増え続ける救急搬送

2024年12月01日 11時43分41秒 | 医科・歯科・介護
 
総説
高齢者救急の救急搬送の増加問題とその対応策
―特に救急車の有料化について―
ジャーナル フリー

2016 年 19 巻 1 号 p. 1-6

 
 
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抄録

現在,わが国は世界最高の超高齢社会を迎えており,厚生労働省も高齢化により増加する医療費を補うために高齢者・現役世代に広く負担増を分かち合う方針を示した。2004〜2013年の高齢者救急搬送の現状を調査し,救急車の適正利用と有料化問題について検討した。65歳以上の高齢者搬送件数は,2004年には2,885件(全体の33.1%)で,2013年は3,754件(全体の41.7%)と増加しており,そのうち外来帰宅は2004年828件(28.7%)で2013年は1,523件(40.6%)と増加していた。不適正利用者は,2011年6.7%,2012年6.3%,2013年5.4%であった。外来帰宅=(イコール)軽症例=(イコール)不適正利用との見方もある。実際に外来帰宅件数(軽症例)は10年間で約1,200人増加していた。しかし過去3年間の結果では,不適正利用は高齢者搬送例の5〜6%に過ぎなかった。搬送手段では,救急車以外の代替手段を確保し,福祉制度を充実していくことが救急搬送における軽症例の減少に繋がるものと考えた。また増大する救急需要の抑制と医療費を補填する意味で,有料化は必要である。

 
 
引用文献 (22)






    • 7) 川上ちひろ, 重賢治, 杤久保修, 他: 救急車; その不適正利用とは? 救急医療ジャーナル 2007; 4: 62-5.
       

    • 8) 矢野賢一, 早川達也: 救急車搬送されたが, 帰宅となった患者群における救急車の適正利用の状況と今後の検討課題について. 日臨救急医会誌 2011; 14: 495-501.
       




    • 12) Hendrikson H: The Right Patient, The Right Place, The Right Time -A Look at Trauma and Emeregency Medical Services Policy in the States. National Conference of State Legislatures. Colorado & Washington, 2012, p1-23.
       

    • 13) 下開千春: 救急外来・搬送の受益負担; 生活者の意識と受療行動への影響. ライフデザインサポート 2010; 2: 16-27.
       

    • 14) 田中輝征, 半谷芽衣子, 松本佑史: 救急医療サービスの経済分析「公共政策の経済評価」. 事例プロジェクト 2007, p1-39.
       


    • 16) Ohshige K, Kawakami C, Kubota K, et al: A contingent valuation study of the appropriate user price for ambulance service. Acad Emerg Med 2005; 12: 932-40.
       

    • 17) 皿谷建太, 千葉智大, 小倉穂奈美, 他: 救急車の適正利用に向けて; コールトリアージを利用した有料化. ISFJ政策フォーラム2011発表論文 2011: 1-45.
       

    • 18) 林承煥: 救急搬送の公共性に関する考察; 東京都の救急業務の変遷史を中心に. 早稲田商学第440号 2014: 217-36.
       

    • 19) 内海桃絵, 南千夏, 野本愼一: 高齢者における救急車利用に関する意識調査; 京丹波町の場合. 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻紀要, 健康科学, health science 2014; 9: 34-40.
       

    • 20) 下開千春: 救急車有料化議論と適正な利用に向けて. ライフデザインサポート 2006; 3: 27-9.
       

    • 21) 生見僚太, 井須なつき, 落合美砂子,他: 救急車利用のあり方について; 所得面から考える救急車の有料化. ISFJ政策フォーラム2013発表論文 2013; 1-26.
       

 
 
 
 
 
 
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