人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

チョン・ミョンフン ✕ セバスティアン・カターナ他 ✕ 新国立劇場合唱団 ✕ 東京フィルでヴェルディ「ファルスタッフ」を聴く ~ オペラ演奏会形式に新境地を開く全員参加型公演

2022年10月21日 07時07分36秒 | 日記

21日(金)。わが家に来てから今日で2840日目を迎え、欧州議会は19日、優れた人権擁護活動を讃える今年の「サハロフ賞」の受賞者として、ウクライナ国民を選んだと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     他国の領土を見るとロシアの陣地だと よだれを垂らすプーチンは パブロフ賞だな

     

         

 

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜とアボカドと海老のサラダ」「筑前煮」「エノキダケの味噌汁」を作りました 生姜焼きは久しぶりですが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京フィル「第976回サントリー定期シリーズ」公演を聴きました プログラムはヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」(リコルディ版:オペラ演奏会形式)です 出演はファルスタッフ=セバスティアン・カターナ、フォード=須藤慎吾、フェントン=小堀勇介、カイウス=清水徹太郎、バルドルフォ=大槻孝志、ピストーラ=加藤宏隆、アリーチェ=砂川涼子、ナンネッタ=三宅理恵、クイックリー=中嶋郁子、メグ=向野由美子、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=チョン・ミョンフン(東京フィル名誉音楽監督)です

 

     

 

歌劇「ファルスタッフ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901)がシェイクスピアの「ウィンザーの陽気な女房たち」と「ヘンリー4世」の一部を基に、アッリーゴ・ボーイトの台本により1890年から1892年にかけて作曲、1893年にミラノ・スカラ座で初演されたヴェルディ晩年の喜劇です

物語は、ウィンザーの町に住む放蕩で酒飲みで肥満した老騎士ファルスタッフは、年がいもなく2人の夫人に同時に同じラブレターを書くが、2人は示し合わせて彼を散々に懲らしめるという内容です

演奏会形式のため オケはステージ上の奥に陣取ります 弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの並び。コンマスは近藤薫です

歌手陣はオケの手前のスペースで演技をしながら歌うことになります また、合唱は出番になると2階P席に入ります。指揮台の下手に長椅子、椅子、テーブルが置かれただけのシンプルな舞台です。演奏会形式の舞台装置や演出は「シンプル・イズ・ベスト」です

 

     

 

【注:ここからは演出上の内容が書かれています。これから観る方で、先入観なしで鑑賞したい方は、読まないようにすることをお勧めします】

下手からファルスタッフと従者が登場し、上手からは、何と前掛け姿のチョン・ミョンフンが箒を持って登場、指揮台や周囲を掃き始めます この箒は第1幕第1部の最後にファルスタッフが2人の従者を叩き出すときに使います つまり指揮者は小道具係でもあるわけです 箒を放棄し 代わりにタクトを握り、前掛けを外して演奏に入ります ファルスタッフが歌うと、指揮者とオーケストラ全員が歌に合わせて手拍子をしたり(ソーラン節でも始まるかと思った)、歌が終わると盛大に拍手をしたりと、オケのメンバーも演奏だけしていれば良いという安直な方針は採られません でも、皆すごく楽しそうです 第2幕以降も、チョン・ミョンフンのアイディアと思われる様々な仕掛けが炸裂し、聴衆の笑いを誘います

私がこれまで観てきた「オペラ演奏会形式」は(喜劇でないこともあってか)指揮者は本業に専念し、オケのメンバーも小中学校のスローガンのように「明るく正しく強く」真面目に演奏していれば良かったのですが、今回の公演は喜劇ということで、チョン・ミョンフンが”演出家”として一肌脱いだようです その狙いは見事に当たり、メリハリの効いた音楽づくりと相まって、最後まで飽きさせない楽しい演奏を展開しました 歌手だけでなくステージ上の全員がオペラの出演者という新機軸により、チョン・ミョンフン ✕ 東京フィルは「オペラ演奏会形式」に新境地を切り開いたと言えるでしょう

歌手陣では、主役のファルスタッフを歌ったセバスティアン・カターナはルーマニア出身のバリトンですが、体格からしてファルスタッフその人で、歌唱力も演技力も頭抜けていました アリーチェを歌った砂川涼子は新国立オペラの常連ですが、何を歌っても素晴らしく、今回も美しいソプラノを聴かせてくれました ナンネッタを歌った三宅理恵は高音がとても綺麗で歌唱力も素晴らしい 今回特に素晴らしいと思ったのはクリックリーを歌った中島郁子です。良く声が通り、演技力も抜群でした 一人ひとり挙げていったらきりがないので、この辺にしておきますが、歌手陣はいずれも適材適所で、演技力も含めて素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました

満場の拍手とスタンディングオベーションに、セバスティアン・カターナがチョン・ミョンフンに、指を1本立てて、「もう一度ラストを歌おうぜ」と呼びかけ、10人のソロと合唱で「世の中はすべて冗談」がアンコール演奏され、最後はオケのメンバー全員が演奏しながら楽器を持って立ち上がり、これが本当の”スタンダップ・コメディ”だと言わんばかりのフィナーレを飾りました 演出家チョン・ミョンフン、最後の最後まで見せてくれます 今回の公演を誰よりも楽しんでいたのはチョン・ミョンフンその人だったかもしれません

 

     

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小林壱成、佐々木亮、笹沼樹、清水和音によりドヴォルザーク「ピアノ四重奏曲第2番」、シューマン「3つのロマンス」「幻想曲集作品73-1」を聴く ~ 第38回芸劇ブランチコンサート

2022年10月20日 07時01分18秒 | 日記

20日(木)。山形県鶴岡市に単身赴任している息子が誕生祝に地元の冷酒を送ってくれました 400mlの小瓶3本セットなので3種類の味が楽しめます 誕生日は先週でしたが、ありがたくいただきます

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2839日目を迎え、韓国軍合同参謀本部は19日、北朝鮮が18日午前10時ごろに東西両岸から合計250発余りの砲弾を発射し、海上の境界である北方限界線(NLL)付近に着弾したと公表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮は最近 ミサイルと砲弾の在庫一掃セールをやってるみたいだ まだ在庫ある?

