人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中山七里著「カインの傲慢」を読む / 小泉悠「ウクライナ戦争の200日」、土井善晴「一汁一菜でよいという提案」、A.ホロヴィッツ「殺しへのライン」、米澤穂信「Iの悲劇」他を買う

2022年10月11日 07時03分33秒 | 日記

11日(火)。昨日は、早稲田松竹で濱口竜介監督「親密さ」(2012年製作)を観る予定でしたが、上映時間が4時間15分と超長編で、月曜日から疲れそうなので止めました ワーグナーの楽劇じゃないんですから その代わり、池袋で買い物をした後、自宅でコンサートの予習がてら音楽を聴きながら読書をして過ごしました

ということで、わが家に来てから今日で2830日目を迎え、ウクライナ南部クリミア半島とロシアを結ぶ「クリミア大橋」で8日に起きた爆発について、プーチン大統領は9日「ウクライナ特殊機関によるテロだ」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアの主権国家ウクライナへの侵略がテロでなくて何なんだ 恥を知れプーチン!

 

         

 

昨日の夕食は、娘が買ってきたMUJIの「キーマカレー&ナン」にしました 量的に足りないので鶏モモ肉で「タンドリーチキン」作りに初挑戦しましたが、上出来でした あとは「生野菜とアボカドのサラダ」です。ビールの奥にあるのはマンゴーラッシーです。辛い料理によく合います

 

     

     

 

         

 

手元の本がなくなったので、いつものようにジュンク堂池袋本店まで徒歩で行って6冊購入してきました

1冊目は小泉悠著「ウクライナ戦争の200日」(文春新書)です 小泉氏の著作は「現代ロシアの軍事戦略」(ちくま新書:2021年5月初版発行)を当ブログでご紹介しましたが、本書は今年2月のロシアによるウクライナ侵攻後に刊行された最新情勢を分析した本です ウクライナ戦争は現在進行形なので、情報が古くならないうちに出来るだけ早く読み始めようと思います

 

     

     

2冊目は沢辺有司著「図解  いちばんやさしい地政学の本」(彩図社)です 本書は「地政学とは何か?」に始まり、アメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパ、中近東、アジアの各地域における地政学について解説しています ウクライナ戦争を巡る各国の姿勢を把握するためのツールとして読もうと思います

 

     

 

3冊目は土井善晴著「一汁一菜でよいという提案」(新潮文庫)です 週5回料理をする立場から、日本の料理界のオーソリティの考え方を学びたいと思います

 

     

 

4冊目はアンソニー・ホロヴィッツ著「殺しへのライン」(創元推理文庫)です 彼の著作は刊行されるたびに読んでいますが、前作「メインテーマは殺人」の後、本書は待ちかねていた最新作です

 

     

 

5冊目は米澤穂信著「Iの悲劇」(文春文庫)です この作者の本も文庫化されるものはほとんど読んでいますが、本書は文庫本最新作品です

 

     

 

6冊目は角田光代著「しあわせのねだん」(新潮文庫)です 帯の謳い文句「9800円の使いかた」は原田ひ香著「三千円の使いかた」を思い浮かべますが、お金にまつわるテーマにした本が流行っているのでしょうか

 

     

 

いずれも読み終わり次第、当ブログでご紹介してまいります

 

         

 

中山七里著「カインの傲慢 刑事犬養隼人」(角川文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー それ以降、「中山七里は7人いる」と言われるほど次々と新作を刊行、出版界の話題をさらっています

肝臓を抜き取られ傷口を雑に縫い合わされた死体が、都内で相次いで発見された 司法解剖と捜査の結果、被害者はみな貧しい環境で育った少年で、最初に見つかった少年は中国からやってきたばかりだと判明する なぜ彼らは肝臓を抜き取られたのか   孤高の敏腕刑事・犬養隼人と相棒の高千穂明日香が、事件の背後にある臓器売買、貧困家庭、少年の非行といった数々の社会問題に対峙しながら事件の真相に迫っていく

 

     

 

本作の「解説」を俳優の谷原章介氏が書いていますが、これが素晴らしい 同氏は読書家として知られていますが、中山作品に対する分析力と表現力には人並み以上の才能を感じます 彼は次のように書いています

「中山作品を読む度に感じるのは、社会問題を巧みに物語の中に織り込むその手腕の鮮やかさ 社会全体を冷静に俯瞰し、時々の問題を取り上げ、それを一つの依代として物語を描き、登場人物たちを動かしていく 社会問題が人を映す鏡となり、一つの事象に対してそれぞれの考え方、立場、年齢などで受け取り方や行動は様々な反射を起こし、複雑な人間ドラマを織りなしていきます

まさに、中山作品の特徴を簡明に表現しています また、タイトルにある「傲慢」について、自身の子ども時代の経験を紹介しながら、貧困問題に触れています 中山七里とともに、谷原章介という人物を見直しました

本書では中山作品のお約束”どんでん返し”が待ち受けていますが、ラストはいつもと違うテイストで、無敵の犬養刑事が臓器移植に関して本音と建て前の間で精神的に追い詰められて終わる形をとっています

谷原氏も語っていますが、これからの犬養、そして中山七里さんから目が離せません

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藝大オペラ定期公演「コシ・ファン・トゥッテ」を観る ~ アンサンブル・オペラの最高峰を楽しむ:東京藝大学生 ✕ 高関健指揮藝大フィルハーモニア管弦楽団

2022年10月10日 07時11分27秒 | 日記

10日(月・休)。わが家に来てから今日で2829日目を迎え、ウクライナ軍は9月初旬、北東部のハルキウ州で、ロシアが占領する地域の奪還作戦を電撃的に始め、州の大半を奪還したが、現地を訪れると、住民は一目散に逃げ出すロシア兵を目撃したと証言したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアは戦う意志も大義名分もない兵士たちが戦っているから すぐに逃げ出すんだ

 

         

 

昨日、東京藝大奏楽堂で「第68回藝大オペラ公演 コシ・ファン・トゥッテ」を観ました 10月8日と9日のダブルキャストですが、9日のキャストは次の通りです

フィオルディリージ=松原奈美、ドラベッラ=依光ひなの、フェッランド=坪井一真(1幕)、有ケ谷友輝(2幕)、グリエルモ=大野光星、デスピーナ=大塩麻乃、ドン・アルフォンゾ=中尾奎五。管弦楽=藝大フィルハーモニア管弦楽団、合唱=東京藝大音楽学部声楽科3年生、指揮=高関健、演出=久垣秀典です

