競輪仲間の虎さんが言っていたことが思い出された。
「俺は、競輪を知り過ぎたのだ。だから、車券が当たらないんだ」
利根輪太郎は、「言わんとすることが、分かるような気持ちもした」。
皮肉なことに、元競輪選手たちの予想は、意外と的中しないのだ。
そこで、利根輪太郎は出目作戦へとシフトしていった。
例えば、「外した車券をどこまでも追い駆ける」
これは、根気と強い執念が欠かせない。
あるいは、自身のラッキーナンバーである2-7と7-2を買い続ける。
利根輪太郎は7月27日生まれであるのだ。
ある時期は、5-8を 追いかけた。
愛した女が5月8日生まれだったので、5-8-4 5-8-6を各1万円買ったのだ。
200万円を超える大穴車券の的中であり、花月園の競輪場から、タクシーに乗って彼女が勤める浅草橋の店へ向かった。
だが、競輪はそんなに甘いものではなかった。
そこで、思いついたのが、出目の下がり目、上がり目。
本命◎の人気選手のとなりが車券の軸。
本命◎が1番なら2番か9番が軸。
本命◎が2番なら1番か3番が軸。
本命◎が3番なら2番か4番が軸。
本命◎が4番なら3番か5番が軸。
これが、利根輪太郎考案の出目作戦なのだ。
結論!
ボックス車券が一番かもしれない。
本命5-1-9
結果 9-1-5
競輪には、魔物がいるのだ。
盲点があるとすれば、人気薄の9番か8番流しである。
これは、地方競馬に身を入れていた友人の若さんの出目作戦なのだ。