19世紀後半から20世紀前半の日本では、和漢洋の文化が交流、混在することで独自の魅力を持つ近代美術が誕生したという。
岡山県倉敷市の大原美術館では特別展「異文化は共鳴するか?」が開催されている。
特別展「異文化は共鳴するのか?大原コレクションでひらく近代への扉」関連講演会のお知らせ
第68回 大原孫三郎・總一郎記念講演会にて、大原美術館館長三浦篤が、美術史と異文化交流についての講演をいたします。
「移り棲む美術」をテーマに、現在開催中の大原特別展の背景や意義について詳しく語ります。
【演題】
美術史と異文化交流 ―『移り棲む美術』から大原特別展へ―
【講師】
大原美術館 館長 三浦 篤
【日程】
2024年7月26日(金)
18:30~20:00(18:00開場)
【場所】
倉敷公民館大ホール(倉敷市本町)
1930(昭和5)年に設立された日本初の私立西洋美術館です。倉敷の文化発展に貢献した事業家・大原孫三郎によって創立されました。本館にはエル・グレコ作『受胎告知』、クロード・モネ作『睡蓮』、ルノワール、ゴーギャンなど、有名な西洋の名画が数多く展示されています。
ほかにも、エジプト古代美術、西洋現代美術、日本近代・現代美術など約3,000点の美術品を収蔵。倉敷美観地区を訪れた際には必ず立ち寄りたい観光スポットのひとつです。
【大原美術館の建物について】
設計者の薬師寺主計は、設立者である大原孫三郎が社長を務める倉敷絹織株式会社に入り、大原の片腕として同社や大原家が関係する数多くの建築物を手がけました。
玄関の巨大な柱は、一見大理石に見えますが実は鉄筋コンクリート造で、石の粉をモルタルに混ぜており、左官技術によって施されています。
異文化交流は大原美術館の根幹の一つです。
展覧会を通して、今まであまり意識していなかった大原美術館の本質的な部分が再発見できるのではないでしょうか。
世界で各所で対立や葛藤が生じています。
しかし、文化や芸術の領域では、人と人が交流し、理解し合うことは可能ではないでしょうか。
大原美術館そのもが、異文化交流の舞台となっています。
その様子を見ると、平和をもたらす道は文化の交流しかないのではないかと思わずにいられません。
今回の展示会では「大原コレクション」が形成された大正から昭和初期に焦点を当てました。
それは、近代美術を復権させたいとの思いからです。
近代は、西洋の文化を吸収することに懸命だった時代です。
今まら見ると度を超えた西洋模倣に感じられるいかもしれませんが、懸命だったからこそ、近代美術には、若冲や浮世絵などが人気の江戸美術、現代美術にも引けを取らないエネルギーや魅力があると思うのです。
画家はいろいろなことを考え描いています。
私はよく「絵と<対話>してほしい」と言うのですが、絵に問いかけ、自分で考え、また絵に問いかける。
さらの「比較して見る」。
そうすれば、一枚の絵にも意外な発見がたくさんあるものです。
新鮮なまんざしでで美術に親しめることでしょう。
美術館に足を運んで、作品と密に対話し、美術に親しむ面白さを発見していださい。
文化や美術は、新しい価値観や希望を創る力になるはずです。
三浦 篤 館長
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