 

     

 

指定席は1階27列25番と26番。会場は満席です おそらく前日も満席だったのではないかと推測します

「コシ・ファン・トゥッテ」は二重唱、三重唱、四重唱といったアンサンブルの魅力に溢れたオペラです 次から次へと二重唱、三重唱がノンストップで歌われます したがって、このオペラでは、個々人の歌唱力が優れているだけではだめで、アンサンブル能力が試されます その意味では、この日の主役級の歌手たちは素晴らしいパフォーマンスを発揮していました フィオルディリージを歌った松原奈美は美しいソプラノで、演技力も十分でした ドラベッラ=依光ひなのは声量があり、説得力の点では一番でした フェッランドは第1幕が坪井一真で第2幕が有ケ谷友輝でしたが、ともに声が良く通り、演技力もありました グリエルモを歌った大野光星は終始安定感がありました デスピーナを歌った大塩麻乃は優れた歌唱力に加え、コケティッシュな役柄がピッタリで、チャーミングでした ドン・アルフォンゾを歌った中尾奎五は声が良く通るバスで老獪な哲学者を見事に歌い演じました

演出では、第1幕は中央にビリヤードの台が置かれているだけで、シーンに応じてステージ左右に「ドラえもんの”どこでもドア”」が現れる、といった極めてシンプルな舞台で、反って好感が持てました 全体を振り返ってみると、「コシ・ファン・トゥッテ」には余計な演出も舞台装置もいらない、まさにアンサンブルがしっかりしていればオペラが成り立つということを証明してくれたような公演でした 高関健 ✕ 藝大フィルハーモニア管弦楽団の小気味の良いメリハリの効いた演奏が、歌手陣のアンサンブルをしっかり支えていたことは言うまでありません

これはキャストが違う前日の公演も聴いてみたかったな、と思わせる素晴らしい公演でした カーテンコールでは出演者が満場の拍手を浴びましたが、この公演の良いところは舞台装置・照明といった”裏方さん”も紹介されることです。オペラは総合芸術。素晴らしいと思います 藝大オペラは毎年のように聴いていますが、相当レヴェルが高いです

 

     

 

休憩を含めて3時間半の公演を聴き終わって、外に出ると雨が降っていました ご一緒したKiriokaさんと公園近くのレストランOで、生ビールやワインを飲みながら音楽談義をして過ごしましたが、あっという間に3時間が過ぎてしまいました 結論は「オペラは楽しい」です

 

     

     

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ジョナサン・ノット ✕ 坂本彩・坂本リサ ✕ 東京交響楽団でモーツアルト「2台のピアノのための協奏曲」、シェーンベルク「SQとオケのための協奏曲」を聴く / 都響:次年度ラインナップ発表

2022年10月09日 07時02分07秒 | 日記

9日(日)。N響からファビオ・ルイージ首席指揮者就任記念として「オリジナル・チケットケース」が届きました 私はAプロとBプロの会員なので2枚入っていました。「チケットケース」は読響のもあるし、新国立劇場のもあるし、たまる一方です

 

     

 

認定NPO法人国連WFP協会からバースデーカードが送られてきました 毎月わずかながら国連WFP(国連世界食糧計画)に寄付を続けているので、誕生日が近くなった支援者に「これからもよろしく」という意味を込めて送付しているのだと思います 今後も、世界各国の飢餓から子供たちを守るため、支援を続けるつもりです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2828日目を迎え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元2世信者の20代女性が7日、日本外国特派員協会で自らの体験を語り、「両親はこれまでの40年間で1千万円以上を教会に献金、高校卒業後の2年間で稼いだアルバイト代200万円のほぼ全額を両親に没収された」とし、「被害者や子どもの権利が守られる国であってほしい」と訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     献金至上主義の組織は宗教団体ではなく 悪質商法推進団体だ 即刻解散させるべき

 

         

 

東京都交響楽団の2023年度楽季プログラムが発表されました 都響定期演奏会はAシリーズ(東京文化会館:全8回)、Bシリーズ(サントリーホール:全8回)、Cシリーズ(東京芸術劇場:全8回)、プロムナードコンサート(サントリーホール:全5回)があります 詳細は都響HPをご覧いただきたいと思います

私が個人的に面白いと思うのは、シリーズ別に次の公演です

Aシリーズでは①9月3日のゲッツェル指揮ラドゥロヴィチ(Vn)によるチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、同「交響曲第5番」、②10月30日のオスモ・ヴァンスカ指揮によるシベリウス「交響曲第5、第6、第7番」

Bシリーズでは、①4月13日の大野和士指揮によるマーラー「交響曲第7番」、②6月26日のミンコフスキ指揮によるブルックナー「交響曲第5番」、③9月8日のゲッツェル指揮ラドゥロヴィチ(Vn)によるベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、コルンゴルト「シンフォニエッタ」、④12月19日のアント二・ヴィト指揮反田恭平(P)によるラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」他、⑤2月16日のエリアフ・インバル指揮によるショスタコーヴィチ「交響曲第9番」他

Cシリーズでは①10月14日の大野和士指揮イザベル・ファウスト(Vn)によるシューマン「ヴァイオリン協奏曲」他、②2月22日のエリアフ・インバル指揮によるマーラー「交響曲第10番」(クック補筆版)

現在私はBシリーズの会員ですが、上記のラインナップを見る限りBシリーズを継続することになりそうです

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「第51回モーツアルト・マチネ」を聴きました プログラムは①シェーンベルク「弦楽四重奏とオーケストラのための協奏曲 変ロ長調」、②モーツアルト「2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365」です   演奏は①のヴァイオリン=小林壱成、服部亜矢子、ヴィオラ=武生直子、チェロ=伊藤文嗣、②のピアノ・デュオ=坂本彩・坂本リサ、管弦楽=東京交響楽団、指揮=ジョナサン・ノットです

 

     

 

1曲目はシェーンベルク「弦楽四重奏とオーケストラのための協奏曲 変ロ長調」です この曲はアーノルド・シェーンベルク(1874ー1951)が ヘンデル(1685ー1759)の「合奏協奏曲 作品6-7」を1933年に編曲し、翌1934年9月にプラハで初演した作品です 第1楽章「ラルゴ ~ アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ」、第4楽章「ホーンパイプ」の4楽章から成ります

オケは10型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置 その手前に弦楽四重奏を演奏する小林、伊藤、武生、服部が並びます   コンマスは水谷晃、その隣は来月から楽団長専任となるアシスタント・コンマスの廣岡克隆がスタンバイします