 

         

 

昨日の夕食は「あごだし寄せ鍋」にしました 2日連続 鍋です 前日はモツ鍋でしたが、昨夜は海老やタラが中心の寄せ鍋です🦐 一段と寒くなってきた夜は日本酒と鍋料理ですね

 

     

     

〆はうどんです 2人で1人前で十分でした

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで第38回芸劇ブランチコンサートを聴きました プログラムは①シューマン「3つのロマンス 作品94」、②同「幻想曲集」作品73-1、③ドヴォルザーク「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 作品87」です 演奏はヴァイオリン=小林壱成(東響コンマス)、ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、チェロ=笹沼樹(カルテット・アマービレ)、ピアノ=清水和音です

 

     

 

今回も1階席を中心に良く埋まっています 1時間強のコンサートで、この出演者で、2400円は格安です お客が入らないわけがないですね

1曲目はシューマン「3つのロマンス 作品94」です この曲はロベルト・シューマン(1810ー1856)が1849年に作曲したオーボエ(またはクラリネット、ヴァイオリン)とピアノのための作品です 第1曲「速くなく」、第2曲「素朴に、心より」、第3曲「速くなく」の3曲から成ります

清水和音のピアノ伴奏により小林壱成のヴァイオリンがロマン溢れる演奏を展開します 私は特にメロディーの美しい第2曲が印象に残りました

2曲目はシューマン「幻想曲集」作品73-1です この曲はシューマンが1849年に作曲したクラリネット(またはヴァイオリン、チェロ)とピアノのための作品です 第1曲「やさしく、表情豊かに」、第2曲「生き生きと軽快に」、第3曲「急いで、情熱をもって」の3曲から成ります

清水のピアノ伴奏により笹沼樹がチェロを演奏します 笹沼を身近で見るのは初めてですが、かなり背が高くてビックリしました 笹沼は電子楽譜を使用しますが、譜面台に置かず、直接床に立てかけていたのに またビックリしました 演奏に入りますが、笹沼のチェロは明るく伸び伸びとした演奏で、流麗な音楽が泉のように湧きあがりこんこんと流れていきます シューマンが最初からチェロとピアノのために作曲したかのように自然の流れを感じます 素晴らしい演奏でした

幕間のトークでは、小林と笹沼が小学校4年生の頃からジュニア・オーケストラで一緒に演奏してきた同級生だったことが明らかにされました また、次の曲に関連して、清水は「ピアノ四重奏曲とピアノ五重奏を比べると、五重奏はピアノと弦楽四重奏団の組み合わせにより比較的簡単に組み合わせが出来るが、ピアノ四重奏の場合は3人の弦楽奏者を一人ひとり集めなければならない 今回はヴィオラの佐々木亮さんを中心に組んだ」と説明しました なるほどと思いました すでにコンビネーションが出来ている「カルテット」から3人だけに出演を依頼するのも気が引けるかもしれません

 

     

 

3曲目はドヴォルザーク「ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 作品87」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841ー1904)が1889年に作曲、1890年にプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・フォーコ」、第2楽章「レント」、第3楽章「アレグロ・モデラート、グラツィオーソ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

小林のリードで演奏に入ります 第1楽章はドヴォルザークらしい力強い民俗的な音楽が聴かれます 第2楽章は冒頭の笹沼の独奏チェロが抒情的な演奏を展開し、聴衆を魅了しました 第3楽章はテンポが大きく動き変化に富んだ演奏が繰り広げられます 第4楽章は情熱的な音楽と哀愁漂う音楽が交錯し、ドヴォルザークらしさが垣間見られました

幕間のトークでは、この曲を演奏するのは清水が2度目、笹沼が初めて、佐々木は何度も経験済みとのことでしたが、4人のアンサンブルは見事でした

 

     

 

ところで、演奏とは何の関係もありませんが、自席の近くに熱狂的な拍手をするアラフォー(?)の女性がいて、ひときわ目立っていました 演奏者が登場する時、演奏が終わった時、両手を額の上まで挙げて他の誰よりも大きな音を出して拍手をしていました 私は一瞬、金正恩を讃える北朝鮮の人民や、今流行りのいかがわしい宗教の信者を思い出しました それと同時に、あれほど熱狂的な拍手を浴びたら、演奏する側としては嬉しいこと限りないだろうな と思いました あの女性のように、世間を憚ることなく自分の気持ちを素直に行動に表せる人は素晴らしいと思います

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文京シビックホール「響きの森クラシック・シリーズ」再開案内、東京フィル「2023シーズン定期」、都響「2023年度シーズン」継続案内届く / ロベール・ブレッソン監督「たぶん悪魔が」を観る

2022年10月19日 07時12分51秒 | 日記

19日(水)。わが家に来てから今日で2838日目を迎え、ロシアの独立系メディア「重要な歴史」は12日、ロシア軍の戦死者や行方不明者など取り返しのつかない人的な損失は9万人以上に上っているとみられると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン独裁政権の犠牲者は 増える一方で減ることはない 目を覚ませ!ロシア人

 

         

 

昨日の夕食は、娘が誕生祝にと注文してくれた黄金屋(こがねや)の「特選もつ鍋」にしました 誕生日は先週でしたが、ありがたくいただきました モツは柔らかく、鶏肉団子もとても美味しかったです

 

     

     

〆はラーメンです 鍋スープも太麺もとても美味しくて満腹になりました

     

 

         

 

文京シビックホールから「2023-2024シーズン・シリーズセット券のご案内」が届きました 文京シビックホールは、改修工事のため2021年4月から約1年9か月にわたり休館となったため、同ホールで開催されてきた「響きの森クラシック・シリーズ」(東京フィル)も休演してきました この度、同ホールがリニューアル・オープンしたことから、あらためて同シリーズが来年7月から再開されることになり、今回の案内になったものです

「響きの森クラシック・シリーズ 2023ー2024シーズン」は下のチラシの通り、2023年7月から2024年3月まで4回開催されます このシリーズの最大の特徴はポピュラーなプログラムにより、小林研一郎、アンドレア・バッティストーニといった東京フィルでお馴染みの指揮者や、服部百音、松田華音、阪田知樹といった人気のソリストを迎えながら、S席が全4回で17,500円(@4,375円)と低料金で楽しめることです

唯一の欠点は座席指定が出来ないことです 以前は毎回同じ席を指定して継続予約して聴いてきましたが、新シーズンは継続予約制度が廃止され、毎年抽選で席を決定するとしています 全4回は同じ席が確保されますが、年度が変わるとまた抽選により別の席が用意されるというシステムのようです この点は、出来るだけ早く座席指定できるように改善してほしいと思います

申し込みはWEBか往復はがきとしており、双方とも10月28日(金)必着となっています 案内に記載されたWEBフォームのURLにアクセスし手続きを進めましたが、このURLはグーグルの登録を促すもので、その先の手続きがさっぱり分かりません 文京シビックはグーグル任せで不親切だと思います。仕方ないのでQRコードからフォームを呼び出しました こちらはスムーズに入力が出来ました。最初からQRコードからアクセスすべきでした

 

     

     

東京都交響楽団から「2023年度都響会員券 継続手続きのご案内」が届きました すでに公演日程・ラインナップが発表されているので、Bシリーズ(サントリーホール)を予定に組み入れてあります ただし、同じBシリーズのS席で席替えをしたいので10月26日(水)以降にネットで変更手続きをします

Bシリーズは大曲中心のプログラムになっています 大野和士指揮によるマーラー「交響曲第7番」(4月)、マルク・ミンコフスキ指揮によるブルックナー「交響曲第5番」(6月)、小泉和裕指揮によるブルックナー「交響曲第2番」(10月)、エリアフ・インバル指揮によるショスタコーヴィチ「交響曲第9番」&バーンスタイン「交響曲第3番」(2月)といったところです このほか、サッシャ・ゲッツェル指揮ネマニャ・ラドゥロヴィチ(Vn)によるベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」他(9月)、アント二・ヴィト指揮反田恭平(P)によるラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」も魅力的です

     

     

 

