![屋根をかける人 (角川文庫) by [門井 慶喜]](https://m.media-amazon.com/images/I/51HA-KEKSuL.jpg)
門井 慶喜 (著)
明治末期にキリスト教布教のために来日したアメリカ人建築家、メレル・ヴォーリズ。彼は日本人として生きることを選び、 終戦後、昭和天皇を守るために戦った――。彼を突き動かした「日本」への思いとは。
内容(「BOOK」データベースより)
明治38年に来日し、建築家・実業家として活躍したW.M.ヴォーリズ。
彼は日米開戦の前夜、日本に留まり帰化することを選んだ。そこには華族の身分を捨てて結婚してくれた妻や、彼を温かく受け入れた近江の人々への強い想いがあった。
終戦を迎え、ヴォーリズは天皇制存続に関わる、ある重要な政治的局面に関わることに―。“ふたつの祖国”を持つ彼ゆえに成し得た、戦後日本のための決断とは。俊英による感動の歴史長編。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
門井/慶喜
1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。08年『人形の部屋』で、09年『パラドックス実践』で日本推理作家協会賞候補、15年には『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年には『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補になる。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。08年『人形の部屋』で、09年『パラドックス実践』で日本推理作家協会賞候補、15年には『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年には『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補になる。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
山の上ホテル(東京・お茶の水)や神戸女学院キャンパスなそ、日本で1000以上もの建物を設計。
しかし、もともと建築家でも何でもなかった。
米国から、25歳のときに宣教師として明治38年(1905)来日した聖職者の資格はなかった。
人と話すのが大好きだったのだ。
もっと正確に言うなら、人に話しかけるのを恐れなかった。
青年期にある人はみな自分が「何者でもない」ことに苦しんでいると思うが、ヴォーリズの場合、その壁を突破したきつかけは会話だった。
人と話すのが大好きだったのだ。
もっと正確に言うなら、人に話しかけるのを恐れなかった。
会話からチャンスをものにした。
極論すれば、大好きな会話から資格がないの建築家になったのだ。
もっと正確に言うなら、人に話しかけるのを恐れなかった。
青年期にある人はみな自分が「何者でもない」ことに苦しんでいると思うが、ヴォーリズの場合、その壁を突破したきつかけは会話だった。
人と話すのが大好きだったのだ。
もっと正確に言うなら、人に話しかけるのを恐れなかった。
会話からチャンスをものにした。
極論すれば、大好きな会話から資格がないの建築家になったのだ。
当時の日本のキリスト教界はお金がなかった。
設計者もみつからない、そこでヴォーリズは「私がやりますよ。絵が得意だから」と引き受ける。
一度も設計の仕事などしたことがなかったのに。
普請がはじまると、自分から大工の棟梁に話しかけ教会建築の基本を教え、デザインの意図をわからせた。
何とか教会は無事に建つ。その結果、教会以外の依頼もくるようになり、設計料を取れるようになる。
明治三十八年、日露戦争がたけなわの頃、主人公のウィリアム・ヴォーリズはキリスト教の若き伝道者としてアメリカから日本に来た。日本では、滋賀県、近江八幡の商業学校の英語の教師となる。その傍ら、キリスト教を伝道するのだった。しかし、ウィリアムはそれだけの男ではなかった。子供の頃から絵が好きで、それが嵩じて建築設計に興味を持っていた。更に彼には、宗教の伝道者らしからぬ商売に対する強い思いもあった。
この本には、そのウィリアムが日本で設計や建設に携わった多くの建造物についての歴史的な洞察と、華族の身分を捨てて結婚した妻との生活などが描かれている。日本国籍を取得するために、妻と離婚してその妻の養子となるなどの思い切った策を取ったことも感銘深い。