ジョナサン・ノットの指揮で演奏に入ります 聴いていると、なるほどメロディーラインはヘンデルそのもので、その上に技巧が凝らされています とくに第1楽章の弦楽四重奏セクションによるカデンツァは各楽器の様々な技巧が凝らされており、首席クラスの腕の見せ所です 管楽器が加わる部分では20世紀の響きを感じさせました

 

     

 

2曲目はモーツアルト「2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が姉ナンネルと自身のために1779年に作曲したと言われています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

蓋を外した2台のピアノがセンターに運ばれ、縦に並べて配置されます ピアニストは(向かい合わせではなく)客席の方に向いて並んで演奏します ノットは2台のピアノに挟まれる形となり若干窮屈そうです

ピアノ・デュオの坂本姉妹(坂本彩・リサ)は第70回ミュンヘン国際音楽コンクール・ピアノデュオ部門で日本人初の第3位及び聴取賞を受賞 第7回国際ピアノコンペティション、第21回シューベルト国際ピアノデュオコンクール第1位の入賞歴があります

ノットの指揮で演奏に入ります 最初にオーケストラにより明るく溌溂とした演奏が繰り広げられ、2台のピアノが入ってきます 2人のピアノの一音一音の粒立ちがとても美しく、掛け合いが見事です 第2楽章では、2台のピアノの抒情的な演奏が素晴らしく、荒木奏美のオーボエが華を添えます 第3楽章に入ると、モーツアルト特有の愉悦感に満ちた演奏が展開、華やかなフィナーレを飾りました

モーツアルトのピアノ協奏曲はどれも好きですが、「2台のピアノのための協奏曲」は滅多に演奏される機会がないので、今回は貴重な体験でした。2人のソリスト、オーケストラとも素晴らしく、気分良く会場を後にしました

 

     

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ロマン・ポランスキー監督「オフィサー・アンド・スパイ」を観る ~ スパイ容疑で逮捕されたユダヤ人陸軍大尉の「ドレフュス事件」の真相を描いた作品 / 手術・入院から1年

2022年10月08日 07時00分28秒 | 日記

8日(土)。「初めてのお使い」ならぬ「初めての救急搬送」から今日でちょうど1年が経ちました 2021年10月8日(金)午後4時過ぎ、新日本フィルの「クラシックへの扉」公演を聴き終わり、JR錦糸町駅近くのアルカキットの外階段を降りる時、足を踏み外して踊り場まで転げ落ちました 幸いコンサート帰りの人たちがいて、血が出ている頭をハンカチで押さえてくれたり、119番通報してくれたりして本当にラッキーでした 救急車で東京曳舟病院に搬送され(人生初体験!)、コロナのPCR検査の後、右頭頂部を5針縫う手術を受け、「外傷性くも膜下出血・頭蓋内に達する解放創」という傷病により、結果的に16日(土)までの9日間入院しました 頭を打ったとはいえ意識ははっきりしており、同時に打っていた胸と腰の方が辛いのが実情でした 入院に際して真っ先に考えたのは「何があってもブログを止めない」ということです 2011年2月15日にブログを開設して以来、記事をアップできなかったのは身内の葬儀の3日間だけです。これを途中で止めるわけにはいかない 娘に連絡してスマホの充電器を持ってくるように頼み、スマホでブログを書いて投稿する(普段はパソコンで書いている)ことにしました 充電器のお陰で手術の日も入院中も欠かさずブログをアップすることが出来ました 当時のブログを見ると、3度の食事を写真付きで紹介したり、リハビリのことを書いたり、近くの東京スカイツリーを撮った写真をアップしたりしていて、今となっては懐かしい思い出です   皆さんも階段を降りる時は、手すりの近くを足元を見てゆっくりと降りるようにしてください 打ち所が悪いと 文字通り「注意一秒 怪我一生」になります お互いに気をつけましょう

【下の写真は、入院中に病室から撮った東京スカイツリーと東武線・曳舟駅ホームです】

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2827日目を迎え、ロシアのプーチン大統領が9月21日に部分動員令を出して以降、国内各地の地方政府は動員ノルマ達成に躍起になっており、極東やシベリアなど所得水準が比較的低い地域では、召集に応じた男性の家族に食料や生活物資を支給し支援をアピールしている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     いくら家族に食料や生活物資を支給しても  本人が戦死したら元も子もないだろう

 

         

 

娘が職場の同僚から「馬肉」を仕入れてきたので、「ユッケ」を作りました あとは「生野菜とタコのサラダ」と「小海老の中華スープ」です🐙 ユッケは味付けが上手くいきました

 

     

 

         

 

ギンレイホールでロマン・ポランスキー監督による2019年製作フランス・イタリア合作映画「オフィサー・アンド・スパイ」(131分)を観ました

1894年、ユダヤ系のフランス陸軍大尉ドレフュス(ルイ・ガレル)が、ドイツに軍事機密を漏洩したスパイ容疑で終身刑を言い渡される 対敵情報活動を率いるピカール中尉(ジャン・デュジャルダン)はドレフュスの無実を示す証拠を発見し上官に対処するよう迫るが、隠ぺいを図ろうとする上層部から左遷を命じられてしまう ピカールは作家ゾラらに支援を求め、腐敗した権力や反ユダヤ勢力との過酷な闘いに身を投じていく

 

     

 

本作は、19世紀フランスで実際に起きた冤罪事件「ドレフュス事件」を映画化した歴史サスペンス映画です 作家ロバート・ハリスの同名小説を原作に、権力に立ち向かった男の不屈の闘いと逆転劇を壮大なスケールで描き、2019年・第76回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞しました

この映画を観るまで、作家エミール・ゾラがこの事件に関わっていたとはちっとも知りませんでした ピカール中尉が立場上、直接的に冤罪を告発することが出来ないことを知ったゾラが、「(知名度のある)私ならできる」として新聞に事件のもみ消しを図った軍の上層部を告発したのです しかし、彼はユダヤ人を守ったとして批判されます 事件が解決した後、ゾラの名誉も回復しますが、いくら知名度がある作家であるとは言え、告発は相当勇気のいる行為だったと思います