東京フィルから「2023シーズン定期会員継続のご案内」が届きました こちらも すでに公演日程・ラインナップは発表されているので、サントリー・シリーズを予定に組み入れてあります ただし、同じシリーズのS席で席替えをしたいので11月12日(土)以降にチケットサービスに電話を入れて変更します

個人的に期待しているのは、チョン・ミョンフン指揮によるブルックナー「交響曲第7番」他(1月)、同・ヴェルディ「オテロ:演奏会形式」(7月)、アンドレア・バッティストーニ指揮によるサン=サーンス「交響曲第3番」(3月)、女性指揮者クロエ・デュフレーヌ指揮によるベルリオーズ「幻想交響曲」他(10月)といったところです

 

         

 

早稲田松竹でロベール・ブレッソン監督による1977年製作フランス映画「たぶん悪魔が」(97分)を観ました

裕福な家柄に生まれた美貌の青年シャルル(アントワーヌ・モ二エ)は、自殺願望にとり憑かれている 政治集会や教会の討論会に参加しても、違和感を抱くだけで何も変わらない 環境破壊を危惧する生態学者の友人ミシェルや、シャルルに寄り添う2人の女性アルベルトとエドヴィージュと一緒に過ごしても、死への誘惑を絶ち切ることは出来ない やがて冤罪で警察に連行されたシャルルは、さらなる虚無にさいなまれていき、ついに銃を手に入れる

 

     

 

この映画の背景にあるのは、自然破壊が進み環境問題がクローズアップされていた1970年代の社会情勢です シャルルは、環境汚染をはじめとする社会の抱える諸問題は解っていながら個人では何も解決できない、という無力感・絶望感を抱いていました これが彼の自殺願望に繋がっています この映画の公開時、本国フランスでは終末論的な内容の悪影響を恐れて18歳未満の鑑賞が禁じられたそうです

映画のラスト近く、シャルルは友人の一人にお金と銃を渡し、自分を銃殺するよう自殺幇助を持ちかけます 夜道を歩く2人のバックにモーツアルト「ピアノ協奏曲第23番 変ホ長調 K.488」の第2楽章「アダージョ」冒頭の音楽が短く流れ、自分の力ではどうすることもできない運命の象徴のような悲しく絶望的な音楽として響きます それからほんの数分後、銃声が聴こえシャルルの死体が映し出されます ブレッソン監督にとって、この曲の使用は必然的だったのだと思います

 

     

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ロベール・ブレッソン監督「湖のランスロ」を観る ~ 甲冑のカチャカチャ音とバグパイプ&スネアドラムの音楽と騎士たちのタイツの色が強烈に印象に残る映画

2022年10月18日 07時03分41秒 | 日記

18日(火)。16日のブログで、15日開催の東京交響楽団の定期公演の演奏中に第2ヴァイオリン奏者が倒れた旨を書きましたが、昨日付の東響のホームぺージに「直ぐに救急車の手配を行い、救急搬送され、受け入れ先の病院で適切な処置・治療を受けました。ご来場のお客様には大変ご心配いただき、また多数のあたたかいお言葉をいただきまして、心より感謝申しあげます」と掲載されていました。どうやらご無事だったようで良かったです

ということで、わが家に来てから今日で2837日目を迎え、ウクライナ文化情報省は17日までに、ロシアが一方的に併合を宣言した南部へルソン州で、地元オーケストラの首席指揮者のユーリー・ケルバテンコ氏がロシアへの協力を拒否し、自宅でロシア軍に射殺されたと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     指揮者を射殺するなんて ロシア軍には文化人がいないことを暴露したようなものだ

 

         

 

昨日、夕食に「五目煮」「生野菜とヒジキのサラダ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 「五目煮」は新聞の「料理メモ」のレシピを参考にして初めて作りました 材料は牛肉、人参、レンコン、シメジ、シラタキです。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

早稲田松竹でロベール・ブレッソン監督による1974年製作フランス・イタリア合作映画「湖のランスロ」(84分・4Kデジタルリマスター)を観ました

聖杯探索に失敗して多くの死者を出し、城に帰還した円卓の騎士たち その中の一人ランスロ(リュック・シモン)は、王妃グニエーヴル(ローラ・デューク・コンドミナス)との許されざる恋に苦悩していた 不倫の解消を神に誓うランスロだったが、グニエーヴルにその気はない 彼らの不義を利用して権力を手にしようと企むモルドレッドは、仲間を増やすべく暗躍する。そして騎士たちの絆に亀裂が入り始め、事態は思わぬ方向へと展開していく

 

     

 

本作は、「アーサー王伝説」の後日譚である王妃グニエーヴルと円卓の騎士ランスロの不義の恋をモチーフに、騎士道精神の崩壊を現代的視点から描いた歴史ドラマです

冒頭のスネアドラムに乗せて演奏されるバグパイプの音が強烈な印象を残します 騎士と騎士とが馬上で槍で突き合う試合では開始の合図にバグパイプが鳴り響きます また、騎士たちが歩くたびに甲冑のカチャカチャ音が鳴りますが、映画の8割くらいのシーンで執拗に鳴るのでこれも耳に残ります 映像面では、騎士たちの履いているタイツの色がカラフルです 中世の騎士はこんな原色のタイツを履いて戦闘していたのだろうか、と首をかしげてしまいますが、これはこれで楽しいと思います この映画は第27回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞しましたが、どこが評価されたのでしょうか

 

     

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ブロムシュテット ✕ NHK交響楽団でマーラー「交響曲第9番」を聴く ~ 「辞世の歌」か「前向きの音楽」か:95歳とは思えない矍鑠たる指揮に満場の拍手

2022年10月17日 07時06分24秒 | 日記

17日(月)。わが家に来てから今日で2836日目を迎え、ロシアのプーチン大統領が14日の記者会見で、ウクライナ侵攻のため9月に決めた部分的な動員について、「2週間以内に完了する」と明言したが、国民の不安を和らげる狙いとみられる一方、苦戦も明確になり、ロシアメディアからは「訓練をすると言われていたのに、なぜ動員発表から3週間も経たずに前線に送られ、死んでいるのか」という厳しい質問が相次いだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     いよいよプーチン政権の終わりの始まりだ これ以上若者達を無意味に死なせるな!

