台湾で25万部突破! 台湾社会を震撼させた、実話にもとづく傑作長篇
著者は1991年生まれの女性作家。デビュー作である本書に「実話をもとにした小説である」と記したことから、著者の実体験なのではと大騒ぎとなった。刊行2か月後に著者が自殺。台湾社会を震撼させた。
文学好きな房思琪と劉怡婷は高雄の高級マンションに暮らす幼なじみ。
著者は1991年生まれの女性作家。デビュー作である本書に「実話をもとにした小説である」と記したことから、著者の実体験なのではと大騒ぎとなった。刊行2か月後に著者が自殺。台湾社会を震撼させた。
文学好きな房思琪と劉怡婷は高雄の高級マンションに暮らす幼なじみ。
美しい房思琪は、13歳のとき、下の階に住む憧れの五十代の国語教師に作文を見てあげると誘われ、部屋に行くと強姦される。
異常な愛を強いられる関係から抜け出せなくなり、房思琪の心身はしだいに壊れていく…。
房思琪が記した日記を見つけた劉怡婷は、5年に及ぶ愛と苦しみの日々の全貌を知り、ある決意をするが…。
一方、同じマンションの最上階の裕福な家庭に嫁いだ二十代の女性・伊紋の物語も同時に描かれる。
一方、同じマンションの最上階の裕福な家庭に嫁いだ二十代の女性・伊紋の物語も同時に描かれる。
伊紋は少女二人によく本を読んであげていた。
だが実は夫からのDVに悩み、少女らに文学を語ることが救いとなっていたのだ。
人も羨む高級マンションの住民たちの実情を少女の純粋で繊細な感性によって捉えることで、社会全体の構造的な問題が浮かび上がってくる。過度な学歴社会、格差社会、権力主義の背後にある大人の偽善、隠蔽体質…。
人も羨む高級マンションの住民たちの実情を少女の純粋で繊細な感性によって捉えることで、社会全体の構造的な問題が浮かび上がってくる。過度な学歴社会、格差社会、権力主義の背後にある大人の偽善、隠蔽体質…。
なぜ少女の心の声を大人が気づけなかったのか。
文学の力とは何か。多くの問いを投げかける。
林 奕含(リン・イーハン)
1991年3月16日~2017年4月27日。
台湾・台南で名の知られた皮膚科医の娘として生まれ、幼少期から作文や数学で優秀な成績を収め、学内外で多くの表彰を受ける。高校二年のときにうつ病を患う。2009年、台北医学大学医学部に入学するが、二週間で休学。その後、三度の自殺未遂。2012年に国立政治大学文学部中国文学科に入学、三年生のときに再び休学。2017年2月初めに、デビュー作であり唯一の著作である本書『房思琪の初恋の楽園』を出版。その二か月後に自殺。「これは実話をもとにした小説である」と本書に記されていることから、台湾社会に大きな波紋を呼んだ。
泉京鹿(いずみ・きょうか)
1971年、東京生まれ。フェリス女学院大学文学部日本文学科卒業。北京大学留学、博報堂北京事務所を経てライター、メディアコーディネーター、翻訳者として16年間北京で暮らす。主な訳書に、余華『兄弟 上・下』(文春文庫)、閻連科『炸裂志』(河出書房新社)、王躍文『紫禁城の月――大清相国 清の宰相 陳廷敬 上・下』(共訳、メディア総合研究所)、九把刀『あの頃、君を追いかけた』(共訳、講談社文庫)など。朝日新聞GLOBE「世界の書店から」で中国のベストセラー紹介を2009年より連載。大学非常勤講師。
1991年3月16日~2017年4月27日。
台湾・台南で名の知られた皮膚科医の娘として生まれ、幼少期から作文や数学で優秀な成績を収め、学内外で多くの表彰を受ける。高校二年のときにうつ病を患う。2009年、台北医学大学医学部に入学するが、二週間で休学。その後、三度の自殺未遂。2012年に国立政治大学文学部中国文学科に入学、三年生のときに再び休学。2017年2月初めに、デビュー作であり唯一の著作である本書『房思琪の初恋の楽園』を出版。その二か月後に自殺。「これは実話をもとにした小説である」と本書に記されていることから、台湾社会に大きな波紋を呼んだ。