この事件は、知り得た事実をなかったことにして保身に走ることを拒否し、最後まで真実を事実として貫き通し、一人のユダヤ人の名誉を回復した”信念の人”の闘いの物語です

日本でも”事件のもみ消し”が図られた「もり・かけ・さくら」問題がありましたが、多くの国民はいまだに納得していません 最近の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る国会議員の言動や態度を報道で見る限り、「不都合なことは隠す」あるいは「なかったことにする」体質を受け継いだ政権が日本の政治を担っています 野党は野党でバラバラで、どこを向いて政治活動をしているのか、と言いたくなる頼りなさです ピカール中尉のような”ブレない”信念の人が何人かいたら、日本も少しは良くなると思うのですが

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グレン・グールド ~ NHK Eテレ / リュ・スンワン監督「モガディシュ 脱出までの14日間」を観る ~ ソマリアの内戦に巻き込まれた南北朝鮮大使館員の国外脱出劇

2022年10月07日 07時04分55秒 | 日記

7日(金)。昨日は寒かったですね 気象情報では11月下旬並みの寒さと言っていました 今秋初めてジャケットを着て外出しましたが、それでも寒さを感じました

高校時代の晩秋の頃、英語の老教師が黒板に下の文章を書いて日本語に訳せと問題を出しました

You  might  on  made today's some fish.

皆さん、これがまともな問題でないことは解りますね どこかの誰かのブログのように支離滅裂です 深く考えるまでもなく、答えは次の通りです

言うまいと思えど今日の寒さかな

その日以来、生徒たちはその老教師をまともに相手にしなくなりました

ということで、わが家に来てから今日で2826日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は5日、ウクライナ南部のザポロジェ原子力発電所をロシア政府の管轄下に置くように命じる大統領令に署名した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ゼレンスキー大統領が プーチンの主張は認めないという大統領令に署名すればどう

 

         

 

昨日、夕食に「ナスと鶏肉の炒め物」「生野菜とツナのサラダ」「もやしの味噌汁」を作りました   パプリカを使う料理は彩りがきれいでいいですね

 

     

 

         

 

昨日午後9時からNHK・Eテレで「伝説のピアニスト  グレン・グールド」を放映していました 今年はカナダのピアニスト、グレン・グールドが生誕90年・没後40年を迎えることから取り上げられたものです 低い椅子に座って背中を丸め鼻歌を歌いながら鍵盤に近づけて弾く独特の演奏スタイル、ポリフォニーを追求するためバッハやベートーヴェンの譜面も書き換えてしまう型破りなアプローチ、若くしてコンサート活動から退きレコード録音だけに集中し、その結果 レコード録音を芸術にまで高めた功績 etc・・・一言で言えば、クラシック音楽界に革命を起こしたトリックスターと言えます   グレン・グールドと言えばバッハ「ゴルトベルク変奏曲」です グールドはこの作品を2度録音しています   1枚目は1955年録音(モノラル)のデビュー・レコードです

 

     

 

もう1枚はデビューから27年後の1982年録音(ステレオ)のレコードです テンポからして全く違います。これを機に、あらためて聴き比べてみようかと思います

 

     

 

         

 

ギンレイホールでリュ・スンワン監督による2021年製作韓国映画「モガディシュ 脱出までの14日間」(121分)を観ました

2年前にソウル五輪を成功させた韓国は1990年、国連加盟を目指して多数の投票権を持つアフリカ諸国でロビー活動を展開していた ソマリアの首都モガディシュに駐在する韓国大使ハンも、ソマリア政府上層部の支持を取り付けようと奔走していた 一方、韓国に先んじてアフリカ諸国との外交を始めていた北朝鮮も同じく国連加盟を目指しており、両国間の妨害工作や情報操作はエスカレートしていった そんな中、ソマリアで内戦が勃発する 各国の大使館は略奪や焼き討ちに遭い、外国人にも命の危険が迫る 大使館を追われた北朝鮮のリム大使は、職員と家族たちを連れ、絶対に相いれない韓国大使館へ助けを求めることを決意する

 

     

     

「モガディシュ」の公式サイトによると、この映画は事実の基づくもので、最近になってようやく事件の顛末が公表されて、知られざる事実が明らかになり、映画化が実現したとのことです 2021年7月に韓国で公開されると、コロナ禍にも関わらず多くの観客が押し寄せ、同年度の韓国映画No.1の大ヒットとなったそうです

韓国のハン大使も北朝鮮のリム大使も、「政治」よりもそれぞれの大使館員とその家族の「命」を優先させ、現地の責任者として苦渋の選択をして共に国外脱出を成功させたのです これはいつの時代にも共通する、リーダーとして取るべき態度だと思います

この映画を観終わって思ったのは、北朝鮮の大使館員が韓国の大使館に助けを求めたからこそ映画化されたのであって、これが逆だったら韓国で映画化は実現しなかっただろうということです

もし、この映画を、金正恩王朝の支配下にある北朝鮮の国民が観たらどういう感想を持つだろうか? アメリカ帝国主義に毒された南朝鮮のプロパガンダに過ぎない、とでも考えるだろうか それ以前に、北朝鮮で韓国の映画を観る機会は皆無だろうと考えると虚しさを覚えます

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中山七里著「帝都地下鉄迷宮」を読む ~ 東京都内の地下鉄廃駅跡に住む100人の人々の秘密とそこで起こった殺人事件を描くミステリー:お約束のどんでん返しが待っている

2022年10月06日 07時00分18秒 | 日記

6日(木)。わが家に来てから今日で2825日目を迎え、ロシアのショイグ国防相は4日、プーチン大統領が部分動員令を発令した9月21日以降「20万人以上が軍に加わった」と明らかにしたが、一方、米誌フォーブス(ロシア語版)は4日、部分動員令が出されてから約2週間でおよそ70万人が国外に出国したと伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンの犠牲になって死ぬよりも  出国して自由になった方がいいに決まってる

 

         

 

昨日、夕食に「赤魚の粕焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」を作り、「マグロとタコの刺身」とともにいただきました とても涼しかったのでビールは止めて冷酒にしましたが、同じことでした

 

     

 

         

 

中山七里著「帝都地下鉄迷宮」(PHP文芸文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年1月デビュー それ以降、「中山七里は7人いる」と言われるほど多くの作品を発表し続けています

本書は2020年3月にPHP研究所から刊行された単行本を、加筆・修正して文庫化したものです この年は中山七里氏が作家生活10周年記念として12か月連続刊行キャンペーンを展開し、12の出版社から年間12冊の新作を連続して発表し出版界を驚かせました 本作はその第2弾です

