創作 人生の方程式 続編 2)

2023年09月06日 02時39分07秒 | 創作欄

「拘置所の面会なんて、嫌ね」

「そうですね」

「人には、とても言えないわ」

春の日差しの中、公園の桜が満開だった。

「小学校の近くに、拘置所があるとはね」

「あれが小学学校?」

「ええ、私が学んだ学校。松戸駅まで歩きでしょ?」

「そうです」

「私、車なの、駅まで送るわ」

「いいですよ。近いから」

「遠慮しないで、送るわ」

30歳の悟は、女性にはまるで縁がなかったで、女性の積極さに戸惑う。

拘置所から離れた駐車場に白いベンツがあったのだ。

「乗って」女が促すので彼は従った。

「あなたと、話してみたかったので、待っていたの」

「そうですか」

拘置所でこのような女と出会うとは、彼は不思議な心持となる。

「実は、あなたは、元の彼に似ているのよ」

「そうですか」

「どこかで、食事は?どう?」

「いいですが・・・」その日、徹は面接の前に、松戸競輪場に寄り、前売り車券を買っていて、財布には3000円しか残っていなかった。

「私、ご馳走する。いいわね」

「はい、そうですか」

「あなたは、毎回、そうですか、なのね」女は声を立てて朗らかに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 


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