8/13(木) 7:01配信
現代ビジネス
日本産婦人科医会の副会長・前田津紀夫氏の発言にSNSなどで批判が集まり、それと同時に「緊急避妊薬」という言葉も話題になっている。これまでもFRaUwebでは、緊急避妊薬の重要性を多くの筆者が訴えてきた。
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でも、未だに「性が乱れる」「避妊をするもしないも自己責任」といった意見が多い。多くの女性は避妊の重要性はわかっている。望まない妊娠はしたくないと思っている女性が大半だ。しかし、そんな思いがあっても苦しんでいる女性たちはいる。
今回、高校時代に受けた性被害の経験を20代の女性(桑沢まりかさん)が自身を今でも苦しめている体験について寄稿してくれた。望まない妊娠に怯えながらも、誰にも相談もできず苦しんだ日々……。その後、海外で驚くほど低価格で入手できる緊急避妊薬の存在を知り、悔しくて涙が止まらなかったという。
SNSで「緊急避妊薬」が話題になっている今だからこそ、知ってほしいと傷つく想いを綴ってくれた桑沢さんの手記から、あなたは何を感じるだろうか。
父親のように慕っていた先生が
「緊急避妊薬」……。
この言葉を聞いて私が思い出すのは、高校3年生のとき。
私は17歳からおよそ2年半に渡り、小学校時代に出会った教師から性暴力を受けていた。私が緊急避妊薬を必要としたのは、そのときのことだ。
小学生の頃から知るその教師は、単なる教師というよりも家族ぐるみの付き合いをしていて、私にとって父親同然の存在だった。また、多くの同級生がそうであったように、私も度々その教師に様々な相談をし、子供ながらに信頼していた。
そんな存在だったはずの教師の刃が向いたのは、高校2年、大学受験を頑張りたい、そう伝えたときだった。「俺がいなければ乗り切れない」「一人でお前は無理だろう」と、私の肩に手が回った。実際、師としてその教師を頼りにしていた私は、何をどうすればいいかもわからないまま、相手の言うことに従うより他なかった。
それからの日々は過酷だった……。
日々の生活を管理され、友人との時間も奪われた。気に入らないことをすると延々と怒鳴られ説教をされ、ことあるごとに「俺とお前のこの関係性は他の奴らに伝わらないだろうな」と脅されながら、もはや洗脳のような形で、私は逃げ道を失っていった。行為の間は心と感覚を殺した。解放された瞬間、勉強で友人に遅れを取らないよう、自分を呼び戻して必死に机に向かう日々だった。誰かに助けを求める余裕なんてなく、傷だらけになったからだを誰にも気づかれないように、とにかく日々を生き延びるのに必死だった。
相手は、避妊をしなかった。
「今まで散々遊んできたが、誰一人妊娠させたことはなかった」と武勇伝を語った。私の生理日も把握していた相手は、勝手に安全日と危険日をわけ、安全日は中へ、危険日は外に出した(読者のみなさんに、実質安全日はないこと、避妊は常に必要なことはぜひともお伝えしたい)。コンドームをつけるつけないは、相手の気分次第だったし、付けたとしても付け方なんて適当だった。最初は私も必死に避妊をしてほしい頼んだが、雄弁のうちに打ち棄てられ、私にできたのは心配する気持ちを麻痺させ、心を殺すことだけだった。
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