この小説のタイトルにある「地下迷宮」とは、東京23区の地下に現在もなお「廃駅」として存在する「幻の駅」「幻のホーム」を指しています 本作では旧新橋駅、銀座線萬世橋駅、博物館動物園駅(上野公園内)、旧表参道駅などが登場します

 

     

 

小日向巧は区役所の生活支援課に勤務する公務員だが、廃駅オタクとして余暇を趣味に費やしている ある夜、彼は秋葉原に出向き路面の通風孔から縄梯子で地下に降りていく。目指すは地下鉄銀座線萬世橋駅跡だ。彼は地下空間で香澄と名乗る女の子に遭遇する お互いに驚くが、案内された先には、地下で生活する100人ほどの人たちが「エクスプローラー」と自称する集落を形成して住み着いていた 驚いたことに、そこは居住スペースのほかに映画館や図書館のような機能を持った場所まで備えていた 小日向はエクスプローラーたちから「怪しい人物」と見られるが、実態を知られたことから口封じのため「特別市民」として仲間に入れられる かくして、彼は昼は区役所で働き、夜と休日は地下空間で生活することになる そして、なぜ彼らが地下空間で生活しなければならないのかを知ることになる 彼らには太陽に身を晒せない理由があった そうした中、「エクスプローラー」のメンバーの女性が突然不審な死を遂げる 彼女は正体を隠していたが、実は公安警察から派遣されたスパイで、「エクスプローラー」の行動を逐一警察に報告していたのだった いったい誰が彼女を殺したのか? 小日向は捜査一課と公安の対立が絡んだ大事件に巻き込まれていく

医師で地下に降りて「エクスプローラー」の人たちを助けている間宮の説明によると、彼らは「色素性乾皮症」という症例の人たちで、これは、紫外線による損傷を修復するためのタンパク質が不足していることから、露光部の皮膚にシミが生じ、乾燥し、やがて癌が発症するというものです 彼らは高速増殖炉で発生した臨界事故のあった地域からこの地に移ってきたのだということも明らかになります

犯人が逮捕され、ああやっぱりあの人が犯人だったのね、と思いきや、そこは中山七里です 最後の最後にどんでん返しが待っています

ところで、4日の北朝鮮のミサイル発射関連で、5日の朝日朝刊に「避難場所  地下鉄駅指定進む」という記事が載っていました 記事の概要は次の通りです

「ミサイル攻撃などに備えた一時的な避難場所の一つとして、自治体が地下鉄の駅舎を指定する動きが進んでいる 国民保護法は有事に備えて都道府県知事や政令指定都市長に対し、避難施設を指定するよう義務付ける。今年6月1日時点で指定されている地下鉄の駅舎は409か所。ロシアによるウクライナ侵攻前日の2月23日時点は142か所だったため、ウクライナ侵攻を機に急速に増えているとみられている 東京都は5月、都営地下鉄と東京メトロの駅舎計105か所を指定した

日本に「国民保護法」という法律があるとは不覚にも知りませんでした 避難場所が地下鉄駅舎に限らないとしても、東京都の場合105か所の駅舎だけではとても間に合わないでしょう いずれこの小説に出てくる「廃駅」も避難場所として狙われる日が来るかもしれません

それにしても年間12冊の新作を1年間書き続ける中山七里って、本当に人間なんでしょうか フリーライターの友清哲氏が「解説」を書いていますが、その中で、『本の旅人』2019年6月号に収録された中山氏の言葉を紹介しています

「来年、作家10周年で、50数作目が出ることになるのかな。いまの連載分を含めて80までは書いている それでもあと20はネタが残っているんです ところが101作目がなかなか思いつかないんです (中略)物書きになってしまったら、持続しなければだめじゃないですか 賞金をもらいました。はいさようなら、では泥棒と同じ。版元さんと読者の期待に応え続けなかったら作家ではない。作家っていうのは肩書じゃなくて状態ですから

つまり、中山七里はデビュー当時、100通りのネタを考えついていたことになります このうち2019年の時点で80作までは書き終わり、残り20作のうち10作は2020年に書き上げているのですから、あと10作はネタが残っていることになります どうやら、中山氏は普通の感覚では信じられない想像力と創作力の持ち主のようです 彼はいつ寝ているんだろう と疑問に思わざるを得ない 中山七里は本当に7人いるのかもしれません

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アピチャッポン・ウィーラセタクン監督「MEMORIA メモリア」を観る ~ ラストに登場する物体は何を意味しているのか?

2022年10月05日 07時00分38秒 | 日記

5日(水)。わが家に来てから今日で2824日目を迎え、北朝鮮が4日午前7時22分ごろ、内陸部から弾道ミサイル1発を東方向に発射、7時29分ごろに青森県付近の日本上空を通過し、7時44分ごろ、太平洋上の日本の排他的経済水域外に落下したと推定される  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金食い虫のミサイル発射実験を何度も繰り返して  国民の生活は良くなるのかね? 

 

         

 

昨日の夕食は久しぶりに「すき焼き」にしました いつも買い物をしている池袋のISPのポイントが3000ポイント貯まっていたので、利用することにしました 「塵も積もれば山となる」「ポイントが貯まればすき焼きが食える」。3000円は大きいです

 

     

 

         

 

早稲田松竹でアピチャッポン・ウィーラセタクン監督による2021年製作コロンビア・タイ・イギリス・メキシコ・フランス・カタール合作映画「MEMORIA  メモリア」(136分)を観ました

とある明け方、ジェシカ(ティルダ・スウィントン)は大きな爆発音で目を覚ます それ以来、彼女は自分しか聞こえない爆発音に悩まされ不眠症を患うようになる 妹を見舞った病院で知り合った考古学者アグネス(カレン・ホランド)と親しくなる。アグネスは建設中のトンネルから発見された人骨を研究する考古学者だった。ジェシカは人骨の発掘現場近くの町を訪れ、そこで魚の鱗取り職人エルナン(エルキン・ディアス)と出会い、川の畔で記憶について語り合う そして1日の終わりに、ジェシカは不思議な感覚に襲われる

 

     

 

アピチャッポン・ウィーラセタクンと言えば「ブンミおじさんの森」でタイ国史上初のカンヌ映画祭「パルムドール」を受賞した監督です 監督自身が患った「頭内爆発音症候群」から着想を得た作品で、南米コロンビアを舞台に物語が展開します

この映画の特徴は長回しによる撮影でストーリーがなかなか前に進まないことです タル・ベーラ監督による7時間18分の超長編「サタンタンゴ」には遠く及ばないものの、なかなか切り替わらない映像にちょっとイラっときます 時間の流れの速い現代人のサガでしょう 全体的に静かな映画で、それだけに突然発せられる爆発音が強く印象に残ります