 

         

 

昨日、NHKホールでNHK交響楽団10月度定期演奏会Aプログラム(2日目)を聴きました プログラムはマーラー「交響曲第9番 ニ長調」です 指揮は今年95歳になるヘルベルト・ブロムシュテットです

一時期、足腰を痛めて入院というニュースもあり、来日できるか不安に思いましたが、無事に来日しリハーサルを経て土曜の1回目公演も順調に行われ、2日目を迎えました ブロムシュテット指揮N響によるマーラー「交響曲第9番」は12年ぶりとのことで、期待が高まります

会場は文字通り満席 先月のルイージといい今月のブロムシュテットといい、N響公演は良く入ります

 

     

 

マーラー「交響曲第9番 ニ長調」はグスタフ・マーラー(1860ー1911)が1909年から1910年にかけて作曲、1912年6月26日にブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィルにより初演されました この曲は「交響曲第10番」が未完に終わったことから完成された最後の交響曲となり、終楽章が「アダージョ」で静かに閉じることから、これまでは、健康への不安を抱えたマーラーが死の予感に怯えながら書いた「現世への告別の辞」と解釈されてきました しかし、最近の研究によると、脂の乗り切ったマーラーによる前向きの充実した音楽であるという解釈が有力視されています

この点、京都大学人文科学研究所教授(専門は19世紀から20世紀初頭の西洋音楽)の岡田暁生氏はプログラム・ノートで、「この曲は『辞世の歌』であり『死へ向けたひとつの吐息』である」旨を書かれています 果たして、聴衆としてのわれわれはどのように聴けば良いのか?と迷うところですが、要は純音楽として素直に聴くのが一番ではないかと解釈することにします

この曲は第1楽章「アンダンテ・コモド」、第2楽章「ゆるやかなレントラーのテンポで。やや無骨で粗野に」、第3楽章「ロンド:ブルレスケ:アレグロ・アッサイ。極めて大胆に」、第4楽章「アダージョ:極めてゆっくりと、抑制して」の4楽章からなります

ブロムシュテットがマロさんと腕を組んで登場すると、会場から大きな拍手が起こりました

 

     

 

オケは16型で左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置 コンマスはマロこと篠崎史紀、隣はゲスト・アシスタント・コンマスの郷古廉です 舞台上手にはハープが2台スタンバイします

ブロムシュテットは指揮台の上に設置された椅子に座って指揮をとりますが、指揮棒を使用しません いつものように両手で楽員から音を紡ぎ出すように指揮をします タクトなしで座っての指揮は、特に弦楽セクションの後方プルトの奏者にとっては指揮が見にくいと思われますが、そこは1981年以来、頻繁に客演しているブロムシュテットとN響の間柄なので何の問題もないでしょう タクトがなくてもアイ・コンタクトで十分です

ブロムシュテットの指揮で演奏に入ります 座って指揮をとる関係で少ない動きで最大の効果を狙います N響の楽員は「この人のためなら何としても良い演奏をしなければならない」という強い意識で曲に向かい合うことになります かつてN響を指揮したギュンター・ヴァントに対するN響がそうでした 80年代に聴いたモーツアルトの「ポストホルン・セレナード」の名演が今でも忘れられません

篠崎コンマス率いる分厚い弦楽セクションの緻密なアンサンブルが会場を満たします 第3楽章の喧騒を聴いていると、この楽章は第4楽章のアダージョを際立たせるために、わざと悪ふざけのような音楽を書いたのではないかとさえ思います その第4楽章がこの曲の白眉です 分厚い弦楽セクションの渾身の演奏が胸に迫ってきます 佐々木亮のヴィオラ・ソロ、今井仁志のホルン・ソロによる叙情的な演奏が印象に残ります 全楽章を通じて吉村結実のオーボエ、神田寛明のフルート、伊藤圭のクラリネットが冴えていました また終楽章では篠崎コンマスのヴァイオリン・ソロ、終盤の辻本玲のチェロ・ソロが素晴らしかった フィナーレは弦楽セクションのピアニッシモによる対話によりそれまでの音楽世界が浄化され、最後の音が空間に消えていきます しばしの”しじま”の後、ブロムシュテットの手が降ろされると 会場いっぱいの拍手が指揮者とN響の面々を包みました

もし、ブロムシュテットの指揮に「枯淡の境地」「枯れた味わい」を見い出そうとする人がいたら、残念ながら今回は外れです 95歳とはとても思えない矍鑠たる指揮ぶりで、80分の間、終始緊張感を絶やさず、両手は常に楽員に対し適格な指示を与えていました

全楽章を聴き終わった印象は、第1楽章と第4楽章に関しては確かに『辞世の歌』あるいは『死へ向けたひとつの吐息』を感じましたが、全体的にはむしろ健康的で健全なマーラーでした これはブロムシュテットの前向きの姿勢と切り離すことは出来ません

椅子に座ったままで 楽員を立たせ、客席に振り返って声援に応えるブロムシュテットは、さすがに若干疲れが見えましたが、篠崎コンマスに支えられ 立って声援に応える姿は、感動を共有できた満足感に満ち溢れていました

ブロムシュテット ✕ N響の演奏は、今月27日のBプロでニルセン「第3交響曲」とグリーグ「ピアノ協奏曲」を聴きます これも楽しみです

 

     

     

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ジョナサン・ノット ✕ 安川みく ✕ 東京交響楽団でラヴェル:歌曲集「シェエラザード」、同「道化師の朝の歌」、ショスタコーヴィチ「交響曲第4番」を聴く ~ 第704回定期演奏会

2022年10月16日 07時03分41秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で2835日目を迎え、アメリカ連邦最高裁は13日、FBIがトランプ前大統領の自宅から押収した機密文書について、トランプ氏側が求めていた第三者による調査を認めない決定をした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これでトランプの「公私混同・やりたい放題・国を危険に晒した」証拠が暴かれる

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第704回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラヴェル「道化師の朝の歌」(管弦楽版)~「鏡」より、②同:歌曲集「シェエラザード」、③ショスタコーヴィチ「交響曲第4番 ハ短調 作品43」です 演奏は②のソプラノ独唱=安川みく、指揮=東響音楽監督ジョナサン・ノットです

 

     

 

オケは16型で左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置を採ります コンマスは小林壱成、その隣は水谷晃というダブル・コンマス態勢を敷きます

1曲目はラヴェル「道化師の朝の歌」(管弦楽版)です この曲はモーリス・ラヴェル(1875ー1937)が1904年から翌05年にかけてピアノ独奏用に作曲した「鏡」の第3曲を、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の主宰者ディアギレフの依頼により1918年に作曲者自身が管弦楽用に編曲したものです

ノットの指揮で演奏に入ります。オケはきびきびしたリズムにより道化師の動きを活写します 中盤における福井蔵のバスーンのソロが素晴らしい 終盤はカスタネットやタンバリンが活躍しスペイン情緒を醸し出し、管弦楽版ならではの色彩感溢れる演奏が展開しました

2曲目はラヴェル:歌曲集「シェエラザード」です この曲はラヴェルが1903年に作曲、翌1904年にパリで初演された作品です 第1曲「アジア」、第2曲「魔法の笛」、第3曲「つれない人」から成ります

ソプラノ独唱の安川みくは国立音楽大学卒業後、東京藝大大学院修士課程修了。2019年から英国と日本を拠点に宗教曲と歌曲のソリストとして活躍しています 現在、英国ギルドホール音楽院アーティストディプロマキース2年次に在籍。バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバー。令和4年度文化庁新進芸術家海外派遣員です

安川みくが明るい色調のエレガントな衣装で登場、ノットの指揮で第1曲「アジア」の演奏に入ります 安川は美しいフランス語でアジアに対する夢と憧れを歌い上げました 希望を言えば、もう少し声量がほしいところです 第2曲「魔法の笛」は若い奴隷女が恋人の吹く笛の音を聴きながら恋の歌を歌います 安川の美しい歌声に相澤政宏のフルートが華を添えました 第3曲「つれない人」はハンサムな異国の若者が、声をかけられても誘いに乗らずに行ってしまうという内容の歌です この曲でもフランス語の美しさが際立っていました

