20日(月)。昨日から、パソコンが絶不調です。文章を打っている時、勝手に改行してどんどんカーソルが先に進んでしまうのです 元に戻るのが大変です。そこで1年前に導入したセキュリティ・ソフトを起動させてパソコン全体にセキュリティ・チェックを入れてみました 2~3時間もあれば済むと思っていたのが大間違いで、何と6時間26分もかかってしまいました ソフトがチェックしたのは全部で3,550,098項目もありました 時間がかかるわけです。結果は すべてについて「異常なし」でした しかし、上記の症状はまだ完治していないようで、時々 勝手に改行してしまいます マウスの右クリックの機能を利用して何とか対処法が分かりましたが、打って、登録して、また打ってという作業を小まめに繰り返しています。すごくやりにくいです
ということで、わが家に来てから今日で2445日目を迎え、米中央軍は17日、アフガニスタンの首都カブールで8月29日に実施した無人機(ドローン)による空爆が、民間人への誤爆だったとして謝罪した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
何の罪もない民間人が 杜撰な情報管理に基づいて爆撃されるなんて 浮かばれない
昨日の朝日新聞朝刊 文化面に「小澤の盟友・デュトワの鮮烈な至芸 OMF、無観客公演を配信」という見出しによる吉田純子編集委員の記事が載っていました 超訳すると、
「コロナ禍で中止になった音楽祭『セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)』が3日、サイトウ・キネン・オーケストラによる無観客公演を配信した 率いたのは世界的指揮者でOMF総監督・小澤征爾の長年の友人でもあるシャルル・デュトワ。前日のリハーサルが、すでにひとつの芸術作品だった 指揮者の中にあるイメージが、体の動きを通じてどのように楽員たちに伝わり、音となってはじけるのか、最高の解像度で伝える映像の如く鮮烈だった 英語に時折フランス語を交え、歌でも歌うような口調で指示を出しては、また自然に音楽の世界へと戻ってゆく まるで何か国語も操る、経験豊かなツアーコンダクターのようだ。映像は10月以降、有料での配信を予定している」
友人の新日本フィル桂冠名誉指揮者・小澤征爾 繋がりだと思いますが、デュトワは11月27日(土)、29日(月)の両日、新日本フィルを振り①武満徹「弦楽のためのレクイエム」、②ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」(P:北村朋幹)、③ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」、④ラヴェル「ラ・ヴァルス」を演奏します これを聴かずして何を聴くと言うのか 私は29日の公演をサントリーホールに聴きに行きます 29日のチケットはまだ残っていると思います
文藝春秋編「向田邦子を読む」(文春文庫)を読み終わりました 向田邦子は昭和4(1929)年 東京生まれ。実践女子専門学校国語科卒。映画雑誌編集記者を経て放送作家になりラジオ・テレビで活躍。代表作に「だいこんの花」「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」などがある 昭和55年に初めての短編小説「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」の3編で第83回直木賞を受賞し作家活動に入るが、昭和56年8月 航空機事故で急逝した 著書に「父の詫び状」「眠る盃」「思い出トランプ」「あ・うん」など多数あり
本書は、文春ムック「向田邦子を読む」(2018年1月・文藝春秋社刊)を文庫化したもので、次の4章から構成されています
第1章「愛され続ける作家の軌跡」 ~ 向田和子 ✕ 原田マハの対談、小説選「春が来た」、エッセイ選「字のない葉書」ほか。
第2章「思い出交遊録」 ~ 山口瞳「向田邦子は親友だった」、第83回直木三十五賞「受賞の言葉」、同賞・選評(源氏鶏太、山口瞳、水上勉、五木寛之ほか)、澤地久枝・田辺聖子、秋山ちえ子「さようなら向田邦子さん」ほか。
第3章「人々を惹きつける作品の魅力」 ~ 私が愛する向田邦子(美村里江、山根基世、小川糸ほか)、久世光彦「向田邦子との20年『春が来た』」ほか。
第4章「家族が見た素顔の邦子」 ~ 向田せい「回想の向田邦子」、向田和子「姉・向田邦子の『遺書』」ほか。
この本で初めて接する文章が少なからずあって、とても面白く読みました 特に第2章「思い出交遊録」に収録された山口瞳の「向田邦子は戦友だった」と「第83回直木三十五賞の選評」は、たった3編の短編小説だけで賞を与えるかどうかで不利な立場にあった向田作品が、劣勢から挽回していく過程が書かれていて興味深く読みました 水上勉、山口瞳両氏の最後の最後の応援演説がなければ彼女の作品は受賞できなかったことでしょう その意味では、この2人は先見の明があったと言えます
第1章に収録された短編小説「春が来た」(「眠る盃」に収録)は何度か読んだはずですが、文庫本で40ページの作品を今回あらためて読んで、思わず唸ってしまいました これが短編小説だ という見本みたいな作品です
エッセイでは「父の詫び状」が有名ですが、もう一つの「娘の詫び状」も傑作です 第2章に収録された5ページの短いエッセイですが、乳がんを患っていた邦子さんが母親に心配かけまいと黙っていたが、思い切って打ち明けたら、「そうだろうと思っていたよ」「お前がいつ言い出すかと思っていた」と返された 「母の方が役者が上であった。騙したと思っていた私が、実はみごとに騙されていたのである」と書いています そして、「父の詫び状」が店頭に並び、大きな反響があったが、本に書かれた内容は「”家の中のみっともないこと”で極まりが悪くてかなわない」と家族からは不評を買ったということで、家族に「二度とこういう真似は致しません」と謝った。「父の詫び状」という題名が悪かったのかもしれない、と結んでいます
ところで、9月15日付朝日新聞夕刊のコラム「編集者をつくった本」にポプラ社の吉川健二郎氏が、直木賞受賞対象となった短編3作を収録した「思い出トランプ」について、次のように書いています
「収められた13編に、凸凹の激しい物語は1編もない。だが 読めば気持ちに波風が立つ 生々しい表現で綴られる人間模様の中に、諦観とは違った、向田邦子の家族観や人生観を見た思いがした 編集者になってから、幾人もの脚本家に小説の執筆を依頼した。その都度実感したのは、脚本と小説はまったく別物であることだ。一方は文章を削ぐ。一方はそれを膨らませる。その両極を自在に泳いだ向田邦子の凄みを、改めて思う」
向田作品の本質を突いた文章だと思います 今年没後40年を迎えた向田邦子の作品は、忘れ去られるどころか、ますます人々の心を捉えて離しません 彼女の書く文章は私の理想とする手本です