本作には記憶に関する興味深い話がいくつか出てきます 魚の鱗取り職人エルナンがジェシカに語る「自分は村を出たことがない。すべてを記憶するから、眼に入るものを制限している。だからテレビや映画は観ない」「物は過去を記憶している。この石も記憶している」「俺たちは夢は見ない」という発言です。このうち「物は過去を記憶している」というのは、「すべての物には霊魂が宿る」とする「アニミズム」に繋がる考え方です

この映画で全く理解不能なのはラストシーンです 大きな爆発音がしたかと思うと、大きな魚のような形をしたUFOらしき物体が丸い煙の輪を残して山を越え空の彼方に去っていきます

いきなりの SF的な展開に面喰いましたが、あの物体は何を意味しているのだろうか・・「いったい地下鉄はどこから入れるんでしょうねぇ? 考え始めると夜も眠れない」と同じような感覚です ジェシカは不可解な音で眠れなくなりましたが、私は不思議な映像で眠れなくなりました ブンミおじさんに教えてほしいと思います

 

     

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レオス・カラックス監督「アネット」を観る ~ ロック・オペラ・ミュージカル ~ アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール共演による「ロック・オペラ・ミュージカル」

2022年10月04日 07時00分20秒 | 日記

4日(火)。わが家に来てから今日で2823日目を迎え、参議院の石井準一議院運営委員長は3日、NHK党のガーシー(本名・東谷義和)議員に帰国と国会出席を求める文書を同党の浜田聡政調会長に渡した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     誰だよこんな無責任な奴を国会議員に当選させたのは! 議員報酬は払う必要ないな

 

         

 

昨日、夕食に「アスパラの豚肉巻焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「白舞茸の味噌汁」を作りました 「アスパラ~」は細身のものが安く売っていたので、熱を通しやすいと思い使うことにしました 久しぶりに作りましたが美味しくできました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でレオス・カラックス監督による2021年フランス・ドイツ・ベルギー・日本共同製作映画「アネット」(2時間20分)を観ました

コメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)はキャリアの低迷に悩まされていた そんなある日、ヘンリーはオペラ界のスター歌手、アン(マリオン・コティヤール)と恋に落ち そのまま結婚した    ヘンリーのキャリアは結婚後も落ち目になる一方で、自分以上の成功を収めるアンに嫉妬心を募らせていった やがて2人の間に娘アネット(デビン・マクドウェル)が生まれた アネットには母親譲りの歌の才能があり、ヘンリーはその才能を磨くことに存在意義を見い出すようになった しかし、娘を通したヘンリーの自己実現は徐々に狂気を孕み始める

 

     

 

本作は、ロン&ラッセル・メイル兄弟によるポップバンド「スパークス」がストーリー仕立てのスタジオアルバムとして構築していた物語を原案に、映画全編を歌で語り、全ての歌をライブで収録したものです スタンダップコメディアンのヘンリーと一流オペラ歌手のアン、その2人の間に生まれたアネットが繰り広げるダークなおとぎ話を、カラックス監督ならではの映像表現で描き出した「ロック・オペラ・ミュージカル」です

赤ん坊時代のアネットはマペット(人形)に演じさせていますが、少し成長して少女になると、デビン・マクドウェルが演じます 殺人罪で牢獄に入れられたヘンリーに面会に来たアネットが、「パパもママも私の歌の才能を利用して金儲けをした。絶対に許さない」と非難し、「パパはそこにいたら何もできないね。殺人もできない・・・これはジョークよ」と言うシーンには笑ってしまいました アネットは母親からは歌の才能を、父親からはコメディアンの才能を譲り受けていた、というわけです

映画の中で歌われる数々のミュージックナンバーは、いずれもアダム・ドライバー、マリオン・コティヤールたちが歌っていますが、良い曲ばかりです

映画は室内から屋外へと世界が広がっていき、歌う舞台が次々と変わっていきます 一瞬先は闇で、次はどうなるか予想もつきません それだけに刺激的です

それにしても、アダム・ドライバーは何でもこなす ゾンビ・バスターズになったかと思えば、バスのドライバーになるし、中世の騎士を演じたかと思えば、コメディアンに変身する まさに、オールラウンドプレーヤーですね

映画の冒頭、「この映画は、息をしながら観てはいけません。息を止めてご覧ください」というテロップが流れますが、本気にしたら死んでしまいます 映画は主体性を持って観ましょう

 

     

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新国立オペラ、ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」を観る ~ 本公演に限りタイトルを「クレオパトラ」にした方が良いかも:ヒロインを歌った森谷真理にブラボー!

2022年10月03日 07時03分22秒 | 日記

3日(月)。わが家に来てから今日で2822日目を迎え、ロシア外務省は28日、第二次世界大戦をテーマにした学術会議をモスクワで開き、ラブロフ外相が「日本の軍国主義の犯罪を忘れるな」などとするメッセージで日本を批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     主権国家ウクライナに侵略し 殺人・破壊行為を繰り返したロシアの犯罪を忘れるな

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」でヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」を観ました 本公演は当初、2020年4月に上演される予定でしたが、新型コロナ禍の影響で中止となり、この日まで延期されていたものです この日やっと2年半ぶりに初日公演を迎えました そのためか、会場はほぼ満席状態です

キャストはジュリオ・チェーザレ=マリアンネ・ペアーテ・キーランド、クレオパトラ=森谷真理、トロメーオ=藤木大地、コルネーリア=加納悦子、セスト=金子美香、アキッラ=ヴィタリ・ユシュマノフ、ニレーノ=村松稔之、クーリオ=駒田敏章。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=リナルド・アレッサンドリー二、演出=ロラン・ぺリです

 

     

 

「ジュリオ・チェーザレ」はゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685ー1759)が1723年に作曲、1724年にロンドンのキングス劇場で初演されたオペラです 「ジュリオ・チェーザレ」とはジュリアス・シーザーのことです

ローマの将軍チェーザレは政敵ポンペーオを追ってエジプトに入るが、ポンペーオはエジプト王トロメーオに殺されていた ポンペーオの妻コルネーリアとその息子セストは復讐を誓うが、やがてトロメーオに捕らえられる トロメーオの姉クレオパトラは弟から王座を奪うべく、チェーザレに近づく トロメーオの側近アキッラに追われたチェーザレは、海に飛び込み逃走する 弟に捕らえられたクレオパトラをチェーザレが助け出し、トロメーオはセストに殺される。チェーザレはクレオパトラに王冠を与える