実を言うと、東京交響楽団はこの曲を今年3月の「第698回定期演奏会」で沼尻竜典指揮、中村恵理ソプラノ独唱により演奏しています 共通点は美しいフランス語です

 

     

 

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第4番 ハ短調 作品43」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906ー1975)が1935年から翌36年にかけて作曲、1936年5月20日に完成(作曲者29歳)しました 同年12月には初演される予定でしたが、数回のリハーサルの後、作曲者自身により初演が撤回され、以来26年間もの間、陽の目を見ることなく、やっと1961年12月30日にキリル・コンドラシン指揮モスクワ・フィルによって初演されました この26年にも及ぶ初演の延期が政治的な理由によるもので、当時激しく遂行されたソ連の文化界・芸術界への形式主義批判の大キャンペーン「社会主義リアリズム」の影響を受けたものであることは、現在よく知られています しかし、中田朱美さんのプログラム・ノートによると、「1934年の第1回全ソ作家同盟大会で唱えられた『社会主義リアリズム』は殊、音楽界においてはまだ空虚なスローガンであり、少なくとも戦前まで音楽的定義を伴っていなかった」とのことです それでもなお、ショスタコーヴィチはなぜ初演を延期したのか?・・・この作曲家は謎だらけです

この曲は第1楽章「アレグレット・ポコ・モデラート ~ プレスト」、第2楽章「モデラート・コン・モート」、第3楽章「ラルゴ ~ アレグロ」の3楽章から成りますが、第1楽章:約30分、第2楽章:約10分、第3楽章:約25分、合計約65分の大曲です ショスタコーヴィチの全15曲の交響曲の中で最大の楽器編成による作品である一方で、3楽章とも弱音で終わるという点が大きな特徴です この点が「社会主義リアリズム」に反すると批判される恐れがあるとして、ショスタコーヴィチが初演を自粛した大きな理由の一つになった、と言われています

ノットの指揮で第1楽章に入ります 冒頭の音楽から終結部まで何が起こるか分からない変化に富んだ音楽が、スピードを変えて次から次へと現れます 金管の咆哮があれば、ショスタコーヴィチ特有のアイロニカルなメロディーもあり、かと思うと突然内省的な音楽が立ち現れます 曲想こそ異なるものの、エキセントリックな性格はまるでマーラーです この楽章で凄かったのは、弦楽セクションによりフーガ的に演奏される超高速演奏です これ以上速く演奏することは不可能ではないか、と思われるほどのスピードです この演奏には戦慄を覚えました

演奏が始まって20分ほど経過した頃、ステージ上から ガタガタドサッ という大きな音が聴こえてきました ステージ上に目をやると、上手の第2ヴァイオリン(裏)の女性奏者が貧血を起こしたのか、前のプルトに倒れ込んでしまったのです 周囲の奏者が助け起こそうとしますが、気を失っているのか起き上がれません 舞台袖から男性スタッフが2人出てきて女性を抱えて引き上げていきました この間、ノットも事態に気が付いた様子でしたが、タクトを止めることなく演奏を続けました 単なる貧血や一時的な酸欠であれば良いのですが、心配です 私は学生時代から長年にわたりクラシックコンサートを聴いてきましたが、演奏途中に演奏者が倒れて運ばれるのを見たのはこれが初めてです 突発的なアクシデントにノットは演奏を止めるべきだったか?  微妙な問題ですが、演奏を続行したことを批判することは出来ないのではないか、演奏の最高責任者である指揮者の判断に任せるしかないのではないかと思います   いずれにしても、当該女性のご無事を祈るばかりです

第2楽章は実質的にスケルツォですが、マーラー的な響きや、この後に作曲される「第5交響曲」の響きも聴こえてきました 第3楽章は葬送行進曲あり、ワルツあり、ポルカあり、ギャロップあり、さらにはフルートによるモーツアルトの歌劇「魔笛」のパパゲーノの笛のパロディありと、まるでごった煮鍋の音楽です 先が読めないということでは第1楽章と同じです また、この楽章でも弦楽セクションによる超高速演奏が繰り広げられ、思わず耳を傾けました フィナーレは、それまでの喧騒がウソだったかのように静かに曲を閉じます しばしのしじまの後、ノットのタクトが静かに降ろされると、満場の拍手がノットと東響のメンバーに押し寄せました 金管の誰が良かったとか、木管の誰が冴えていたとかのレヴェルの話ではなく、東響の総力を挙げての凄い演奏でした 何度もカーテンコールが繰り返され、ノットは楽員を讃え、聴衆の拍手に応えていました

N響、日フィルに次いで、東響でもカーテンコール時のスマホ撮影が可能になりました 新日本フィルも近々解禁の予定とのこと 今回は東響の思う壺ですが、せっかくなので写メしました

 

     

     

     

 

toraブログのトータル閲覧数が730万 P V を、トータル訪問者数が225万 I P をそれぞれ超えました(7,301,265 PV。2,250,644 IP)。これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝申し上げます これからも1日も休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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上岡敏之 ✕ 上野星矢 ✕ 山宮るり子 ✕ 田部京子 ✕ 新日本フィルでモーツアルト「FlとHpのための協奏曲」、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」、ブラームス「交響曲第2番」を聴く

2022年10月15日 07時02分09秒 | 日記

15日(土)。わが家に来てから今日で2834日目を迎え、2021年1月の米連邦議会議事堂襲撃事件を調査している米議会下院の特別委員会は13日、トランプ前大統領が事件に大きく関与したとして、証人として召喚することを全会一致で可決したが、トランプ氏がこの決定に強く反発することは必至で、召喚にも応じないとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアに恥知らずプーチンあり  アメリカに破廉恥トランプあり  共通点は無法者!

 

         

 

昨日の夕食は、前日余ったピザと娘が作ってくれたウニのスパゲティにしました スパゲッティはスライスチーズを乗せて混ぜて食べるとすごく美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第10回すみだクラシックへの扉」公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299」、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58」、ブラームス「交響曲第2番 ニ長調 作品73」です 演奏は①のフルート独奏=上野星矢、ハープ独奏=山宮るり子、②のピアノ独奏=田部京子、指揮=上岡敏之です

本公演は当初、ラルス・フォークトのピアノと指揮で演奏されるはずでしたが、同氏の急逝により急きょ出演者が変更になったものです

あらためて紹介するまでもありませんが、上岡敏之は新日本フィル第4代音楽監督で、現在、コペンハーゲン・フィル首席指揮者、ザールブリュッケン音楽大学指揮科正教授を務めています。新日本フィルの音楽監督時代は、コロナ禍の影響でドイツから帰国出来ず、思うように国内での指揮活動が出来なかったため、今回は約2年半ぶりの新日本フィルへの登場となります

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスは崔文洙です 第2ヴァイオリンのトップには首席の佐々木絵理子と並んで、元「クァルテット・エクセルシオ」第2ヴァイオン奏者・山田百子がスタンバイします ちなみに山田百子の前任者は遠藤香奈子(都響第2ヴァイオリン首席)で、後任は北見春菜です ついでに、新日本フィルのヴィオラ首席・中恵菜は「カルテット・アマービレ」のメンバーです