泉京鹿(いずみ・きょうか)
1971年、東京生まれ。フェリス女学院大学文学部日本文学科卒業。北京大学留学、博報堂北京事務所を経てライター、メディアコーディネーター、翻訳者として16年間北京で暮らす。主な訳書に、余華『兄弟 上・下』(文春文庫)、閻連科『炸裂志』(河出書房新社)、王躍文『紫禁城の月――大清相国 清の宰相 陳廷敬 上・下』(共訳、メディア総合研究所)、九把刀『あの頃、君を追いかけた』(共訳、講談社文庫)など。朝日新聞GLOBE「世界の書店から」で中国のベストセラー紹介を2009年より連載。大学非常勤講師。
性被害を告発した人に対して、「なぜ今ごろになって」「逃げられたのでは」との疑念や仮定をぶつけ、告発を潰そうと試み人がいる。
冷静な指摘だと加担する外野もいる。
告発した人は、とりわけネット空間で永続的に言葉の暴力を受ける。
「文書を書きたいと思う子はみんな、歪んだ恋をすべきかもしれない」、国語教師は自身の一方的な快楽のために、自分の立場を振りかざす。
「彼の話から聞き取れるのはいつも言い切りのピリオドであり、ひたすら肯定するだけなのだのだということに彼女は気づいた」
自分の弱さを打ち明けながら、その弱さに巻き込み、溺れさせるような関係を作りあげようする。
溺れてしまう私が悪い。その道を自ら選んだと思い込ませる強制力が言動を狂わせる。
起きてしまったことへの悔恨が憎悪に変わり、憎悪が相手ではなく自分にむかってしまう。
傷つけられた、ではなく、自分の中にすでに刻まれてしまった傷が許せなくなる。
抱えきれないものが体の中に蠢いてしまった時、それを言葉にするのは難しい。
どうしたって吐き出しきれない葛藤が溜まっていく。(毎日新聞「話題の本」ライター武田砂鉄さん)
同じマンションに住む教師から性的暴行を受けた少女スーチーは、それを恋愛だと思い込まされ、何年もの間いびつな関係を続けさせられ、次第に心を病んでいく。
スーチーが姉のように慕うイーウェンは、スーチーと同じマンションに住む資産家と結婚して幸せな結婚生活を送っているように見えるが、夏でも長袖を着ている理由を誰も知らない。
タイトルはスーチーの名前になっているが、この物語には他にも何人か性被害の犠牲になった女性たちが出てくる。
実話をもとにした小説ということで、途中読むのがつらくなるような描写もある。
舞台は台湾だが、著者がこの作品に込めた思いは普遍的なものだと感じた。
とても悲しい物語だが、多くの人に読んでほしい。
著者林奕含さんのご冥福をお祈りします。
スーチーが姉のように慕うイーウェンは、スーチーと同じマンションに住む資産家と結婚して幸せな結婚生活を送っているように見えるが、夏でも長袖を着ている理由を誰も知らない。
タイトルはスーチーの名前になっているが、この物語には他にも何人か性被害の犠牲になった女性たちが出てくる。
実話をもとにした小説ということで、途中読むのがつらくなるような描写もある。
舞台は台湾だが、著者がこの作品に込めた思いは普遍的なものだと感じた。
とても悲しい物語だが、多くの人に読んでほしい。
著者林奕含さんのご冥福をお祈りします。
性被害に遭った少女が、儚く崩壊していく様を綴った物語。
傍から見ていると、逃げればいいのに、と思ってしまうが、レイプに遭った当事者は、加害者への思いがゼロではないために、理屈通りにはいかないのだろう。特に少女であれば尚更だ。
加害者男性には良心の呵責はないのだろうか。
傍から見ていると、逃げればいいのに、と思ってしまうが、レイプに遭った当事者は、加害者への思いがゼロではないために、理屈通りにはいかないのだろう。特に少女であれば尚更だ。
加害者男性には良心の呵責はないのだろうか。
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