を始めとする室内楽が大好きですが,久しぶりに聴くイタリア交響曲も素晴らしいと思いました とくに第3楽章はオーボエ,ホルン,フルート,ファゴット,トランペットなどの管楽器が弦楽器と対話しながら穏やかなメロディーを受け継いでいき,幸せを感じます 古楽器による演奏ならではの柔らかさを感じます

 

          

 

話は変わりますが,指揮者の有田正広は,もう少し演奏者を立てるべきではないかと思います もちろん,彼が輝かしい経歴の持ち主であり,このオーケストラの主宰者であることから,どうしても前面に出ることは理解できるのですが,自分だけが何度もカーテンコールをやって,オケは座りっぱなしにするというのは如何なものでしょうか?たぶん,多くの聴衆は素晴らしい演奏をしてくれたオーケストラのメンバーに拍手を送りたいのだと思います その意味では,もっとオケのメンバーをリスペクトしても良いように思います 

そのまったく正反対なのが”炎のコバケン”こと小林研一郎です.彼はオケのメンバーを立てます 「演奏したのはオーケストラであり,自分は一音も出していない.どうぞ演奏者に拍手を」といった態度でオケに接します.時にやり過ぎる場合があり,うんざりすることもありますが,気持ちは十分分かります

ところで,当日配布されたプログラムに「変化するメンデルスゾーン像」という解説が載っており,次のような記述がありました

「子供の頃フェーリクスと姉のファニーは町中で唾を吐かれたり,石を投げられたりしたという記録も残っている.豊かな大邸宅で何不自由のない生活を送り,自宅で大人たちの前で自作の音楽を発表する機会も数多くあった恵まれた生活とは裏腹に,町に出れば様々な差別に会っていたことは想像に難くない」

つまり,メンデルスゾーン姉弟は幼少の頃,ユダヤ人であることから,裕福な家庭に育ったにも関わらず,人々から差別され蔑まされていたということです 私は今まで,メンデルスゾーンはお金持ちのお坊ちゃんというイメージを持っていましたが,訂正せざるを得ません.そうした誹謗中傷にもめげず,彼はJ.S.バッハの「マタイ受難曲」の蘇演などクラシック音楽界に残る偉業を成し遂げていったのです あらためてメンデルスゾーンの偉大さを感じます

 

          

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萩原麻未+ノット+東響でラヴェル「左手のための協奏曲」を聴く~東響オペラシティシリーズ

2015年07月12日 09時14分19秒 | 日記

12日(日)。わが家に来てから275日目を迎え,ギリシャの行方が気になり,ひたすら紙面をかじるモコタロです 

 

          

           ギリシャも大変だけど 日本だって借金1,000兆円だぜ!

 

  閑話休題  

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団のオペラシティ・シリーズ第87回演奏会を聴きました プログラムは①細川俊夫「循環する海」、②ラヴェル「左手のための協奏曲二長調」、③ドビュッシー「管弦楽のための映像~第1曲『』ジーグ」,第2曲『イベリア』,第3曲『春のロンド』」。指揮は東響音楽監督ジョナサン・ノット、②のピアノ独奏は萩原麻未です

 

          

 

コンマスはグレブ・ニキティン.オケは第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれて向かい合う対向配置をとります このコンサートホールのステージは他の会場に比べて若干狭いのか,フル・オーケストラだと狭苦しく感じます

1曲目の細川俊夫「循環する海」はザルツブルク音楽祭の委嘱で2005年に書かれた,序奏と9つのパートから成る曲です 聴いた感想を言えば『大管弦楽を使って,静かに寄せては返す波の心象風景を描いた作品』という感じです 全体的にピアノとピアニッシモが支配する世界です

終わって,作曲者が会場中央の左サイドの席からステージ上に呼ばれ,拍手喝さいを受けましたが,私がこの曲の良さを理解するには1度聴いただけではとても足りないと思いました きっとブラボーをかけた人はよほど感性の鋭い人か,相当聴き込んでいる人か,きちんと音符が読める人なのでしょう

ステージ右サイドからグランド・ピアノが中央に運ばれ,2曲目のラヴェル「左手のための協奏曲二長調」の演奏に備えます この曲は,第一次世界大戦で右腕を失ったウィーン出身のピアニスト,パウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱により書かれた曲です.曲は単一楽章で,緩~急~緩の3部から成ります

ソリストの萩原麻未が鮮やかな空色のサマードレスで登場,ピアノに向かいます この日のコンサートは彼女のピアノを聴くために来たようなものです 第1楽章冒頭,暗くうごめくような曲想から,萩原麻未の力強いピアノ独奏が入ってきます 演奏するのは左手のみなので,彼女は右手を使って身体を浮かせ,右に左に身体を移動させスムーズな演奏を心がけます 両手で弾くよりはるかに弾きにくいのではないかと思われますが,出てくる音はまるで両手で演奏しているかのようです 最初のカデンツァは鮮やかです.終盤の2曲目のカデンツァは力強く感動的です あらためて萩原麻未の弾くラヴェルは素晴らしいと思います

鳴り止まない拍手に,ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」から第3曲『月の光』をロマン豊かに演奏し,喝さいを浴びました ラヴェルといい,ドビュッシーといい,萩原麻未の”フランスもの”は何度聴いてもいいな,と思いました

思い残すことがないので帰ろうかと思いましたが,せっかくなので後半も聴くことしました プログラム後半はドビュッシーの「管弦楽のための映像」です 第1曲「ジーグ」,第2曲「イベリア~街の道と田舎の道,夜の香り,祭りの日の朝」,第3曲「春のロンド」が演奏されます.どの曲も色彩感豊かな曲ですが,とくにスペインをイメージした「イベリア」はタンバリン,カスタネットの響きが鮮やかで,強い印象に残ります 東響のメンバーは弦も管もバランスがよく,音による絵の世界を描いて見せました

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