1曲目はモーツアルト「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1778年にフランスのアマチュア音楽家ド・ギーヌ伯爵と彼の娘のために作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

フルート独奏の上野星矢は19歳の時、世界的フルート奏者の登竜門である「第8回ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクール」で優勝 パリ国立高等音楽院第一過程、ミュンヘン国立音楽大学大学院修了。現在、世界を舞台に活躍しています ハープ独奏の山宮るり子はハンブルク国立音楽演劇大学・大学院で研鑽を積む。ミュンヘン国際音楽コンクール・ハープ部門第2位、リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクールで優勝を果たしています

上岡の指揮で第1楽章が管弦楽によって開始されます そして”お待たせしました”とばかりにフルートとハープが入ってきます 天翔けるフルートを美しいハープが支えます 何と軽やかで流麗な演奏だろうか 2つの独奏楽器が絡み合うカデンツァは華麗にして優雅です 第2楽章は天国的な音楽です。天使のハープが優しく会場を満たします 第3楽章はモーツアルトらしい愉悦感に満ちた演奏で、2つの独奏楽器を上岡 ✕ 新日本フィルが緻密なアンサンブルでしっかりと支えました

2曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1805年から翌06年にかけて作曲、1807年にアン・デア・ウィーン劇場で公開初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の田部京子は17歳で日本音楽コンクール優勝。ベルリン芸術大学で研鑽を積み、ミュンヘン国際音楽コンクールなどで受賞多数 現在、桐朋学園大学院大学教授も務めています

第1楽章冒頭は田部のピアノ独奏で入ります。独奏ピアノから開始される手法は当時としては画期的でした そしてオーケストラの演奏が続き、再びピアノが加わり内面的な対話が展開します 田部のピアノが何と美しいことか 一音一音の粒立ちが綺麗で明快です 比較的長めのカデンツァは鮮やかでした 第2楽章は冒頭、オーケストラと独奏ピアノとの対話が聴かれますが、この音楽を聴くたびに私は次のような対話を思い浮かべてしまいます

若者A(オケ):仕事のノルマが厳しくて疲れたよ

若者B(ピアノ):大変だねぇ

若者A(オケ):忙しい割には給料が安いし、やんなっちゃうよ

若者B(ピアノ):日本の企業は従業員の給料を抑えて内部留保に回しているからね

若者A(オケ):おまけに値上げラッシュで生活がますます苦しくなってきたよ

若者B(ピアノ):いっそのこと消費税率を大幅に下げてくれれば助かるけどね

演奏に戻ります 第2楽章のラストから第3楽章冒頭に移るところで聴かれた、研ぎ澄まされた弱音による静謐な音楽づくりは上岡の真骨頂です 第3楽章は一転、溌溂とした独奏ピアノとオケとの丁々発止のやり取りが素晴らしく、力強く輝かしいフィナーレを飾りました

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第2番 ニ長調 作品73」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1877年に風光明媚なペルチャハで作曲、同年12月30日にハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルにより初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ・ノン・トロッポ ~ リステッソ・テンポ、マ・グラツィオーソ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ プレスト・マ・ノン・アッサイ」、第4楽章「アレグロ・スピリート」の4楽章から成ります

上岡の指揮で第1楽章が開始されます 冒頭は「レ・ド#・レ」という「谷型音形」(事前に開催された小室敬幸氏の「ワンコイン講座」では「刺繍音形」と呼んでいた)が現れますが、これが展開部や、他の楽章でも執拗に繰り返されます 上岡はかなりゆったりしたテンポで開始しますが、その後一気に加速していき、長い旋律の流麗な音楽が展開します 第2楽章では、野津雄太のフルート、岡北斗のオーボエが素晴らしい演奏を繰り広げていました 実質的なスケルツォの第3楽章を経て、第4楽章は第1楽章冒頭に現れた「谷型音形」が繰り返し登場し、音楽が前へ前へと進められます 全体を通して、上岡は各セクションへの明確な指示により風通しの良い流麗な音楽づくりに徹していました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されました 今回の代役がなければ、上岡氏の新日本フィルへの復帰はもっと遅くなっていたことでしょう コロナ禍の影響で長期間にわたり新日本フィルを指揮することが出来ず、音楽監督としての責務を十分に果たせなかったことによる双方の”わだかまり”が、この公演のリハーサルと本番をきっかけに解消すると信じます

         

終演後、来年3月25日(土)午後2時からトリフォニーホールで開催される「新日本フィル創立50周年記念特別演奏会 ~ 上岡敏之指揮によるブルックナー『交響曲第8番』」のチケットの先行予約を済ませました    1階センターブロックやや後方の通路側席を確保しました

終演後、コンマスの崔氏が一礼しオケが解散したタイミングでロビーに出たのですが、ロビーの臨時受付カウンターにはすでに長蛇の列が出来ており、2階の階段の上まで続いていました 帰り際にパトロネージュ部の登原さんに「今日は大変な騒ぎだね」と声をかけると、「明日はもっと大変だと思います」と答えていました。上岡人気、恐るべし

     

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上岡敏之 ✕ 田部京子 ✕ 新日本フィルによるベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」の公開リハーサルを見学する / 上岡敏之 ✕ 新日本フィルのブルックナー「第8交響曲」(3/25)チケット先行受付

2022年10月14日 07時03分31秒 | 日記

14日(金)。昨日は私の100回目の誕生日でした もちろんトランプ級のフェイクです 大幅にサンマを、もとい、サバを読んでいます 娘がピザ(大・小)・唐揚げ・ポテト・ナゲットを大量に注文してくれたのでビールと一緒にいただきました 量が多すぎた( ↓ これで2人前)ので、余りは翌日に回すことにしました

 

     

 

バースデーケーキ(シャインマスカット)も娘が用意してくれました 季節のケーキはとても美味しかったです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2833日目を迎え、193か国で構成される国連総会は12日に「緊急特別会合」を開き、ロシアによるウクライナ4州の一方的な併合を「違法」で「無効」などと非難する決議を143か国の賛成で採択した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     独立国家に侵略し 破壊し尽くした上で「俺の土地だ」と主張するのは泥棒の論理だ

 

         

 

昨日午前10時半から、すみだトリフォニーホールで「第10回すみだクラシックへの扉」公演の公開リハーサルを見学しました 本公演は10月14日(金)、15日(土)の両日、同ホールで開かれます 本番のプログラムは①モーツアルト「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299」、②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58」、③ブラームス「交響曲 第2番 ニ長調 作品73」です    事前の案内ではブラームスのリハーサルが公開される予定でしたが、ベートーヴェンに変更されました 望むところです

パトロネージュ部の登原さんによると、上岡氏は滅多にリハーサルを公開しないそうで、今回は急逝したラルス・フォークト氏の代役ということで、もともと公開リハーサルが予定されていたことから本番ともども引き受けてくれたとのことです しかも、公開リハーサルの多くはソリストの入る協奏曲は避けられる傾向があるのに、今回はピアノ協奏曲ということなので、極めて貴重な機会となります 賛助会員・維持会員の特権です

 

     

 

ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58」はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1805年から翌06年にかけて作曲、1807年にアン・デア・ウィーン劇場で公開初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