 

     

 

【注】ここからは、演出に関わる記述がありますので、これから本番をご覧になる方で、先入観なしに鑑賞したいという方は読まないようにしてください。

ロラン・ぺリの演出は、舞台をエジプトの古代文明博物館の収蔵庫という設定にしています 巨大な彫像や絵画が次々と登場します

バロック音楽の第一人者と言われるイタリア出身のリナルド・アレッサンドリー二の指揮で軽快な序曲の演奏に入ります オーケストラピットを見ると、上手にリュートの親分のようなテオルボ(低音のリュート)が2台スタンバイし存在感を示しています フルートはその音色から古楽器の「フラウト・トラヴェルソ」と思われます 弦楽器はノンヴィブラートで歯切れの良い古楽奏法で演奏します

バロック・オペラは、語りや対話でストーリーを伝えるレチタティーヴォと感情を歌うアリアが交代で進みます また、同じフレーズを繰り返す「ダカーポ・アリア」が歌われます 歌手はダカーポ(頭に戻る)したときは装飾を加えて技巧を凝らして歌います そして、歌手はアリアを歌った後は退場します これらは当時のオペラのルールだったそうです。本公演でも、このルールに従った演出により物語が進行します

 

     

 

歌手陣は総じて優れたパフォーマンスを発揮しましたが、中でも歌唱力・演技力ともにずば抜けて素晴らしかったはクレオパトラを歌い演じた森谷真理です ソプラノですが、どちらかと言うとメゾに近いソプラノで、独特の艶のある声質で魅力があります 全3幕を通して数々の技巧的なアリアが歌われますが、アジリタやコロラトゥーラを含めて美しい声により完璧に歌い上げていました この公演に限って言えば、タイトルは「ジュリオ・チェーザレ」ではなく「クレオパトラ」にすべきだと思えるほど圧倒的な存在感を示していました

主役のジュリオ・チェーザレを歌い演じたマリアンネ・ペアーテ・キーランドはノルウェー出身のメゾソプラノです。魅力のある美しい声で歌唱力もありますが、今回は完全に森谷真理に食われていました 本人のせいではありません

トロメーオを歌い演じたカウンターテナーの藤木大地は、この演出ではコメディータッチの役割を負わされていて、新鮮に感じました 歌唱力は申し分なく演技もぺリの演出に適ったもので存在感を示しました

コルネーリアを歌い演じた加納悦子は、夫を失った心情を切々と歌い上げ、ベテランの味を発揮しました

セストを歌い演じた金子美香は、父親を殺された復讐の決意を力強く歌い上げました

アキッラを歌い演じたヴィタリ・ユシュマノフはサンクトペテルブルク出身のバリトンですが、コルネーリアに対するストーカー的な愛情と、主人トロメーオの裏切りに対する怒りを迫力ある歌唱と演技で表現しました

ニレーノを歌い演じた村松稔之を始めて聴いたのは2017年の三枝成彰「狂おしき真夏の一日」ユウキ役でしたが、その当時から将来性を買っていました 今回もクレオパトラの従者ニレーノを持ち前の力強くも美しいカウンターテナーで歌い上げました 演技力もあり、これから世界に向けて進出していくと確信します

チェーザレの腹心クーリオを歌い演じた駒田敏章は声が良く通るバリトンです

リナルド・アレッサンドリー二指揮東京フィルは歌手に寄り添いながら、時に自らチェーザレの、あるいはクレオパトラの心情をメリハリのある演奏で歌い上げていました

 

     

 

「ジュリオ・チェーザレ」はオペラセリア(正歌劇)ですが、ロラン・ぺリの演出はユーモアに富んでいて飽きさせません

第1幕冒頭のシーンでは、雁首だと思っていた彫像の口が開いて、歌手のアリアに合わせて歌い出してビックリしました あれは本物の人間にメイクをして首から下を隠しているのだろうか、それとも人形の口をポンプで空気を入れることによって動かしているのだろうか、などと考えてしまいました また、アキッラがポンペーオのクビを持ってきてチェーザレに見せるシーンでは、1メートルもありそうな彫像の頭の部分が運ばれてきて驚きました 第2幕では、チェーザレがアリアを歌っている最中に、背後にヘンデルと思わしき肖像画が現れ、振り返ったチェーザレとニレーノが「何か変デル」と言いたげにするシーンが笑いを誘いました また、クレオパトラが大きな絵画の額縁の中に入り込んでアリアを歌うシーンは、とても美しく”絵”になりました 第3幕では、トロメーオとクレオパトラを騎馬戦の馬(人間)に乗せて登場させ、意表を突きました このほかにも、観衆を飽きさせない”仕掛け”が随所に施されていて、ストーリーがテンポ良く進みます これが2流の演出家の演出だったら絶対に飽きます ロラン・ぺリは「オペラ・セリア」の世界に「オペラ・ブッファ」の要素を取り入れて極上のエンターテインメントに仕上げたと言えます

満場の拍手のなか、カーテンコールが繰り返されます 午後2時に開演した本公演が終演したのは午後6時半を過ぎていました 長丁場のオペラ公演でしたが、まったく長いとは感じませんでした かくして初日公演は大成功裏に終了したと言っても良いでしょう

 

     

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小林愛実 ✕ トリトン晴れた海のオーケストラでモーツアルト「ピアノ協奏曲第9番”ジュノム”」「交響曲第36番”リンツ”」、ベートーヴェン「大フーガ」を聴く / 翔んで埼玉

2022年10月02日 07時04分41秒 | 日記

2日(日)。今朝、ブログのアクセス数をチェックしたら3199ページビューと近年にない高い数値だったので、gooブログ「アクセス分析」をチェックしたら、トップページに次いで2019年5月14日付のブログで紹介した「翔んで埼玉」が2位につけていました 「なんでやねん?・・・もしや・・・」と思って、昨日の新聞のラテ欄をチェックしたら昨夜9時からフジテレビの「土曜プレミアム」という番組で「翔んで埼玉」の完全ノーカット版を放映していることが分かりました この番組を観るにあたって、どういう内容の映画なのかを知るために多くの人が検索したようです ブログの最新のアクセス数は、前日の記事だけでなく過去の記事も含めた総合計だということをあらためて認識しました

ということで、わが家に来てから今日で2821日目を迎え、「燃える闘魂」のうたい文句で人気を集めた元プロレスラーでスポーツ平和党党首や参院議員を務めたアントニオ猪木(本名・猪木寛至)さんが1日午前7時40分、心不全のため自宅で死去した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     元気ですかーっ! プーチンに闘魂壊滅ビンタを! あんときのいのきカムバック!!