初めて知った事実なので印象深かった。しかし、もう少し文章に磨きをかけてもらいたいと思った。表現がところどころ雑である。
この本には、そのウィリアムが日本で設計や建設に携わった多くの建造物についての歴史的な洞察と、華族の身分を捨てて結婚した妻との生活などが描かれている。日本国籍を取得するために、妻と離婚してその妻の養子となるなどの思い切った策を取ったことも感銘深い。
初めて知った事実なので印象深かった。しかし、もう少し文章に磨きをかけてもらいたいと思った。表現がところどころ雑である。
明治後期から昭和にかけて多数の西洋建築を残し、また第二次世界大戦後の天皇陛下の存命に尽力したとも言われるウイリアム・M・ヴォーリズですが、これまでまとまった伝記はほとんど無かったようです。近年、神戸女学院大学の校舎やチャペルが重要文化財に指定されるなどあらためて注目を浴びているので、なかなか良いタイミングでの出版だと思います。
YMCAからの英語教師として来日し、実のところはキリスト教の伝道師として活動するも解職され、建築業に転身。
それからは設計家としてのみならず、実業家として成功を収めていくのですが、戦争により部下も事業所も、そしてアメリカ人としてのアイデンティティも失っていくという… 小説にすればかなり読み応えのある内容になるはずなのですが、フィクションなのかノンフィクションなのか中途半端な印象が強く、もどかしさを感じてしまいます。
華族の娘であり将来にわたってお互いを支え合う妻と結婚するくだり、戦争の影で日本に帰化するくだり、そして戦後の天皇との関わり、ドラマティックなシーンがいくつかあるものの、肝心の建築事業については箇条書きみたいなところが多く、物足りない部分が少なくありません。
1905年、アメリカYMCAよりキリスト教伝道者として派遣された25歳のメレルは、近江八幡の商業学校の英語教師となった。同じ学校の日本人英語教師でクリスチャンである文次郎とともに、彼の下宿でバイブルクラスを設け盛況となるが、2年後耶蘇嫌いの校長に突然解職されてしまう。仕事も住まいもなくし貯金もない彼は、留学を取りやめ彼について行くという悦蔵とともに、宗教家として寄付を募る他に、建築家として収入を得る道を模索し始める。
伝道者でありながら建築家・実業家でもあり、戦後は「天皇を守ったアメリカ人」とも称されたウィリアム・メレル・ヴォーリズの半生を扱ったフィクション。
関心を持ったことに積極的で「何とかなります」が口癖のメレルと、彼を支える真面目な悦蔵とのコンビが快い。
「フィクション」としてはあるが、彼の生涯をかなり綿密に「紹介」してあり、そのためか特に中盤以降物語としての面白みには欠ける。
しかしながら、私自身建築の勉強をしたにも関わらず、彼のことを知らなかった(覚えていなかった?)ので、好奇心は満たされた。
文体は簡潔だが、句読点が多い傾向にあり、読書のリズムを取りにくく感じる。
内容は平易だが、宗教とそうでないものとの境界線やビジネスの現場を扱っているので、中学生以下にはわかりにくいでしょう。
伝道者でありながら建築家・実業家でもあり、戦後は「天皇を守ったアメリカ人」とも称されたウィリアム・メレル・ヴォーリズの半生を扱ったフィクション。
関心を持ったことに積極的で「何とかなります」が口癖のメレルと、彼を支える真面目な悦蔵とのコンビが快い。
「フィクション」としてはあるが、彼の生涯をかなり綿密に「紹介」してあり、そのためか特に中盤以降物語としての面白みには欠ける。
しかしながら、私自身建築の勉強をしたにも関わらず、彼のことを知らなかった(覚えていなかった?)ので、好奇心は満たされた。
文体は簡潔だが、句読点が多い傾向にあり、読書のリズムを取りにくく感じる。
内容は平易だが、宗教とそうでないものとの境界線やビジネスの現場を扱っているので、中学生以下にはわかりにくいでしょう。
幅広い事業に比して、そのひととなりや私生活などがあまり知られていなかったように思う。
門井氏の「屋根をかける人」ではヴォーリズ自身の人間味溢れる描写とともに、主人公が生きた歴史の
真実が散りばめられていてそこで成し遂げられた彼の偉業を再認識させられた。
多くの史実を丁寧に盛り込んであるが、門井氏の柔らかな文体とともにヴォーリズというフィルターを
通して心情を重ねながら読み進められるような流れがあり、くどく感じることもなく読みやすかった。
偉人をとりまく市井のひとびとの描き方も好ましく感じた。 朝ドラにでもなりそうな・・・。
歴史小説は苦手だったが、門井氏のほかの小説も読んでみようと思った。