オケの編成は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び。コンマスは崔文洙です

舞台中央のグランドピアノにはソリストの田部京子がスタンバイします    ジャケット姿の上岡が指揮台に上り、さっそく第1楽章のリハーサルに入ります    冒頭はピアノ独奏から入り、オーケストラが続きます。上岡は途中で止めることなく演奏を進め、田部のカデンツァに入ったところで止めて、カデンツァの終結部から演奏するよう求めました カデンツァはソリストにとっては聴かせどころですが、オケとのリハーサルでは全部弾く必要はないという判断です 見学者としては全部聴きたいところですが、仕方ないでしょう その後は楽章の最後まで通して演奏し、その後、冒頭近くの箇所に戻り、演奏しては止めて弦楽器に指示を出し、再び演奏に戻り、ということをかなり細かく繰り返しました 次いで第2楽章に入ります。冒頭はピアノのモノローグとオケとの対話が繰り返されますが、オケが思ったよりもソフトに出てきたのは意外に感じました また、この楽章はたったの5分しかないことにあらためて気が付きました この時点で11時半頃です。普通の指揮者なら、ちょうど1時間たったから15分休憩して、その後第3楽章の演奏に入るという方法を採ると思いますが、上岡は休憩を入れず第3楽章のラストまで続けて演奏する形を採ります この楽章では、上岡の弦楽器の弱音に対するこだわりが見られました コンマスにリードを任せ、自分は会場に降りて後方席まで移動して、弦楽セクションの演奏を聴いて「音が大きい」と叫んでいました 弱音重視によるメリハリを求める上岡の指揮の特徴を垣間見た気がしました

リハーサルは休憩なしの1時間半で、正午近くに終了しました 本日午後2時から本番を聴きます モーツアルト、ブラームスともども楽しみです

 

         

 

新日本フィルのホームページによると、2023年3月25日(土)14時から すみだトリフォニーホールで「新日本フィル創立50周年特別演奏会」が開かれます    プログラムはブルックナー「交響曲第8番ハ短調(ハース版)」で、指揮は上岡敏之です   チケット代はS:7000円、A:6000円、B:5000円、C:4000円で、NJPメンバー割引があります

本日と明日の「扉」公演終了後、先行販売の受付をするとのことです。私は申し込みます

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東京フィル ⇒ 2023年シーズン:公演ラインナップ発表 / 新日本フィル「室内楽シリーズ 第152回 音色、いろいろ」を聴く ~ プロコフィエフ「五重奏曲ト短調」他

2022年10月13日 07時03分42秒 | 日記

13日(木)。東京フィルのホームページに「2023年シーズン公演ラインナップ」が発表されました 東京フィルの定期演奏会は①オーチャードホール、②東京オペラシティコンサートホール、③サントリーホールの3シリーズがありますが、すべて同一プログラム(全8回)です

1月度=①シューベルト「交響曲第7番」、②ブルックナー「交響曲第7番」:チョン・ミョンフン指揮

2月度=①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」、②チャイコフスキー「マンフレッド交響曲」:ミハイル・プレトニョフ指揮、イム・ユンチャン(ピアノ)

3月度=①ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」、②ガゼッラ:狂詩曲「イタリア」、③サン=サーンス「交響曲第3番」:アンドレア・バッティストーニ指揮

5月度=①ラフマニノフ:幻想曲「岩」、②同:交響詩「死の島」、③同「交響的舞曲」:ミハイル・プレトニョフ指揮

6月度=①尾高掉忠「オーケストラのための『イマージュ』」、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、③同「交響曲第1番」:尾高忠明指揮、亀井聖矢(ピアノ)

7月度=①ヴェルディ:歌劇「オテロ」(演奏会形式):チョン・ミョンフン指揮

10月度=①リリ・ブーランジェ「春の朝に」、②サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、③ベルリオーズ「幻想交響曲」:クロエ・デュフレーヌ指揮、中野りな(ヴァイオリン)

11月度=①チャイコフスキー:幻想曲「テンペスト」、②同「ロココの主題による変奏曲」、③同:幻想序曲「ハムレット」、④同:幻想序曲「ロメオとジュリエット」:アンドレア・バッティストーニ指揮、佐藤晴真(チェロ)

来年の2023年はラフマニノフ生誕150年、チャイコフスキー没後130年とかで、2人の作品が比較的多く登場しているようです

私は現在サントリー・シリーズの定期会員ですが、同ホールが一番好きなのでこのまま継続することにします

ということで、わが家に来てから今日で2832日目を迎え、10日にロシアがウクライナ全土に加えたミサイル攻撃などを巡り、米経済紙フォーブス(ウクライナ語版)は、攻撃にかかった費用が4臆~7億ドル(約582億~1020臆円)だったとの試算を報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン・ロシアはそのお金を ウクライナの復興のために 取っておくべきだった

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「生野菜とヒジキのサラダ」「豚汁」を作り、「刺身切り落とし&タコ」と一緒にいただきました 和食はいいですね

 

     

 

         

 

昨夕、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル「室内楽シリーズ  第152回  『音色、いろいろ』 原田遼太郎プロデュース編」を聴きました プログラムは①テッポ・ハウタ=アホ「カデンツァ」、②ピアソラ「チェロとコントラバスのための5つのタンゴ」、③シュルホフ「フルート、ヴィオラとコントラバスのためのコンチェルティーノ」、④シュペルガー「コントラバス、フルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ニ長調」、⑤プロコフィエフ「五重奏曲 ト短調 作品39」です 演奏はヴァイオリン=田村直貴、ヴィオラ=瀧本麻衣子、チェロ=弘田徹、コントラバス=原田遼太郎、フルート=野津雄太、オーボエ=神農広樹、クラリネット=マルコス・ペレス・ミランダです

 

     

 

1曲目はテッポ・ハウタ=アホ「カデンツァ」です この曲はフィンランド出身の作曲家でコントラバス奏者テッポ・ハウタ=アホ(1941ー2021)が1969年に作曲、1984年に改訂した作品です

原田遼太郎のコントラバス独奏で演奏されますが、作曲者がコントラバス奏者であることからかなり技巧的な曲で、1本のコントラバスから「音色、いろいろ」の音楽が立ち現れました

2曲目はピアソラ「チェロとコントラバスのための5つのタンゴ」です この曲はドイツのコントラバス奏者ヴィーベッケ・ゴットシュタインが、アストル・ピアソラ(1921ー1992)のタンゴから5つを選び、2000年頃にチェロとコントラバス用に編曲した作品です 第1曲「J’attends」、第2曲「La Misa Pena」、第3曲「Saint Louis en L’lle(サン=ルイ島)」、第4曲「Guardia Nueva」、第5曲「Adios Nonino(さよならパパ)」の5曲です

演奏は弘田徹のチェロと原田遼太郎のコントラバスです 弘田がこれほどピアソラにのめり込んでいるとは思わなかった、というのが正直な感想です タンゴ独特のリズムを小気味よく刻んでいきます 原田がしっかりと合いの手を入れます。爽快な演奏でした