 

         

 

昨日午後2時から、晴海の第一生命ホールで「トリトン晴れた海のオーケストラ  第11回演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「大フーガ 変ロ長調 作品133」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271 ”ジュノム”」、③同「交響曲第36番 ハ長調 K.425 ”リンツ”」です 演奏は②のピアノ独奏=小林愛実、コンマス=矢部達哉です

当初、午後2時からの昼公演のみの予定でしたが、小林愛実さんがショパン・コンクールで4位入賞したことを受けて、チケットはソルドアウトとなり、急きょ夜公演が追加されました

自席は1階15列13番、センターブロック左通路側です。会場は文字通り満席です

「トリトン晴れた海のオーケストラ」は都響コンマスの矢部達哉をリーダーとして、都響メンバーを中心に組織された指揮者なしの演奏集団です この日の出演者は都響16名、東響3名、読響、N響各2名、その他6名、合計29名の布陣です 「その他」の中にはN響元首席チェロ奏者・向山佳絵子、葵トリオのヴァイオリン奏者・小川響子といった著名なソリストが含まれています

 

     

 

1曲目はベートーヴェン「大フーガ 変ロ長調 作品133」(弦楽オーケストラ版)です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1825年に作曲した「弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130」の第6楽章として作曲したものを、当時の聴衆には理解されなかったことを受け、後に「大フーガ」(作品133)として独立して出版したものです

弦楽奏者が配置に着きます コンマス矢部氏の隣は東響コンマスの水谷晃です。第2ヴァイオリンのトップは都響・双紙と小川響子が、チェロのトップは向山、都響・森山が、ヴィオラのトップは篠崎、村田(共に都響)が並び、コントラバスは都響・池松宏、東響・ローズブームが控えています

女性陣はカラフルな衣装で登場しますが、ブルーか白系統のドレスで統一しています 「海のオーケストラ」ですから、海の青と波の白を象徴していることは言うまでもありません

矢部達哉のリードで「大フーガ」の演奏に入ります 4人だけでも合わせるのが大変だと思いますが、20人の弦楽奏者は緻密なアンサンブルで切れ味鋭い演奏を展開します 矢部氏の強いリーダーシップを感じさせる集中力に満ちた素晴らしい演奏でした

ピアノがセンターに運ばれ、ホルンの西條貴人と五十畑勉(共に都響)、オーボエの荒木奏美(東響)と池田昭子(N響)が加わります

2曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271 ”ジュノム”」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1777年1月に作曲しました 腰懸澤麻衣さんの「プログラムノート」によると、「この作品は長らく、当時ザルツブルクを訪れたフランス人ピアニスト『ジュノム嬢』のために作曲されたと言われてきたが、21世紀に入り、謎の女性『ジュノム嬢』が実は、モーツアルトと親交のあった舞踏家の娘『ルイーズ・ヴィクトワール・ジュナミ』だったことが判明した」とのことです 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「ロンド:プレスト」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の小林愛実は2021年10月の「第18回ショパン国際ピアノコンクール」で第4位入賞を果たしています 現在、フィラデルフィア・カーティス音楽院で、マンチェ・リュウ教授に師事し研鑽を積んでいます

小林愛実が純白のドレスで登場、ピアノに向かいます 矢部のリードで第1楽章に入ります すぐにピアノ・ソロが入りますが一音一音の粒立ちが綺麗です 音楽は流麗に流れ美しく響きます 小林はメロディーを口ずさみながらピアノを弾き、右手だけで弾くときは左手を宙に浮かせて拍子をとります これは彼女の癖なのかもしれません 第2楽章はモーツアルトの協奏曲では初めての短調(ハ短調)の緩徐楽章ですが、小林の演奏は、澄み切った青空を見上げた時に感じる”そこはかとない哀しさ”を表現しているように思いました カデンツァはモーツアルトのモノローグのように響きました 第3楽章はピアノ・ソロの演奏が多いのですが、小林は緩急自在にドラマティックに演奏、まるで後期のコンチェルトのような「大曲」に感じさせました

鳴りやまない拍手に小林は、ショパン「24の前奏曲 作品28」より「第17番 変イ長調」を詩情豊かに演奏、再び満場の拍手を浴びました

 

     

 

プログラム前半の布陣にファゴットの岡本正之(都響)、岩佐雅美(読響)、トランペットの高橋敦、中山隆崇(共に都響)、ティンパニの岡田全弘(読響)が加わります

後半はモーツアルト「交響曲第36番 ハ長調 K.425 ”リンツ”」です この曲はコンスタンツェと結婚したモーツアルトがザルツブルクに帰郷する途中に寄ったリンツで、1783年にわずか4~5日で作曲したと言われています 楽譜に音符を書くだけでも4~5日はかかると思いますが、天才モーツアルトは頭に浮かぶメロディーをそのまま楽譜に書き写すだけで良かったのかもしれません モーツアルトは本当に人間だったのか とマジで疑問に思います 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・スピリトーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

矢部達哉のリードで演奏に入ります   この曲でも一糸乱れぬ緻密なアンサンブルが展開します    指揮者なしでこれだけの演奏が出来るのか と驚きを禁じ得ません   矢部の隣に都響・渡邊ゆづきが移り、東響コンマス・水谷晃が矢部の後ろに移っていますが、見ていて面白かったのは、水谷が「オレがこのオケを仕切ったる」とばかりにオーバーアクションで弾いていたことです コンマスのサガでしょうか 演奏で一番印象に残ったのは第3楽章「メヌエット」です 中盤のトリオでオーボエとファゴットの二重奏が演奏されますが、荒木奏美のオーボエと岡本正之のファゴットのデュオが素晴らしかった メヌエット楽章におけるトリオと言えば、モーツアルト「交響曲第39番 K.543」の第3楽章のトリオの名旋律を思い出しますが、この「リンツ」のトリオも素晴らしい 第4楽章は軽快な演奏で駆け抜けました

この日のコンサートは小林愛実さんのモーツアルトが聴けたのが最大の喜びでしたが、「大フーガ」と「リンツ」における緻密なアンサンブルも忘れがたい 素晴らしい公演でした

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