3曲目はシュルホフ「フルート、ヴィオラとコントラバスのためのコンチェルティーノ」です この曲はチェコの作曲家アーヴィン・シュルホフ(1894ー1942)が1925年に作曲した作品です 第1楽章「アンダンテ・コン・モト」、第2楽章「フリアント」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「ロンディーノ」の4楽章から成ります

演奏は野津雄太のフルート、瀧本麻衣子のヴィオラ、原田遼太郎のコントラバスです 第1楽章冒頭のフルートの長閑な演奏を聴いていたら、何故か日本の田舎の風景を思い浮かべました 第2楽章では野津がピッコロに持ち替えて陽気なダンスの音楽を奏でます ヴィオラとコントラバスを交えた演奏は、チェコの村祭りといった雰囲気です 第4楽章では、野津がフルートとピッコロを演奏の度に持ち替えて八面六臂の活躍を見せました 全体を通してとても楽しい演奏でした

 

     

 

プログラム後半の1曲目はシュペルガー「コントラバス、フルート、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 ニ長調」です この曲はモーツアルトと同時代にチェコで活躍した宮廷コントラバス奏者シュぺルガー(1750ー1812)が作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・コン・エスプレッシオーネ」、第2楽章「アンダンテ・グラツィオーソ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ」の3楽章から成ります 演奏はコントラバスの原田、フルートの野津、ヴィオラの瀧本、チェロの弘田の4人です

タイトルの最初にコントラバスが来ていることから分るように、この作品ではコントラバスとフルートがメロディーラインを演奏します 極めて珍しい曲だと思います 第1楽章のフルートとコントラバスを中心とする演奏を聴いて、「モーツアルト的」なメロディーだなと思いました 第2楽章ではモーツアルトの「魔笛」のような音楽が聴こえてきて”おやおや”と思いました 第3楽章のアレグロは軽快な演奏でした

最後の曲はプロコフィエフ「五重奏曲 ト短調 作品39」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891ー1953)が1924年に作曲、1927年にモスクワで初演されました オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスという珍しい編成ですが、この曲の作曲を委嘱したサーカス団の楽隊がこの組み合わせだったことによります 第1楽章「テーマ・コン・ヴァリアツィオー二」、第2楽章「アンダンテ・エネルジコ」、第3楽章「アレグロ・ソステヌート・マ・コン・ブリオ」、第4楽章「アダージョ・ペサンテ」、第5楽章「アレグロ・プレシピタート、マ・コン・ブリオ」、第6楽章「アンダンティーノ」の6楽章から成ります 

演奏は神農広樹のオーボエ、マルコス・ペレス・ミランダのクラリネット、田村直樹のヴァイオリン、瀧本麻衣子のヴィオラ、原田遼太郎のコントラバスの5人です

初めて聴く曲ですが、とても面白い曲でした ヴァイオリン主導というよりは、威勢のいいミランダのクラリネット主導で刺激的な演奏が展開したように感じました 特に印象に残ったのは第4楽章で、オーボエが不穏な雰囲気を醸し出し、弦楽器がそれに輪をかけて不気味な音楽を奏で、おどろおどろしさを感じさせました 一転して第5楽章の疾走感が忘れられません 原田のピッツィカートも素晴らしかったです 全楽章を通して「音色、いろいろ」聴けました

満場の拍手に、7人全員が登場し、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」から「ガボット」を軽快に演奏、再び大きな拍手に包まれました

この日のコンサートは、演奏が進む度に演奏者が一人ずつ増えていくという周到な考えに基づく公演でしたが、「音色、いろいろ」バラエティに富んでいて楽しく聴くことが出来ました とくに感心したのは、今回の公演の”仕掛け人”である原田遼太郎の企画力です 「よくもコントラバスを中心とした作品を、しかも演奏する人数が曲ごとに異なる作品をこれだけ集めたものだ」と思います 素晴らしいコンサートでした

 

     

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濱口竜介監督「PASSION」を観る ~ 30歳を目前にした男女5人の愛憎劇:濱口監督の東京藝大大学院の修了制作作品

2022年10月12日 07時03分45秒 | 日記

12日(水)。わが家に来てから今日で2831日目を迎え、10月7日のロシアのプーチン大統領の70歳の誕生日に中国の習近平国家主席が祝電を送らなかったのではないか、との観測が流れている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     祝電送ると プーチンとプーさんで仲良しこよしと見られるから 警戒してんじゃね

 

         

 

昨日、夕食に「長芋とエリンギと豚肉の炒めもの」「生野菜とアボカドのサラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 「長芋~」は新聞の「ごはんラボ」に掲載されていたレシピにより初めて作りました

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で濱口竜介監督による2008年製作映画「PASSION」(115分)を観ました これは濱口監督が東京藝大大学院映像研究科の修了制作として監督した作品です

30歳を目前にした大学時代の同級生5人が久しぶりにレストランに集まります 毅(渋川清彦)と妊娠中の鞠江夫婦と賢一郎(岡部尚)の前で、智也(岡本竜汰)と果歩(河井青葉)が結婚を発表します 歓談中に貴子(占部房子)から健一郎に電話がかかってきて、男3人で貴子を訪ねることになります 3人の男と貴子の会話から分かるのは、智也は果歩を心から愛しているわけではなく 貴子と過去に関係を持っていたことがあり 今でも貴子が忘れられないこと、賢一郎は果歩が好きだが相手にされていない、ということです ここから3人の男と2人の女を巡る複雑な愛憎劇が展開していきます

 

     

 

この映画を観て感じるのは、濱口監督は学生時代から「長回し」と「会話劇」で映画を撮っているな、ということです 果歩は高校の数学の教師で担任も持っていますが、ホームルームでの生徒たちとの会話、というよりバトルが強烈です クラスの一人の男子生徒がいじめによって自殺したことから、果歩は「暴力」について生徒たちに持論を訴えます 果歩は「暴力には言葉による暴力と肉体的な暴力がある。外(他者)からの暴力を止める手段はないが、内(自分)からの暴力は自分の意思で止めることが出来る。暴力の連鎖を防ぐには、暴力を受け入れて相手を赦すしかない」と主張しますが、生徒たちからは、「自分が殺されるかもしれない時は暴力で対抗せざるを得ない」と反論が出ます 果歩は「暴力を止めるための行為も暴力である。暴力に対し暴力で対抗する限り、この世から暴力はなくならない。暴力を受けたら自分がそれを受け入れて相手を赦すしかない」と説得します しかし、ある生徒が「さっきトイレで〇〇君(前の席の生徒)を殴りました。相手は誰でも良かった。理由なんて特になかった。誰かを殴りたい気持ちを抑えることが出来なかった 先生、僕は赦されますね」と発言したことから、果歩は絶句し、気分を悪くし体調を崩してしまいます

果歩は、智也が心の底から自分を愛していないことをうっすらと分かっていて、それを言葉に出来ない「暴力」と感じていたことから、現状を受け入れるしかないと自分自身に言い聞かせていたのではないか、と思います

この映画のタイトル「PASSION」は「熱情」「情欲」の意味で使われているようですが、私は「MATTHEW  PASSION」(マタイ受難曲)と同じ意味に捉え、登場人物6人それぞれの「受難の物語」と解釈しました

 

     

コメント
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